中国 2012年国防予算 8兆7千億円 前年11・2%増/経済成長重視の姿勢見直しか/ 全人代 5日から

2012-03-05 | 国際/中国/アジア

中国国防費、初の1000億ドル超 
中日新聞 2012年3月4日 20時57分
  【北京=安藤淳】中国の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)の李肇星報道官は4日、北京で記者会見し、2012年の国防予算が前年実績比11・2%増の6702億7400万元(約8兆7千億円)に上ることを明らかにした。
 実績比で2年連続の2桁の伸びとなり、ドル換算では約1063億9千万ドルと初めて1千億ドルを超えた。3年連続で米国に次ぎ世界2位の軍事費となるのは確実だ。当初予算比では11・5%増で24年連続の2桁増。
 中国は昨年、旧ソ連製空母「ワリャク」を改造した中国初の空母の試験航海を開始し、ステルス戦闘機「殲(せん)20」の開発を進めるなど、軍事力増強に力を入れ、周辺国の懸念が高まっている。
 また、本来なら軍事費に含まれるはずの予算が別枠に盛られ、実際の軍事費は公表値をはるかに上回るとの見方も根強い。
 李報道官は、11年の国内総生産(GDP)に占める国防費の割合は1・28%で、2%以上の米英より低いと説明。「新型兵器を含むすべての武器装備の研究、試験、調達、修理、輸送、保管費は、毎年公表する国防予算に含まれている」と透明性を強調した。
 国防費を含む12年予算は5日に開幕する全人代に提案される
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中国 成長重視の姿勢見直しか
NHK NEWS WEB 3月5日 6時50分
中国の向こう1年の重要政策を話し合う全人代=全国人民代表大会が、5日から始まります。
中国では、ヨーロッパの信用不安の影響が広がるなか、汚職や環境問題など高成長の弊害も深刻化しており、指導部は、経済成長率の目標をやや引き下げ、成長重視の姿勢を改める方針を打ち出すものとみられます。
全人代は、5日から北京の人民大会堂で始まり、初日は温家宝首相が施政方針演説にあたる政府活動報告を行います。
この中で、温首相は、中国でもヨーロッパの信用不安の影響で景気の先行きへの懸念が広がる中、去年まで7年連続で8%程度としてきた経済成長率の目標をやや引き下げ、これまでの成長重視の姿勢を改める方針を打ち出すものとみられます。
これは、高成長を達成するために、地方の幹部などが強引に土地を収用したり、企業が環境対策を十分にとらず、大気汚染などの公害を行政が野放しにしたりするケースが相次ぎ、国民の不満が高まり、一部で激しい抗議行動が起きていることが背景にあります。
中国では、ことし秋の共産党大会で、最高指導部の大幅な若返りが予定されており、指導部としては、経済成長より国民生活を重視する姿勢を強調することで、社会の安定を維持し、円滑な交代を図りたいねらいもあるとみられます。
全人代は、14日まで開かれる予定で、このほかに、経済面でアメリカに次ぐ大国となり、注目が高まっている外交政策や、チベットなどの少数民族による独立を目指す動きを受けて、どのような対応を打ち出すのかも焦点です。
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中国が軍備拡張 /2012年 国防予算 8兆7千億円/日本にシーレーンの危機管理シナリオはあるか2012-03-05 | 国際/防衛/(中国・・・)
 中国が軍備拡張、日本にシーレーンの危機管理シナリオはあるか?
