和歌山毒カレー事件 林真須美死刑囚弁護団 再審請求補充書などを和歌山地裁に提出

2013-03-10 | 死刑/重刑/生命犯

和歌山カレー事件、死刑囚宅と現場「毒物組成違う」弁護団
日本経済新聞2013/3/9 23:01
 和歌山市で1998年7月、4人が死亡した毒物カレー事件で、再審請求している林真須美死刑囚(51)の弁護団は9日、大阪市内で記者会見し、組成の特徴が同一とされた林死刑囚の自宅台所にあったポリ容器と現場の紙コップに付着した亜ヒ酸の鑑定結果を京都大教授が分析した結果、組成は異なると発表した。
 弁護団は分析結果を再審請求補充書などとともに2月28日付で和歌山地裁に提出し、再鑑定を求めている。安田好弘弁護士は「判決が採用した鑑定の信用性は乏しい。別物であることが証明されれば再審に近づく」としている。
 2009年の最高裁判決は、カレーに混入されたものと組成上の特徴が同じ亜ヒ酸が自宅や周辺から発見されたことを、有罪の根拠となる状況証拠の一つと判断した。
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「現場のヒ素は別物」 和歌山毒物カレー事件、弁護団が分析結果
産経新聞2013.3.9 21:17 [westナビ]
 平成10年に4人が死亡した和歌山の毒物カレー事件で、殺人罪などで死刑が確定し再審請求をしている林真須美死刑囚(51)の弁護団は9日、大阪市内で記者会見し、現場の紙コップに付着したヒ素と林死刑囚の自宅から押収されたヒ素は特徴が異なり、同一ではないとの分析結果が得られた、と明らかにした。
 弁護団によると、1審和歌山地裁で採用された鑑定では、2つのヒ素に特徴が共通する部分があり、同一製品とされた。確定判決は鑑定結果などに基づき林死刑囚が紙コップを使って、自宅にあったヒ素をカレー鍋に混入したと認定した。
 しかし、京都大大学院の河合潤教授(分析化学)が鑑定結果を分析したところ、ヒ素の特徴が異なる部分が見つかったとし、ヒ素は同一でないとの結果が出たという。
 これを受け、弁護団は先月28日、再鑑定を求める新たな再審請求補充書などを同地裁に提出。「確定審の鑑定ではヒ素の生産地が同一と立証されたに過ぎず、林死刑囚は犯人とはいえない」と主張している。
 確定判決によると、林死刑囚は10年7月25日、夏祭りのカレー鍋にヒ素を混入させて4人を殺害し、63人を急性ヒ素中毒にさせた。
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記者は見た、カレー事件の『スプリング8』…〝魔法の光〟から生まれるシャンプー、ガム、クスリ
産経新聞2013.3.9 18:00 [west経済]

   

