「トヨタ」岐路に立つ王者 吹き飛んだ1兆円 底無し危機、見えぬ来期

2008-11-07 | 社会

【トヨタ業績予想】

 米国発の金融危機は「世界のトヨタ」さえものみこんだ。6日、2008年9月中間決算の発表に合わせ、通期の業績予想を大幅に下方修正したトヨタ自動車。その営業利益見通しは、前期比で7割以上も減少するという衝撃の数字だった。実体経済に波及する底無しの金融危機を前に、増収増収を続けてきた王者トヨタが、歴史的な岐路に立った。(経済部・萩文明、細井卓也)
■ショック
 08年3月期決算で、過去最高となる2兆2千7百3億円の営業利益を稼ぎ出したトヨタ。原材料費の高騰などを受け、09年の3月期は29・5パーセント減の1兆6千億円を見込んだ。予想を超える販売不振が続いても、4-6月期決算の発表(8月)では、その見通しを変えなかった。
 だが、この日ー。営業利益予想は、アナリストや投資家の見方を大きく下回る「6千億円」。前月比でわずか4分の1にまで減少し、当初見通しからは実に1兆円が吹き飛んだ。ホンダの5500億円と比べても大差ない。トヨタの売上高はホンダの2倍だから、おの「傷」の深さが浮かび上がる。
 トヨタの4-9月期の営業利益実績は、既に5820億円。つまり下半期の6ヵ月間で、わずか180億円しか利益が出ない計算だ。トヨタ単体では通期で9割近い減少となり、下半期に限れば1125億円の赤字に転落する。
■急激な円高
 最大の減益要因は、予想を上回る急激な円高だ。4-6月期決算では1㌦=105円、1ユーロ=161円の設定だったが、9月以降の金融危機で円の独歩高が進行。想定レートを大きく見直した結果、その損益は前期比で6900億円に上る見通しとなった。
 さらに金融危機は、先進国などの市場縮小に拍車を掛けただけでなく、需要が堅調だった新興国にも波及。販売不振が深刻化した結果、通期の連結販売台数見通しを874万台から50万台も下方修正した。これらの減益額が前期比で6100億円。販売不振の米国で1部工場を稼動停止したことから、諸経費などの増加分も3103億円に膨らんだ。
■勢いどこへ
 相次ぐ減産、期間従業員の削減、販売計画の見直し・・・。いまのトヨタに、世界最強と形容されるまでに上り詰めた勢いはない。「主戦場」の米国市場が回復に向かう兆しは見えず、09年の年間販売台数はさらに減少するとの見方が強まる。「先が見えない。どんどん悪くなっている」(トヨタ幹部)。その「強さ」の土台を支える設備投資費(09年3月期で1兆4千億円)などでさえ、来期は減額を迫られる。
 だから「海外投資家らは既に、来期のトヨタは赤字転落もありえるとみている」(自動車アナリスト)。
 石油ショックや日米摩擦など、数々の苦境を克服してきたトヨタ。自動車産業自体が収縮し、米国の大手3社が苦闘する中、未曾有の危機を乗り切ることができるのか。伊地知専務は「今期を底に、来期は『トヨタ健在なり』と言えるようにしたい」とだけ言い残して、足早に会見場を後にした。2008/11/07中日新聞朝刊【核心】

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〈来栖のつぶやき〉昨夕のトヨタ自動車木下光男副社長の「発表」(2009年3月期連結決算の業績予想)。私などの予想を遥かに超えて、痛撃だった。「トヨタ」は、というか、「自動車産業」は、裾野が広い。影響は甚大だ。
 モノづくり県愛知としては、来年度の予算編成を控えて財政ピンチは否定しようもない。県税収入が大幅にダウンする。名古屋グランパスだけでなく、県自体、トヨタに支えられてきた。
 「期間従業員の削減」。もう2ヶ月近く前になると思うが、NHKのテレビ番組で自動車産業の派遣工員A氏を取り上げていた。2ヵ月後の解雇を通告されて職探しに奔走する日々。「朝、布団のなかで目覚めることが有難い。・・・が、恐い。とてつもなく恐い」と語っていた。派遣工員さんは派遣先の寮に寝泊りするケースが多い、と聞く。「解雇」=「住居の喪失」を意味する。これは、恐ろしい。以来、この言葉は私の脳裏から去らず、朝目覚める度に布団の温かさが切なく、申し訳ない。これから寒さに向かう。http://www.k4.dion.ne.jp/~yuko-k/adagio/haken-koh.htm
 「学生の内定取り消し」という記事も、本日の朝刊に大きく載っていた。http://blog.goo.ne.jp/kanayame_47/e/9643223dd382bc22e3acfe901e77a731


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