【疑惑の濁流】安倍首相、小泉元首相、人気俳優や歌手も… 徳洲会・徳田家が誇った「華麗なる人脈」とは
産経ニュース2013.12.28 18:00
日本最大級の医療法人・徳洲会グループは長年、創業者一族である徳田家が牛耳ってきた。豊富な資金力を背景に政界にも強い影響力を誇り、かつては徳田毅衆院議員(42)のパーティーには自民党幹部が大勢詰めかけて毅氏を絶賛、病床の徳田虎雄・元衆院議員(75)のもとにも数多くの政界要人が日参した。「華麗なる人脈」を誇った徳田家の一族。隆盛を謳歌(おうか)したその勢いは、公職選挙法違反事件の着手で一変したようだ。
*猪瀬氏の選挙事務所に贈られたコチョウラン、贈り主は…
「改革をスピードアップさせることが私の使命だ」
東京都知事選が告示された平成24年11月29日。東京・新宿の選挙事務所での出陣式で、グレーのスーツに身を包んだ猪瀬直樹・前東京都知事(67)は顔を紅潮させながら、知事職への意欲を語った。
事務所には、選対本部長の川淵三郎・日本サッカー協会最高顧問(77)や建築家の安藤忠雄氏(72)らが結集。入り口付近には、出版社社長、タレント、大学名誉教授らからの「祝必勝」「都政は任せた!」などと書かれた花束がずらりと並んだ。
最も目立つ位置に置かれた白いコチョウランの花束に、1人の政治家の名があった。
「御祝 前衆議院議員 徳田毅」
約1年後に猪瀬氏が都政からの退場を余儀なくされることになる「5000万円問題」の当事者からのものだった。この9日前の11月20日、毅氏は国会議員会館で猪瀬氏に5000万円を手渡したばかりだった。
約1カ月後の昨年12月17日、当選翌日の毅氏が東京都港区のホテルで開いた政治資金パーティー「徳田たけし君と語る会」では、猪瀬氏の祝電が読み上げられた。
「昨日の選挙区での見事な勝利、誠におめでとうございます。同じ日に当選した者同士、課題が山積しています。私は東京から日本を変えます。徳田代議士は日本から世界を変えてください」
*自民大物が大絶賛「毅氏みたいな議員になってほしい」
パーティーでは、序盤から大物政治家らが次々と登場。2000人収容の大宴会場が埋め尽くされ、入りきれない人の列が階下まで続いた。
あいさつに立った当時自民党政調会長の甘利明・経済再生担当大臣(64)は「派閥のパーティーかと思った。みんなで徳田派に入ろうかと」と持ち上げ、毅氏がかつて所属していた宏池会の会長、岸田文雄外務大臣(56)も「これだけ集められるのは徳田先生以外思い当たらない」と絶賛した。
当選3回の若手とは思えないスケールの大きさに来場者は驚きの表情を浮かべ、会場は高揚感に包まれた。
自民党の石破茂幹事長(56)は「徳ちゃんが言うことだったら、『そうだよね』という人が多いのは、私利私欲なくやり、ひたむきににやる生き方が共感を呼んでいるからだ」と親しげに語り、「新人議員には徳田毅みたいな代議士になってくれとお願いしたい」と満面の笑みを浮かべた。
安倍晋三首相(59)が遅れて到着すると、盛り上がりはピークに達した。「自民党のホープ。日本のホープ。とにかく選挙に強い。徳田さんにも大きな役割を担ってもらいたい」と、この上ない表現で毅氏をほめちぎった。
盛況のうちにパーティーは幕を閉じた。参加者に渡された土産の中には、虎雄氏の半生を記録したドキュメント映像と、虎雄氏が選挙直前に地元の鹿児島・奄美群島を訪れた際のニュース映像のDVD2枚が入っていた。
*機関紙で多彩な「来訪者」を紹介
徳田家の華麗な人脈は、虎雄氏のもとに訪れた要人の多彩さからもうかがえる。
虎雄氏は、難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患い、湘南鎌倉総合病院(神奈川県鎌倉市)で療養生活を送るが、徳洲会の機関紙「徳洲新聞」に掲載された過去面会記録を見ると、過去1年分を見るだけでも、政財界から芸能界までさまざまな著名人が病床を訪問している。
頻繁に訪問していたのは阿部知子衆院議員(65)。今年8月までの1年間に17回で月1、2回のペースになる。阿部氏は現役の小児科医で、非常勤医師として週1回、湘南鎌倉総合病院で勤務している。阿部氏の秘書は「医師と経営者の関係。遠方の客より訪問数が多いのは当然」と話す。
公職選挙の候補者本人が虎雄氏と面会した例は枚挙にいとまがない。
衆院選前の昨年10月、阿部氏と訪れて以降、ほぼ2週に1回のペースで通っていたのは山田正彦元農林水産相(71)。徳洲会関係者は「国会の本会議場で、難病でふらつく虎雄氏に山田氏が肩を貸す姿も見られた」と明かす。
山田氏は定期訪問を始めた後、衆院選、参院選に相次ぎ出馬。落選したが、衆院選前に虎雄氏から現金300万円を受け取ったことが発覚している。
衆院選直後の昨年12月25日、自民党から出馬し当選した松本洋平(40)、薗浦健太郎(41)、丹羽秀樹(41)の3衆院議員が長谷川岳参院議員(42)とともに面会。徳田毅氏の資金管理団体は昨年、3衆院議員の政治資金パーティー券をそれぞれ50~60万円購入している。
*大物がずらり…人気俳優も
徳洲新聞のバックナンバーをめくると、大物がずらりと並ぶ。
自民党から小泉純一郎元首相(71)、野中広務元官房長官(88)ら。民主党からも鳩山由紀夫元首相(66)。今年9月8日には麻生太郎財務相の弟で「麻生セメント」の麻生泰社長(67)、昨年8月31日には神奈川県の黒岩祐治知事(59)と、そうそうたる顔ぶれだ。
虎雄氏の人脈は芸能界にも広く及んでいるようだ。昨年11月には歌手の華原朋美さん(39)が面会。他にも俳優の菅原文太さん(80)夫妻、俳優の小栗旬さん(31)、元プロボクサーの具志堅用高さん(58)も訪れている。
ただ、こうした華麗な人脈を紙面で紹介していた徳洲新聞も、東京地検特捜部の公選法違反事件着手以降は、訪問者の紹介を中止した。「事情聴取に訪問した検察官を掲載しても、しゃれにもならないだろう」(徳洲会関係者)。
多数の政治家に持ち上げられた毅氏も表舞台から姿を消し、公選法違反事件の裁判によっては連座制が適用され、当選が取り消される可能性が高い。
資金力を背景に、政界から芸能界まで幅広い人脈を持った徳田一族。徳田家に近い関係者はこう話した。「毅氏も飛ぶ鳥を落とす勢いで、政界でも抜群の知名度があり、虎雄氏も『毅を総理に』とたびたびぶち上げていた。事件により、落日の一族となってしまうのだろうか」(肩書はいずれも現在)
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