米大統領にトランプ氏 2016/11/9 「次期政権との仕事楽しみ」=フィリピン・ドゥテルテ大統領 「祝電」=プーチン大統領 「期待表明」=中国

2016-11-09 | 国際

まさかの「トランプ大統領」誕生 想定外の大接戦
zakzak 2016.11.09
 まさに想定外の結果といえるだろう。日本時間の9日朝から開票が始まった米大統領選で、「暴言王」こと共和党候補のドナルド・トランプ氏(70)が、激戦区のフロリダ州などを制し、勝利を手中に収めた。当初は民主党候補のヒラリー・クリントン前国務長官(69)が優勢とみられていた選挙戦だったが、まさかの「トランプ大統領」誕生が確実になった。
 「予想外に競っている」。9日午前、安倍晋三首相は官邸で会談した河村建夫元官房長官にそう語ったという。安倍首相が驚くほどの快進撃で、トランプ氏のホワイトハウス入りが視界に入った。
 最終の世論調査では、クリントン氏が優勢を維持していた。各種調査の平均値をまとめた「リアル・クリア・ポリティクス」ではクリントン氏が支持率46・8%で、43・6%のトランプ氏を3・2ポイントリードしていた。トランプ氏の善戦は予想されても、最後にはクリントン氏が勝つという見方が大勢だった。
 ところが、どっこいだ。開票が進むにつれ、トランプ氏の勢いは衰えるどころか、増すばかり。共和党が伝統的に強い州で勝利を確実にしたのに加え、接戦が予想された州でもクリントン氏に肉薄し、一部の州ではトランプ氏が勝利を確実にしていったのだ。
 CNNなど米メディアによると、トランプ氏はクリントン氏と激しく競っていたオハイオ州、フロリダ州、ノースカロライナ州で勝利を確実にし、当選に必要となる大統領選挙人の過半数270人以上に迫った。クリントン氏は大票田のカリフォルニア州で勝利を確実にしたが、苦戦を強いられた。
 「米国を再び偉大にする」をうたい文句に、イスラム教徒の入国禁止といった過激な政策で注目を集めたトランプ氏。最終盤で女性に対する下品な発言が暴露されたうえ、「セクハラ疑惑」も取り上げられる逆風に見舞われた。
 しかし、トランプ氏への投票を公言しない「隠れ支持者」が約500万人もいるといわれていたように、勢いは本物だった。スキャンダルをものともせず、トランプ氏は着実に勝利を収めていった。
 ロイター通信によると、トランプ氏は現地時間の8日、FOXニュースの電話インタビューに対し、「(選挙で)よい結果が出るだろうし、何も心配していない。つまり、勝利するということだ」と述べた。
 発言はトランプ氏の「予言」だったのか。当初、トランプ氏の当選確率を20%以下としていた米有力紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は、時間が経つごとに確率を上げ、最終的には90%を超えた。
 ■米大統領選の仕組み
 米大統領選は形式的には間接投票方式で行われる。有権者は、各州と首都ワシントンに割り当てられた大統領選挙人(計538人)を選び、その過半数(270人)を獲得した候補者が勝者となる。選挙人候補者はどの大統領候補を支持するか事前に表明しており、有権者は大統領を直接選ぶ感覚で投票する。州の規模によって選挙人の数は異なり、最多はカリフォルニアの55人、最少はアラスカなどの3人。各州で最多票を得た候補がその州の選挙人全員を独占する「勝者総取り」方式が原則。 (ワシントン共同)

 ◎上記事は[zakzak]からの転載・引用です *強調(太字)は来栖
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産経ニュース 2016.11.9 19:32更新
【米大統領にトランプ氏】次期政権との仕事楽しみ 米と距離置くフィリピンの暴言大統領
 フィリピンのドゥテルテ大統領は、米大統領選で勝利したトランプ氏に対して「米フィリピン関係強化のために次期政権と仕事をするのを楽しみにしている」と祝意を示した。フィリピン政府が9日、声明を出した。
 ドゥテルテ氏はオバマ米大統領を度々ののしっているほか、フィリピンからの米軍部隊撤退を求める考えを表明するなど米国と距離を置く姿勢を鮮明にしている。実際に次期政権とどう付き合うかは未知数だ。
 地元メディアは今月6日、ドゥテルテ氏が、トランプ氏のテロに対する懸念には同意するが、イスラム教徒への排他的な姿勢には賛成できないと述べたと報じている。 (共同)

