若者の「自民党支持増」はなぜか 安倍政権になってから就職率は高まり・・・政権支持はごく自然 2017/10/30 髙橋 洋一

2017-10-31 | 政治 メディア

2017/10/30
若者の「自民党支持増」はなぜか。左派系メディアにかわって教えよう
「保守化」が理由じゃないんじゃない? 
 髙橋 洋一 経済学者 嘉悦大学教授
*朝日新聞はどこまで見えてないんだ…
 先週土曜日、筆者は朝日放送の番組「正義のミカタ」に出演した。同じく出演していた朝日新聞の編集員である曽我豪さんが、総選挙を総括して解説していた。この方は、朝日新聞の中でも割と公平に物事を見ている人で、どのような組織でもバランスの取れた良心的な人はいるという典型だ。
 しかしこのときに限っては、「朝日新聞の人丸出し」という話の連続だった。筆者はここで強く感じたことがある。それは、そのくらい今回の総選挙の左系マスコミへの影響が大きかったのだ、ということだ。
 曽我さんは、安倍政権は総選挙では勝ったが、世論調査の「民意」をみると、安倍首相は支持されていないと指摘した。さすがに、この発言はおかしなところがあるので、宮崎哲弥さんが、「曽我さんの引用している世論調査は選挙前のもので、選挙後の世論調査では支持率が戻っている」と指摘していた。
 その後、筆者も短くコメントを求められたので、「世論調査はいろいろ。曽我さんのいう民意とは、朝日新聞の世論調査のことだから」と皮肉を言ってしまった。朝日新聞の世論調査は誘導的で当てにならないというと、さすがに不味いので、そこまでは言わなかったのだが(笑)。番組後に、曽我さんに「総選挙の結果が民意でなかったら、なにが民意なの」と言っておいた。
 政治家が政治家たる所以は、民意で選ばれているからだ。政治家個人をみれば、頭の良さでは官僚にかなわない人もいる。しかし、それでも官僚が(形式的とはいえ)政治家を尊敬し従うのは、政治家が民意で選ばれているからだ。
 さらに、曽我さんは朝日新聞がやってきた「モリカケ追及」について、政権が十分に疑惑に答えていないことに意義ありという立場だった(これは朝日新聞の人としては当然!)ので、「モリカケ」もはじめの段階ならマスコミが「疑惑」と叫んでもいいだろうが、もう半年以上も経ったというのに、新たな証拠もなしで「疑惑」と言い続けている左派マスコミはおかしい、ともいっておいた。
*民意、民意というならば
 本コラムの読者であれば、筆者が「モリカケ」について、公開情報から、安倍首相の「意向」や「関与」がないことを証明してきたことをご存じだろう。これは、安倍首相その他に頼まれてやったことではない。筆者はエビデンスをもとにさまざまな事象を論証するスタイルをとっているが、その有効性について絶好の課題だったので、力試しにやってみただけだ。
 もちろん、筆者の知らない事実が出てくれば、筆者の負けである。しかし、どうだろうか。半年以上経っても何もでてこない。
 本コラムに書いたことだが、これは「悪魔の証明」である。何もないことについて総理に説明責任を転嫁してはならず、あくまで疑惑を主張する人が証明すべきである。いまだに朝日新聞は、総理は誠実に説明する責任を果たしていないという「言いがかり」を付けているが、国会では、関係者すべてが朝日新聞の思惑と違った証言をしている。
 この段階で、普通のビジネスであれば「半年以上も成果が出ないので終わり」となるはずである。新たな証拠もなしで、半年以上も「疑惑が残っている!」と叫び続けるマスコミにはあきれてしまう。
 ビジネスでなく官僚でも同じだ。筆者はかつて税務署長をした経験がある。素人署長だったので、部下の税務署員が、これまで手を付けられていない案件をたくさん持ち込んできた。
 もちろん、それなりの疑惑(これを税務署では「端緒」といっていた)はたっぷりあるものばかりだったが、署長決済が必要なので、来る者は拒まず決済した。
 しかし、3ヵ月経っても一向に成果が出ないものもあった。それでも半年待ったものもある。ただ、それ以上やって新たな成果が出なければ、それまでの調査結果は残すが、諦めて他の案件をやったらどうか、といったこともある。
 もちろん、新しい事実がでてくれば、別である。しかし、「モリカケ」のように、安倍首相の「意向」や「関与」がまったく出てこなければ、いつまでも時間をかけるのは無駄である。