 *ドーナツ形のスプリング8内部。奥へ行くほど右へカーブしている=兵庫県佐用町
 兵庫県佐用町に世界最先端の科学分析装置が2つもある。理化学研究所が所有する大型放射光施設「SPring-8(スプリング8)」とエックス線自由電子レーザー施設「SACLA(さくら)」。内部に“潜入”すると、人類にとって未知の世界をのぞかせてくれる「夢のマシン」だった。
■カレー事件で全国区
 平成9(1997)年に稼働したスプリング8は直径500メートル、1周約1・4キロの巨大なドーナツ形で、樹木の茂った小山の周囲を「シャンプーハット」のように取り囲んでいる。内部に入ると、「果てしなくカーブしたトンネル」という印象で、最先端の機械が整然と並ぶ。
 建設費は約1100億円で、「放射光」と呼ぶ強力な光を生み出す。
 光の速さぐらいに加速させた電子の進行方向を磁石で曲げると、レントゲン撮影の100億倍の明るさの「放射光」が出てくる。この放射光を当てると、従来は分析できなかった物質の細かい動きが観察できる仕組み。いわば、超高性能の「顕微鏡」だ。
 放射光の取り出し口「ビームライン」は62カ所設置でき、現在は55カ所が使われている。研究成果を公表すれば利用料は無料だが、一定の利用料(8時間当たり31万2千~48万円)を支払えば、成果を非公開にできる。
 スプリング8の名を一躍高めたのが、67人がヒ素中毒となり、うち4人が死亡した「和歌山毒物カレー事件」(平成10年)の科学鑑定だった。
 事件現場のカレー鍋に残っていたヒ素はきわめて微量だったため、従来の分析手法では、被告宅から押収されたヒ素と比較できなかった。だが、高精度のスプリング8による分析の結果、カレー鍋のヒ素と被告宅のヒ素は「同一」とみなされた。
■化学変化もくっきり
 そのスプリング8の10億倍もの「魔法の光」をつくるのが、隣接するエックス線自由電子レーザー施設「SACLA(さくら)」だ。全長700メートルの細長い建物で、航空写真では、スプリング8と合わせてアルファベットの「P」のように見える。建設費は約390億円で昨年3月に稼働した。
 原子は、1兆分の1秒というわずかな時間で別の原子とくっついたり離れたりするが、スプリング8では一瞬の動きは、ぼんやりとしか見えなかった。
 これに対し、さくらは10兆分の1秒間隔で撮影できるため、理研播磨研究所の生越満・研究推進部企画課長は「原子レベルの化学変化の様子がくっきりと観察できる」と胸を張る。
 さくらの建設には、住友重機械工業や三菱重工業、東芝など国内企業約500社が結集し、オールジャパン態勢で臨んだ。このため、欧米の施設より小型で省エネ性にも優れている。
 また、大型放射光施設とエックス線レーザー施設の“共存”は世界唯一で、両施設の光を同時に使える実験室も整備した。さくらで得られた大量の実験データを、同じ兵庫県内にある世界最高水準のスーパーコンピューター「京(けい)」(神戸市)に送って詳しく解析する試みも始まる。軌道に乗れば、関西から世界初の発見・発明が相次ぐかもしれない。
■「期待大」の製薬企業
 スプリング8の研究成果からは、ガムやシャンプー、充電池など多くの日用品も生まれた。たとえば、花王は、毛髪の内部構造やくせ毛の様子を分子レベルで解明し、シャンプーなどのヘアケア「セグレタ」シリーズの開発に結びつけた。
 また、江崎グリコの特定保健用食品(トクホ)のガム「POs-Ca(ポスカ)」は、初期の虫歯になりかけの歯を健康な状態にする機能をスプリング8で確認した。
 中でも製薬業界の両施設に寄せる期待は大きい。医薬品の開発では、体の細胞内で情報をやり取りする「膜タンパク質」に化学物質(新薬候補)がどう作用するかを解き明かすのが最善だが、これまで膜タンパク質の構造解析は不可能とされてきた。
 しかし、スプリング8やさくらの光をあてると、膜タンパク質の瞬時の変化を捉えられるかもしれない。実際、製薬業界は平成23年度までの10年間、スプリング8に専用ビームラインを作って各社に時間貸しし、順番待ちができるほど盛況だった。
 理研は「スプリング8の利用料収入の6割は製薬会社だった」と打ち明ける。
 さくらは当面、成果を公表する代わりに無償で使えるが、1つの新薬開発に数百億円もの巨費が掛かる中、「製薬会社はライバル企業に手の内を明かしたくない」(関係者)のが実態。今後は、スプリング8のように、成果を非公開にする代わりに一定の利用料を支払う仕組みが求められそうだ。(藤原章裕)
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第1回和歌山カレー事件を考える人々の集い報告 2007.12.9(抜粋)
安田好弘弁護士の話
【質疑応答】
──スプリング8の鑑定とは信頼できるのか?
 スプリング8の鑑定は仮に正しかろうが、先にも話したように20万分の1の砒素の行き先を特定したに過ぎません。判決文をみると、一審の裁判官もスプリング8に疑問を持っています。
 しかも、スプリング8の鑑定では、カレー鍋から検出された砒素や林家から見つかった砒素が「同一工場で同一時期に同一工程で製造された」と結論しながら、捜査では、どこの工場で製造されたか、わかってないんです。ですから本当にそんな工場があるのか、砒素の輸入先である中国にも一度行ってみたいと思っています。
──証拠の発見経緯も不自然だということだが?
 林家から発見されたプラスチック容器については、台所のボードに置いてあったことになっています。しかし、最低限135グラムの砒素を入れた容器が、お椀なども入っているボードの中に入っていたのに、家族は誰もそんな容器を見たことがない。とくに、お弁当をつくっていた林さんの長女は毎日、そこを開けていたのに一度も見ていないんです。
 しかも、その容器は事件から2ヶ月もたって、家の中に置かれていた。それが本当なら眞須美さんが大マヌケなのか、家族が全員共犯で口裏を合わせていることになるが、そんなことは絶対にありっこないんです。
──上告趣意書の主要な論点と、これから出していく補充書は?
 上告趣意書はこれまで話したように、もう一度事件を見直してみようということでまとめています。
 それから、一、二審でまではなかった新しい証拠としては、捜査機関の内部資料が我々の元に入ってきています。これは和歌山県警が、「自分たちは事件解決のためにこれほどがんばったんだ」という話をまとめているんですが、それを見ていると、証拠として上がってない話も色々出てくるんです。
 たとえば、それを見ると、眞須美さんのお兄さんから警察に任意提出された砒素があるんですが、それが林家から見つけた砒素とすり替わった可能性が大だとわかった。それから、林家の関係者2人を3ヶ月間、保護と称して隔離して、どんどんウソの供述をつくり、林夫婦を保険金サギで別件逮捕したこともわかりました。
 また、県警が公判対策として、付近の目撃者や関係者を送り迎えして、証言をデータベース化して、食い違いのないように作り替えていったこともわかりました。こういったことを県警は勝利宣言として書いているのですが、これらは我々に有利な証拠です。
 また、次女の方が当時書いていた日記の中にも、新証拠が出ています。
──林家から発見されたプラスチック容器から指紋の検出は?
 一切、出てきてません。また、そのプラスチック容器はビニール袋に入っていたんですが、その袋にも指紋はついてない。しかも、このプラスチック容器がおかしいのは、「白アリ薬剤」(=砒素)と黒のマジックペンで書いてあるんです。これでは、わざわざ「私が犯人です」と言っているようなものです。
──現場周辺に他に砒素を使っていた人物は?
 明らかになっているだけでも、現場付近に6人、砒素と関係ある仕事をしていた人がいたんです。
 ですから、実はこの地域では、砒素はまったく珍しいものではないんです。
 あと、砒素は毒性が強いので、ある時期から使用禁止になっていたんですが、その代わりに新しく出てきた薬より砒素はずっと安くて、雨が降っても流れないという利点もあり、みんな隠れて使っていたんです。ですから、警察が「オタクが砒素を使ってましたか?」と聞いても、誰もが異口同音に「使ってません」という。探しても出てこないものなんです。
──眞須美さんの次女の証言が取り上げられなかったそうですが、家族の証言は法廷ではいつも信用されないんですが?
 そうですね。だから、家族の話を信用させるのは、難しいんです。ですから、本当なら、お嬢さんの証言を否定させる証言を検察に出させればいいんです。しかし、それは検察から出てきていない。にも関わらず、「親子だから」ということで退けられてしまったんですね。
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