産経ニュース 2016.11.9 18:33更新
【米大統領にトランプ氏】ロシアは勝利歓迎 プーチン大統領が祝電 極右党首は手放しで喜び
 ロシアのプーチン大統領は9日、米大統領選に勝利した共和党候補トランプ氏に祝電を送り「危機的な状況に陥っている米ロ関係から脱するよう、共に取り組みたい」と呼び掛けた。ロシア大統領府が発表した。
 プーチン氏は、相互尊重の原則に基づき建設的な米ロ対話を行い、双方の国民や国際社会の利益をかなえていきたいと期待感を示した。
 さらに米ロが鋭く対立してきたシリアやウクライナ問題、台頭する過激派などを念頭に、喫緊の国際問題の解決策や地球規模の安全保障問題への効果的な対応策についても、協力したいとの考えを表明した。
 プーチン政権に近いロシアメディアはこれまでトランプ氏を好意的に報じており、ロシアではトランプ氏勝利を歓迎する雰囲気が出ている。極右、自由民主党のジリノフスキー党首は「より良い大統領が選ばれた」と手放しで喜んだ。(共同)

産経ニュース 2016.11.9 18:30更新
【米大統領にトランプ氏】米次期政権と関係発展 中国が期待表明
 中国外務省は9日、米大統領選で共和党候補のトランプ氏が勝利したことについて「次期米政権とともに努力し、長期的に健全で安定した中米関係を発展させたい」との談話を発表し、期待感を示した。
 談話は協力と建設的な努力を通じ、二つの大国が地域と世界の平和や繁栄のために役割を発揮することが重要だと指摘。関係発展は「両国と世界の人民の利益となる」と強調した。(共同)

産経ニュース 2016.11.9 19:01更新
【米大統領にトランプ氏】ファーストレディのメラニアさん、元人気モデルで3番目の妻 約190年ぶり外国生まれ
 24歳年上の自由奔放な夫を、時に意見しながら、支えてきた。「ヴォーグ」など数々のファッション誌の表紙を飾った元人気モデル。外国生まれのファーストレディー(大統領夫人)は第6代アダムズ大統領の英国生まれの妻以来、約190年ぶりとされる。
 スロベニア(旧ユーゴスラビア)の小さな町で生まれた。16~17歳のころにモデルを始め、18歳でイタリア・ミラノのモデル事務所と契約。1996年にニューヨークへ活動拠点を移し、2001年に米国永住権を取った。
 トランプ氏と出会ったのは98年のパーティー。トランプ氏の3番目の妻として05年に結婚した。ウォールストリート・ジャーナル紙によると、民主党候補クリントン氏はフロリダ州で行われた結婚式に夫と共に出席している。
 「夫には自分らしく振る舞ってほしいが、夫の意見に常に賛成ではない。自分の考えは伝えている」とCNNテレビに語っている。46歳。(共同)

産経ニュース 2016.11.9 16:53更新
【米大統領にトランプ氏】「私は全ての国民の大統領になる」トランプ氏が勝利宣言 「歴史的な勝利だ」…共和党、8年ぶり政権奪還 米主要メディア報じる
 【ワシントン=青木伸行】米大統領選は8日、投開票され、共和党のドナルド・トランプ氏(70)が民主党のヒラリー・クリントン前国務長官(69)を破り、第45代大統領に就任することが確定した。共和党はブッシュ前政権以来、8年ぶりの政権奪還。初の女性大統領誕生と民主党の3期連続政権を阻止した。
 トランプ氏は9日未明、ニューヨーク市で勝利宣言し「歴史的な勝利だ」と述べ、支持者に謝意を表明した。そして、「私は全ての国民の大統領になる」と述べ、国民融和を呼び掛けた。
 米主要メディアによると、米東部時間9日午前2時半(日本時間午後4時半)過ぎ現在、トランプ氏は50州と首都ワシントンに割り当てられた大統領選挙人(計538人)のうち、過半数270人を上回った。フロリダ州などの激戦州を軒並み押さえたことが勝敗を決定づけた。
 「不動産王」の異名を取り、政治経験がないトランプ氏は、反エスタブリッシュメント(支配階層)的な存在として旋風を巻き起こしてきた。「米国を再び偉大にする」をキャッチフレーズに掲げ、既存の政治や制度、生活に不満を抱く白人の中・低所得層を基盤に無党派層などへ支持を拡大した。
 一時は過去の女性に対する蔑視発言と、わいせつな行為が相次いで発覚して支持率が低下し、共和党関係者からも「不支持」の動きが出るなど、当選が危ぶまれた。しかし、クリントン氏の私用メール問題をめぐり、連邦捜査局(FBI)が投票日を目前に捜査を再開したことが追い風となり、土壇場で逆転した。