 朝日新聞に限らず毎日新聞、中日新聞などの左派系新聞は相変わらず、「モリカケ」追及にいまだに熱が冷めていないようだ。傍から見ていると、それ以外に言うことがないのかと思ってしまうほどだ。
 総選挙で示された「民意」は、「モリカケはそろそろ終わりにしろ」、だろう
*若者は右傾化しているのか?
 こうした分析を、筆者は、8月14日付け本コラム「テレビの「意地汚い報道」と安倍政権の支持率低下「本当の関係」 データを基に考察してみた」(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52590)で行っている。そこでは、朝日新聞の必死な「モリカケ」追求も無駄だろうと予想している。
 こうした左派系新聞は、事実の調査・分析も甘い。それを示すかのような、選挙期間中の面白い記事を見つけた。20代以下と30代の若者で、安倍政権と自民党の支持者が多かったという調査結果が報道されたのだ(10月9日毎日新聞 https://mainichi.jp/senkyo/articles/20171009/k00/00m/040/079000c)。
 要因として「政治的な知識不足」「現状維持を望む人が多い」といったもののほか、「雇用の売り手市場」なども挙げられているが、こういうデータが出ると、すぐに「若者が右傾化している」という指摘が出てくる。
 若者が「右傾化」とされる根拠は何なのか。
 この種の調査は、現時点での傾向をつかむにはいいが、これまでの変化はわかりにくい。そこで、内閣府で継続的に行われている「外交に関する世論調査」を参考に、この点について考えてみたい。
*若い世代ほど、保守化していない…?
 「右傾化」を示す代表的な指標としては、中国への態度であろう。この内閣府の世論調査では、「中国に親しみを感じる」割合について、年代別の経年変化を追求できる。全世代でみると、中国に親しみを感じる割合は、1978年の調査開始以降、1985年6月には75.4%であったがそれ以降低下し始め、1995年10月に5割を切り、直近2016年11月では16.6%(20歳以上)まで下がっている。
 世代別の数字をみると、親しみを感じるとした人は、1999年10月に全世代で49.6%、20代48.9%、60代47.4%と世代の差はほとんどなかった。しかし、直近2016年11月では全世代で16.6%、20代(18,19歳を含む)31.1%、60代12.8%と、若い世代では世代間の差が大きい。
 このデータから見れば、若い世代ほど「保守化」、「右傾化」していないといえる。特に、2010年頃以降、20代と60代では、差が大きく、若い世代は中国への親しみがそれほど下がっていないが、高齢世代では大きく下がっている。
 一方、自民党支持についてみると、若い世代ほど支持する割合が高くなっている。より正確にいえば、若い世代は、それほど「右傾化」していないが、自民党支持が強いとみられる。
 ところが、毎日新聞は、単純に若者の自民党支持を「保守化が進んでいる」と思い込んでいる(実際、記事のタイトルは「若者層は保守的? 内閣・自民支持多く…世論調査」だ)。
 そうした誤解は、左派系議員の中にも散見される。民進党議員で、今回無所属で出馬したある議員は、「若者は安定志向で保守化している」と「断定」している。
 若者に支持があるというのは、自民党というより第二次安倍政権の特徴である。実際、民主党政権への政権交代を許したときや、第一安倍政権の時には、若い世代の自民党支持はそう高くなかったのだ。
 それほど「右傾化」していない若い世代が自民党支持で、「右傾化」している老齢世代で自民党支持が少ないのはなぜか。筆者が思うに、若い世代は雇用を重視し、情報はテレビ以外から入手している一方、高齢世代は雇用の心配がなく時間があり、情報をテレビばかりに頼っているからだと思う。
*就職はいい。テレビは見ない。だから…
 筆者は大学教員をしているので、大学生にとっての最大の関心事は就職であることを知っている。初めての就職がうまくいくかどうかは、その後の人生を決めるともいえる大問題だからだ。振り返れば民主党政権時、残念ながら就職率は低く、就職できない学生は多かった。
 ところが、安倍政権になってから就職率は高まり、今では就職に苦労していない。正直言って学生のレベルは同じであるが、政策によってこれほどの差があるとは驚きだ。若者が今の政権を支持するのはごく自然、とも言えるだろう。