 中国の全国人民代表大会第5回会議が3月5日から開かれる。国防予算が注目の的になっているが、日本もそれに対応したシーレーンの危機管理シナリオを策定しておくべきではないだろうか。 
 藤田正美の時事日想 :Business Media 誠 2012年03月05日 07時59分 UPDATE
 中国の国防予算は1989年以来ほぼ一貫して10%前後の高い伸び率を保ってきた(リーマンショック後の2009年の公表数字も7.5%増だった)。ほぼ5年で倍になるようなペースである。全人代の李肇星報道官(前外相)はこのことについて、「中国は沿岸線も長く、広大な国土を守らなければならず、この金額でもGDP(国内総生産)の1.38%と、ほかの大国に比べて多いわけではない」と強調している。
 もっとも中国の国防予算の数字が実態とはかけ離れたものだということも広く言われている。例えば、2011年の米国防総省による連邦議会への報告書によれば、2010年の中国国防予算は公表数字のほぼ倍の1600億ドル(約12兆8000億円)に達するとしている。軍事予算の透明性を周辺各国から要請されていることから、中国政府の姿勢にも変化が現れていると評価されているが、それでも今年の予算も「過少申告」されていることは間違いあるまい。
 周辺諸国にとって大きな問題は、中国が隠そうともしない中国の資源ルートへの野心だ。とりわけ現在の焦点は南シナ海。ここではフィリピン、ベトナムなどが中国との領土紛争を抱えている。中国がこの地域を「核心的利益」として西沙諸島や南沙諸島などの領有権を主張しているからだ。
 このため中国人民解放軍は空母機動部隊を編成することを当面の目標とする。旧ソ連から購入した空母は改装を終え、試験航海を繰り返しているほか、自前でも2隻の空母を建造中だ(実際に、運用されるまでには数年はかかるだろうし、3隻の空母を保有しても同時に任務に就くのは1機動部隊だとある軍事関係者は言う)。
 中国人民解放軍海軍のこうした戦力増強は、中国が資源の輸入国になったからである。国益を守るために、原油や鉱物資源がアフリカや中東から運ばれてくるシーレーンを防衛するというわけだ(日本でもシーレーン防衛が議論されたことはあるが、自衛隊の能力を大きく超えることもあって立ち消えとなった)。つまり中国海軍の任務は、従来の沿岸防衛から遠洋へ拡大したのである。
■日本も危機管理のシナリオを
 こうした中国海軍の「質的変化」にとって、最も警戒すべき相手が米海軍であることは言うまでもない。このため中国人民解放軍は米海軍機動部隊を寄せ付けないために、弾道対艦ミサイル(東風21D)を開発した。射程が3000キロとされ、「これを防ぐ有効な手段が米軍にない」と軍関係者は言う。そうなると空母は東シナ海に入ることが難しくなり、大幅に米海軍の能力が制限されてしまう。
 日本にとっては、米海軍の行動が制限されることも大きな問題だし、南シナ海の自由航行が阻害されるかもしれないことも大問題である。日本に入ってくる原油の約8割が南シナ海を通過する。もちろん原油だけではない。そのほかの資源もかなりの量が南シナ海を通って運ばれてくる。
 ある米軍関係者は、「だから戦前の日本軍は南方へ進出した。その状況は今でも変わらないのに、南シナ海への日本のコミットは弱い」と言う。むろん海上自衛隊そのものが南シナ海に「進出」するということではなく、日本が南シナ海の周辺諸国とどのような関係を結び、中国をけん制するのかということだ(そうした観点から見た時、沖縄の普天間基地移設問題で日米間をギクシャクさせた鳩山元首相の責任はあまりにも重い)。
 李肇星報道官がどう言いつくろうと、中国の軍事予算の膨張が周辺諸国に緊張をもたらしていることは間違いない。第二次大戦で敗戦国になって以来、とかく我々は安全保障問題から目をそむけがちだ。目をそむけることで経済的繁栄を謳歌してきたことも事実である。
 しかし東アジアから東南アジアにかけての軍事バランスが大きく変化することが、日本にどのような影響をもたらすのかということを真剣に見つめる必要がある。変化の過程では必ず緊張が生まれる。そして場合によっては、当事者が意図しない力が働いて、緊張がやがて暴発する可能性もある。
 緊張状態が生まれた時、日本がどうするのか。危機管理のシナリオを作っておかないと、いざという時に状況に対応するだけで手一杯になってしまうかもしれない。福島第一原発のオフサイトセンターは、放射能を防ぐことができず、また停電時の対策もなかったために、何の役にも立たなかった。「最悪のシナリオはありえない」ということが何の根拠もない楽観論だったことが今さらながら身にしみる。まさか一国の将来がかかる安全保障で根拠のない楽観論に身を任せているなんてことはないと思いたいが、どうだろうか。
著者プロフィール:藤田正美
「ニューズウィーク日本版」元編集長。東京大学経済学部卒業後、「週刊東洋経済」の記者・編集者として14年間の経験を積む。1985年に「よりグローバルな視点」を求めて「ニューズウィーク日本版」創刊プロジェクトに参加。1994年~2000年に同誌編集長、2001年~2004年3月に同誌編集主幹を勤める。2004年4月からはフリーランスとして、インターネットを中心にコラムを執筆するほか、テレビにコメンテーターとして出演。ブログ「藤田正美の世の中まるごと“Observer”」
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