 クリントン氏はオバマ大統領の「後継者」として、豊富な政治経験と知識を前面に押し出し、トランプ氏の大統領としての資質の欠如を一貫して攻撃した。だが、私用メール問題が最後まで尾を引き、大統領職への2度目の挑戦でも「ガラスの天井」を破ることができなかった。
 トランプ氏は来年1月20日に就任する。

 ◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です *強調(太字)は来栖
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保守的白人の国ではなくなったアメリカ/君が黒人であろうが白人であろうが、ヒスパニックでもアジア系でも 2012-11-19  
米大統領:富裕層増税を提案へ、中間層支援 増減税の規模を拡大 一般教書演説で 共和党の反発必至 2015-01-19 
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◇ 『帝国の終焉 「スーパーパワー」でなくなった同盟国・アメリカ』日高義樹著 2012/2/13第1刷発行 
 (抜粋)
p16~
  大統領選挙戦が始まったとき、アメリカの保守的な人々はオバマ大統領が再選されれば、社会主義的な経済政策や財政政策を遠慮会釈なく推し進めると心配していたのである。だがドナヒュー会長は、私の質問にこう答えた。
 「オバマ大統領に勝手なことはさせない。オバマ大統領とその政権は、50%政権だ。アメリカ国民の半分を代表しているだけだ」
p17~
  選挙に勝ちさえすれば好き放題ができるという日本の国会と大きく違っているのは、アメリカの政治の仕組みがはっきりと議会と大統領府の2つを区別し、明確な分権の思想が確立しているからだ。(略)
「我々には議会がある。議会の半分である下院はほとんどが共和党だ。我々のもの、と言ってよいだろう。上院のほうは大統領の民主党が多数党だが、それでも五分五分だ」
p23~
  アメリカでは現在、4600万人もの人々が「フードスタンプ」と呼ばれる政府発給のクーポン券で無料の食糧を購入して食べている。オバマ政権が発足して以来、フードスタンプの発給量が大幅に増えたことから、オバマ大統領は「キング・オブ・フードスタンプ」と呼ばれている。オバマ大統領はまた、失業保険の受給期間をそれまでの1年から2年に延長した。
p24~
  アメリカの選挙はいまや人種による差別だけでなく、経済の差別、つまり政府から援助を受けている人と受けていない人、という区分けに大きく影響されるようになった。
p25~
  自立したアメリカ人から見れば、オバマ大統領が貧しい人々に賄賂として生活保護費を払い、再選を勝ち取ったように見えるだろう。
p27~
 第3部 黒人とヒスパニックにホワイトハウスが乗っ取られた
 2012年のアメリカ大統領選挙は、オバマ大統領が黒人とヒスパニック系、それに加えて若い女性と学生たちの連合軍をつくりあげて再選を勝ち取ったと歴史に記されるであろう。
  すでに述べたように、オバマ大統領はあらゆる経済政策、国内政治、外交に失敗し、再選は難しいと思われていた。だがオバマ陣営はもともとほとんどがオバマ支持の黒人に加え、急速に人口を増やしているヒスパニック系の強い支持を取り付けて、その難しい状況を乗り切ったのである。
  アメリカの選挙人における黒人の比率は、13%、ヒスパニック系が12%、アジア系が5%で、合わせて30%である。そのほぼ100%がオバマ陣営に票を投じ、それに若い女性と学生たちが加わった。若い女性の多くは人権を問わず、オバマケアと呼ばれる新しい健康保険法によって、人工中絶を無料でしてもらえるという仕組みを受け入れてオバマ大統領に投票したといわれている。
p28~
 「オバマはただで人工中絶をしてくれる」
  アメリカの若い女性がこう言っているのを聞いたことがあるが、共和党が若い女性に嫌われたのは、熱心なキリスト教徒の多い共和党の主流があくまで人工中絶に反対しているからである。
p49~
  オバマ大統領の公の権力に最も明確に反抗しているのは、アメリカの力の源泉といわれる石油業界である。ケネディ大統領が暗殺された時、その黒幕はテキサスの石油業界だといわれた。石油業界はケネディ大統領と対立する共和党と強く結びついている。
