名地裁裁判長 無期判決なのに社会復帰を説諭

2007-12-11 | 死刑/重刑/生命犯

 本日の中日新聞社会面に、上掲タイトルの記事があった。例によってコピペしたいと思ったが、残念なことにWEB化されていない。

 光市裁判弁論要旨などは、コツコツ転写するのに、この程度ですら、新聞記事となると、なぞるのは億劫だ。

 しかし、留めておきたい気持ちに促されて、やっぱり、コツコツやる。以下。

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名地裁裁判長 無期判決なのに社会復帰を説諭 16件強盗「常習性」指摘

 この判決公判は十日、名古屋地裁であり、本籍名古屋市北区、無職塩川高範被告(38)が、2001年から05年にかけ、エレベーターに一緒に乗り込みナイフを突きつけて脅すなど、当時15歳から38歳の女性16人に暴行したとして強姦などの罪に問われた。

 伊藤新一郎裁判長は求刑通り無期懲役を言い渡し、判決理由で「強い常習性があり、再犯の可能性も高い」などと言及。しかし、その後の説諭で「社会復帰後は二度とこのようなことをしないように。家族も待っているんだから」と語りかけた。

 これについて、ある司法関係者は「被害者感情を考えるといかがなものか」と指摘。傍聴していた女性も「強い常習性、再犯の可能性を認めておきながら、社会復帰について話すのは違和感があった」と話した。

 一方、ある裁判官は「量刑理由で社会復帰の可能性について触れることはさすがにできないから、説諭したのだろう。被告の年齢が若い時は、社会復帰が考えられるので、自暴自棄にならないよう社会復帰に触れることはやむを得ない」と理解を示した。

 無期懲役は死刑についで重く、満期の定めがない刑。実際は10年経過すると仮釈放を申請でき、矯正施設での受刑者の生活態度によって出所が判断される。無期懲役の受刑者が仮釈放されるまで平均年数は25年1月(06年調査)という。

 「違和感はない」渥美東洋・京都産業大法科大学院教授(刑事法)の話

 傍聴人の誤解を招かないように、裁判長はていねいに説明すべきだった。ただ、説諭は刑務所で罪を償うことで更生を促したもので、違和感はない。 

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<来栖のつぶやき>

 無期懲役刑の実際と市民の認識とに、ずれがある。しかし、刑というものは、あくまでも罪を自覚させ、更生を目指すものだろう。単なる懲らしめではない。人間が、人間の(社会の)中でまっとうに生きてゆく。隔離された中で生きるのは、人の生き方ではない。ある意味、死刑よりも残酷である。

http://www.k4.dion.ne.jp/~yuko-k/kiyotaka/colum3.htm

 犯罪は、この社会とは無関係に単独に或る日突然天から降ってきたもの、ではない。この人間社会のなかで起きた。加害者側に立って弁護しているのでも責任転嫁しているのでもない。私たちが、犯罪の拠ってくる原因を解明し、自分のこととして考えなければ、同じ犯罪が繰り返される。ガス抜きのように、死刑にしたり、一生人間社会に復帰できない無期にして追いやってしまっても、病巣が私たちのうちにある以上、犯罪の元を絶つことはできない。


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