石油卸商社「石橋産業」側から約179億円の約束手形をだまし取ったとして、詐欺罪などに問われた不動産管理会社元代表・許永中受刑者(60)と元東京地検特捜部検事で弁護士の田中森一被告(64)ら4人の上告審で、最高裁第1小法廷(横尾和子裁判長)は上告を棄却する決定をした。
決定は12日付。許受刑者を懲役6年、田中被告を同3年とした2審・東京高裁判決が確定する。
許受刑者は、戦後最大級の経済事件ともいわれた「イトマン」事件で2005年10月に懲役7年6月、罰金5億円の実刑判決が確定後に服役しており、刑期が延長される。田中被告は刑が確定すれば弁護士資格を失い、収監される見通し。
このほか、許受刑者の関連会社元役員の田中久則(54)と尾崎稔(61)の両被告も執行猶予付き判決が確定する。1、2審判決によると、許受刑者らは1996年、石橋産業側に許受刑者の関連会社がノンバンクに差し入れていた建設会社株の買い取りを要求。代金として約179億円の約束手形をだまし取った。(2月13日20時48分配信 読売新聞)
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マスコミ活動の田中被告と健康不安の許被告
2月13日20時11分配信 産経新聞
有罪が確定する田中森一被告は昨年、自伝を出版するなどマスコミで積極的に活動するほか、冤罪(えんざい)をテーマにしたシンポジウムにも参加していた。一方、許永中被告は、かつて政界から闇社会まで幅広い人脈を持つ大物フィクサーとして名をはせたが、最後に公の場に姿を見せた平成18年1月の2審判決の言い渡し中に倒れるなど、健康に不安があるとみられる。
田中被告は昭和18年生まれ。46年に検事に任官、大阪地検特捜部や東京地検特捜部などで勤務し、特捜検察のエースとして活躍した。63年に検事を辞職し、大阪市内に事務所を開設して弁護士として活動を開始した。
暴力団幹部や「イトマン事件」で実刑が確定した元イトマン常務らの顧問弁護士を務めた。
上告中の昨年、『反転 闇社会の守護神と呼ばれて』(幻冬舎)や『検察を支配する「悪魔」』(講談社)などを出版。古巣の検察を厳しく批判していた。また、「上告が棄却されたら弁護士バッジを返上する」などと発言している。
許被告は昭和22年に大阪で生まれた。仕手戦や企業乗っ取りで、たびたび名前が取りざたされていた許被告の名前が一気に表舞台に出たのは、大阪地検特捜部が平成3年に摘発したイトマン事件だった。
その後、国会議員との交際など幅広い人脈が明らかになったが、バブル崩壊後は資金繰りに行き詰まり、かつての力は失っているとみられる。
イトマン事件の公判中の9年、渡航先の韓国で消息を絶ち、11年に都内のホテルで身柄を確保されるまで逃走を続けた。
また、2審判決で「健康が不安定」と指摘されたように、許被告は1、2審判決とも、言い渡し中に一時、意識を失っている。2審判決では、公判が一時中断。
刑務官の呼び掛けにも答えられず、大物フィクサーといわれたかつての面影はなかった。
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◇ 田中森一著『反転・闇社会の守護神と呼ばれて』幻冬舎刊
◇ 検察を支配する「悪魔」田原総一朗+田中森一(元特捜検事・弁護士)講談社 2007年12月5日第1刷発行 [1]
◇ 検察を支配する「悪魔」田原総一朗+田中森一(元特捜検事・弁護士)講談社 2007年12月5日第1刷発行 [2]
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