【池袋暴走 判決】 免許返納 なおハードル 地方の高齢者支援 課題 2021/9/3

2021-09-03 | 社会

 冒頭画像;2019年4月19日、暴走した飯塚幸三被告の乗用車(左端)が歩行者らを次々とはねた事故現場=東京都豊島区で 

2021年9月3日 中日新聞
    池袋暴走 判決 
免許返納 なおハードル 地方の交通弱者支援課題

 東京・池袋の暴走事故をきっかけに、高齢ドライバーが運転免許証を自主返納する動きが広がった。だが、交通手段の乏しい地方に住む高齢者にとって返納のハードルは高く、簡単には手放せないケースも。事故防止対策とともに代替手段の整備が課題となっている。

■ 家族も悩み 
 「車がないと生きていけないが事故を起こすかも、と悩む人たちをどう救済するのか。国や自治体にできることはたくさんあると思う」。妻子を亡くし、交通事故防止の活動に取り組む松永拓也さん(35)は、二日の記者会見でこう訴えた。 
 警察庁によると、池袋事故が起きた2019年の自主返納数は60万1022件に上り、前年の42万1190件から急増、過去最多を記録した。20年も55万2381件で、うち29万7452件(53・8%)が75歳以上。多くは自ら希望したか、家族の説得を受けて申請したとされる。 
 「自立した生活を送るために車が必要だった」。飯塚幸三被告(90)は法廷で、事故当時87歳で運転を続けていた理由を話した。足が悪くつえを二本使っていたが、17年に免許を更新。週に2〜3回、仕事や外食の際に運転していたと説明した。 
 都心に住み、車がなくても生活が可能だった被告は「身勝手だ」と非難されたが、飯塚被告は電車やタクシーは不便だったと反論。「家族も同罪」「規制がないなら周りが止めるべきだ」と家族への責任を問う声も相次いだ。高齢の家族の運転をどうしたらいいのか、深刻に悩む声も上がった。

■ 更新厳しく
 飯塚被告の家族の相談にも応じた加害者家族支援団体「ワールドオープンハート」の阿部恭子代表は、取材に「自立した大人の行動を制限するには限界があり、責めるだけでは解決しない。高齢者本人にとっても家族にも、運転を法律で制限した方がいいのではないか」と指摘する。
 道交法では75歳以上の運転者が免許を更新する際、記憶力や判断力を判定する認知機能検査を受ける必要があり、認知症と診断されると免許取り消しや停止となる。さらに来年6月までには、一定の違反歴がある場合、運転技能検査(実車試験)を義務付けた改正法が施行される見通しだ。
 早稲田大の石田敏郎名誉教授(交通心理学)は、実車試験の対象となる約15万人のうち3万人以上が不合格となり、免許の更新ができなくなると試算する。
 規制が厳しくなる一方、完全自動運転で地域を走る無人バスの試験運転などを始めた自治体もあるが、実用化にはまだ時間がかかる見通しだ。
 石田教授は「能力には個人差があり、地方に住む高齢者にとって車がなければ生活は難しい。代わりとなる交通手段の整備が急務だ」と悲した。

 ◎上記事は[中日新聞]からの書き写し(=来栖)
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〈来栖の独白 2021.09.03 Fri〉
 悩んでしまう。辺鄙な所に住んでいるわけではないが、車がないと、どんなに不便だろう。いや私よりも、夫君が免許返納した場合の不便は想像に余る。でも、事故を起こしたら、終わりだ。


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