 

 こうした筆者の推察は、自民党・民進党(旧民主党)の年代別支持率の推移をみてもわかる。
 民主党の支持率は、政権発足後、各世代で総じて下がっているが、若者世代のほうが下げ幅が大きい。これは、期待をもって民主党政権ができたが、雇用が思うように伸びずに、若者が就職で苦労したからだろう。
 一方、自民党の支持率を見ると、安倍政権発足直後は各年代で高かったが、高齢世代は低下したものの、若者世代ではほとんど低下していない。これは、やはり就職がいいからだ。
 筆者は、所属大学で毎年企業就職担当者と話をしているが、ここ数年間は来年の就職率の予測をしている。これは、前年の失業率から簡単に予測できるので、お手軽な話題だ。そして、学生の就職率が高くなると、学生の売り手市場になって、企業の就職担当者が困るようになるとも予測していていた。最近は、この予測が当たっている。
 ハッキリ言えば、一流大学は政権が変わろうが学生の就職には困らないが、筆者の所属大学のようなところでは、民主党時代と安倍政権に成ってからでは天と地の差ほどある。しばしば、一流大学の教授がアベノミクスに批判的になるのは、就職市場の劇的好転を実感していないから、なのだろう。
 ついでにいえば、就職市場が良くなると、ブラック企業は就職で苦しくなると予測していたが、これも当たっている。以前の民主党政権時代には、学生から「ブラック企業」との言葉を聞いたことがなかった。おそらくブラックだろうがなんだろうが、どこでも就職したかったからだろう。しかし、今では「あの企業はブラックだから行かない」という学生の声が聞こえてくる。まったく結構なことである。
 また、今の学生は情報をネットなどから入手するので、左翼色が強く安倍政権批判がなされることが多いメディアである、テレビや新聞を見ない。
 老齢世代は若い世代の真逆だ。就職の心配はないので、雇用に無関心だ。そして、情報をテレビや新聞に依存するので、安倍政権批判に染まりやすい。雇用重視の政策は、本来左派政策なので、「右傾化」していない若者にも受けるのだろう。
 こうしてみると、左派系マスコミが本当の敗者かもしれない。

 ◎上記事は[現代ビジネス]からの転載・引用です *強調(太字)は来栖
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2 コメント

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青年の主張は。。。。。 (あやか)
2017-10-31 20:46:15
たしかに、『近頃の若者』は、自由民主党支持が多いです。『おとなの人たち』は、それに当惑し、何とか辻褄のあう説明を試みているようです。
この、高橋さんとか言う人は、その理由として、若者にとって身近な問題である就職事情が向上したからだと言ってますが、この説は最近よくある説でなんの鮮新さもありません。
 もちろん、雇用事情が好転したことが、青年の自民党支持者を増やしてることは事実です。
しかし、それだけが理由ではありません。
若者たちは、おとなが思っている以上に、見るべき点は、見ていますよ。!
今、若者たちが『おとなの政治の世界』でもっとも嫌だと思うことは、反対党派の政治家に対する執拗な個人攻撃なのです。たとえば、選挙演説をしている大臣に向かって『□□!!辞めろ!!』と、罵声をあびせたり、反政府系ブログで『□□政権を許さないっ!!!』とかいう乱暴な言葉を連呼するようなことは純真な若者が最も嫌う行為です。!!
こんな個人攻撃は、学校の生徒自治会選挙では、堅く禁止されてる行為です。
そして、こんな個人攻撃をするのは、野党革新党左派が、圧倒的に多いです。そんな人たちが、若者にそっぽをむけられるのは当然でしょう。

 もう一つは、いわゆる『戦争責任』の問題です。
毎年、8月15日の終戦の日になりますと、偉い人たちが『あの太平洋戦争の責任を深刻に反省して。。。云々』という言葉を、飽きもせずに語っておられます。しかし、私たちは、もう、あんな言葉は聞きたくありません。
青年にとって戦争責任?など何の関係もありません。もちろん、太平洋戦争を反省させられる義務もありません。
。。。。実は私も、この問題について、学校時代に先生と大げんかしたことがあります。。。

 ところで、二年前の夏に、安倍総理大臣が、このように言っておられました。
【あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその世代の子供たちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません。】
、、、何という素晴らしい言葉でしょう。!!!これこそ若者たちが言いたかったことにほかなりません。!!!!
このような認識のかたなら、若者たちに支持されるのは当然でしょう。

☆☆若者は、自分たちが、就職できたらあとはどうでもよいと思ってるわけではありません。
『若者は、政治の知識が乏しい』などという人がいますが、若者を愚弄する言葉にほかなりません。!!!!
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あやか様 コメント、ありがとう、です。 (ゆうこ)
2017-10-31 22:29:17
 同感です。戦後70年談話「戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」(http://blog.goo.ne.jp/kanayame_47/e/eb661b827c1e885550a2af6c0a31339c)は、安倍晋三という政治家の真骨頂、すばらしいです。
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