p50~
  オバマ大統領は第1次政権で環境保全政策にとくに力を入れ、太陽光や風力発電に多額の政府資金を投入した。アメリカ西部、西南部、テキサスなどでオバマ大統領は多くの太陽光や風力発電の業者を援助した。のちに倒産してスキャンダルになったソリンドラをはじめサンパワーといった企業には、500億ドルを超す膨大な資金援助を行った。
  オバマ大統領のクリーンエネルギー推進政策は、中小の石油業者と真っ向から対立してきたが、オバマ大統領が人気を失い政治力が下がるとともに、この政策も人々の支持を得られなくなり、力を失ってきた。
  石油産業界の後ろには軍需産業があり、そしてペンタゴンや陸、海、空のエリートがいる。この存在を意識してオバマ大統領が政治的なペトラウス切りを行った疑いが濃厚だが、いずれにせよオバマ大統領のエネルギー政策の変更は外交政策、とくに対中国政策の変更につながる。
p51~
  オバマ大統領がこれまでのエネルギー政策を変え、国内で増産が始まっている石油や天然ガスに重点を切り替えることは、アメリカの経済の回復に直接つながってくる。
  石油はドルそのもの、といわれるが、アメリカ国内で石油を増産すれば財政不足から中国の借金に頼らざるを得ないという状況から脱却できる。オバマ大統領の人気の低落、アメリカ国内における黒人と白人の対立、そしてエネルギー政策の転換は、アメリカの中国政策の大転換という重大な問題につながっていくのである。
p192 第5章 オバマはアメリカをイギリスにする
p200~ 第2部 アメリカは財政赤字で分裂する
 オバマ大統領は福祉費を減らそうとは考えてはいない。金持ち階級に対する増税を主張し、階級闘争を煽っていると非難されているが、保守派がつくっているティーパーティーはどんな形にせよ増税には反対で、赤字を減らすためには福祉費を切れ、と要求している。アメリカはこの2つのグループの対立がやむ様子はなく、ひどくなるばかりである。
 アメリカが国家として存在していくためには、歯止めのきかなくなった財政赤字の増加を食い止めるための方法をどうしても見つけ出す必要がある。まず考えられるのは、福祉費や社会保障費の増大を食い止め、軍事費をこれ以上増やさないと同時に、何はともあれ、国家の収入を増やすことである。
p201~
 オバマ大統領が増税とは言わず「国家の収入を増やす」と言っているのは、オバマ大統領の得意とするレトリックで、意味するところは増税である。
 アメリカでは50%の人が税金を全く払っていない。しかも、その税金のほとんどを20%、つまり10人に2人が払っている。富裕層に対するオバマ大統領の増税政策に対して共和党が反対しているのは、これ以上金持ちに増税をすれば、その差がもっと大きくなると腹を立てているからだ。
 金持ちに対する増税とは、金持ちからお金を取り上げて、働かない人にお金を与えることを意味している。アメリカに移民してくる人人々は、そういった アメリカの仕組みの恩恵にあずかろうとしてやってくる。
 ほとんどがリベラルなアメリカのマスコミは、ほとんどが共和党を批判し、オバマ大統領を支持している。
 「国民の多くは、豊かな人に増税をしろというオバマ大統領を支持している。社会保障費を減らせという共和党に批判的だ」
 アメリカの新聞は世論調査を使って、こう主張している。だが、世論調査の結果がオバマ大統領支持になるのは当然といえる。
 つまり45%の人はお金をもらうことに賛成しているが、ほとんどが税金を払っていない人々である。こういったアメリカのマスコミの報道は、アメリカでの民主主義に大きな歪みがあることを示している。
 「お金が欲しいという貧しい人々は、お金をタダでくれる政治家を支持する。アメリカの国がどうなろうとも、楽な暮らしができればいいと思っている」
 『ウィークリー・スタンダード』のフレッド・バーンズ編集長はこう指摘しているが、オバマ大統領が社会主義的な福祉政策を推し進めた結果、アメリカでは、働かないで国からもらうお金で食べる人が増え続けている。そういった人々が、タダで食べさせてくれる政治家に投票するのは当然である。民主主義では、多数が事を決める。したがって大衆の欲するように政治が行われる。民主主義、すなわち衆愚政治といわれるゆえんである。
p202~
 タダで食べさせてくれる政治家に投票する人々は、国家の将来や、産業問題、安全保障などについては考えない。ここから「民主主義は国家のためにならない」として民主主義を否定する、中国共産党の思考様式が生まれてくる。そして先進諸国は、民主主義のもたらす衆愚政治を避けることができるか、という大きな疑問に直面している。
 ヨーロッパはいま重大な経済危機に瀕しているが、ヨーロッパは、アメリカよりも手厚い福祉政策をとり、国民を完全に甘やかしてしまった。
p203~
 ギリシャでは、定年退職したあとも給料とほとんど同じ額、つまり100%の年金をもらえるシステムや医療費を全く払わずに済むシステムが確立している。したがって、この特権が奪われそうになれば、国民は暴動を起こし、首相を追い出してしまう。
p206~
  もともとアメリカはキリスト教の国である。だが自由、平等、民主を国是にする国でもある。したがってキリスト教に対立的な回教も、平等の考え方から受け入れている。だがそれにしても、回教徒を軍人に採用して、中東で戦わせたのは、思慮に欠けるやり方だった。第2次世界大戦でアメリカ政府は、日系アメリカ人兵士を太平洋ではなく、ヨーロッパに送ってドイツと戦わせた。
p207~
  日本にも、アメリカ的な自由、平等といった考え方に共感する人は大勢いる。だがその共感が世界国家主義につながっているケースが多い。国境がなくなり世界が一つになれば、人間はもっと幸福になるという考え方である。だがすでに述べたように、人類のDNAが突然変異を起こさないかぎり、世界国家が実現することはない。
  人と人との対立は人間の自然のあり方なのである。人は己の利益を守ろうとして対立する。思想や宗教で対立する。ハッサム中佐は、アメリカという国に、同じ回教徒である人々に銃を向けろと命令されたことに反発し、悩んだ末に回教徒ではない人々に銃を向け殺傷した。
  アメリカだけではなく、世界のあらゆる場所で人種や宗教からくる対立が起きている。つまりアメリカだけの問題ではない。人間そのものの問題なのである。簡単に言ってしまえば、理念や考え方、宗教が異なる人々が、一緒の行動をとることは非常に難しいということである。だからといって一人ひとりが勝手な行動をとり続ければ、アナーキー、無政府状態の混乱に陥る。人を国に置き換えれば、世界国家というものがいかに現実離れした考えかがよく分かる。
p208~
  国が真二つに分裂して混乱に陥っているアメリカは、自由、平等という建国の父たちの理想を受け継いでいくことができるのか。(略)
 情報化と国際化が拡大する新しい状況の中で、アメリカは235年前に歴史が始まって以来の危機に陥っている。このアメリカの危機は、ある意味では人類全体の危機でもある。
p225 第5部 アメリカが社会主義国家になる
p228~
 オバマ大統領の新しい国民健康保険制度は、オバマ大統領が推進している社会主義的な政策の象徴である。アメリカは、もともとがチャンスの国といわれ、成功した人々が途方もない報酬を手にすることができる。機会は平等だが、結果は平等でないのがアメリカという国なのである。
p229~
 アメリカ政府の統計によると、アメリカ人が支払っている2兆㌦の税金のうち、半分に近い41%を1%のアメリカ人、つまり300万人が支払っている。そしてその300万人の人々は、アメリカの国民総生産のほぼ5分の1、1兆㌦を稼ぎ出している。日本のGDPは5兆㌦あまりといわれているが、ほぼそれに匹敵する国民総生産を300万人のアメリカ人がつくりだしているのである。
 すでに述べたように、アメリカ人の半分近くの人は税金を払わず、アメリカ政府から生活保護費、医療費、それに食糧クーポンまでもらっているのである。
 「これはまさに社会主義」
 『ウィークリー・スタンダード』のノミエ・エネディ記者はこう述べているが、こうした状況が、アメリカを窮地に追い込んでいるのである。
p230~
 アメリカ人の3分の1にのぼるヒスパニックやアフリカ系のアメリカ人が全てではないが、その多くが「アメリカに行けば、ただで国が養ってくれる」と考えて、アメリカにやってきた人々である。オバマ大統領が推し進めている福祉拡大政策は、民主党特有のものであると同時に、三つ目のアメリカを構成している人々の考え方を反映しているのである。
 *強調(太字・着色)は来栖
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