なぜ日本政府は外交下手になったのか / 「憲法9条」+「日米安保」=平和の愚民

2012-08-25 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉

藤田正美の時事日想:なぜ日本政府は外交下手になったのか
[Business Media 誠]2012年08月20日07時59分 UPDATE
 日米同盟によって大きなメリットを享受してきた日本。しかし、米ソ冷戦の終了や民主党政権の“政治主導”により、外交の軸が見出せなくなっている。
 やっぱり「平和ボケ」国家というべきだろうか。戦後日本の奇跡の復興、そして長い繁栄と平和、いったいこれは何によってもたらされたのか。良くも悪くも、この繁栄の礎は日米同盟である。米国が日本を守る(別の言い方をすれば、日本に再軍備をさせることなく共産主義を封じ込める)という条件の下で、日本は経済力の復興に全力を注ぎ込むことができた。あえて言えば、平和を獲得する努力をせずに、平和の恩恵を享受してきた。
 もちろん米国は自分たちの国益のために日本に駐留しているのだが、基地を提供するなどのコストを差し引いても、日本全体から見ればプラス面が大きかった。それは瞬間的であれ何であれ、日本の1人当たりGDP(国内総生産)が米国を抜き、世界で第2位になったことからも明らかである。
 しかし利益があった反面、失ったものもある。その一つは外交の力だ。米国に寄りかかるように展開してきた外交は、米ソ冷戦時代でこそ通用した。ソ連を「仮想敵国」とし、日本はいわばその最前線という状況の中では、ほかの選択肢はなかなか考えにくかったからである。そして1991年ソ連が崩壊する。世界を分断していたイデオロギーが消え、米ソ冷戦が終焉した。日本外交が漂流する原点はそこにある。
 米ソ冷戦に代わる外交の軸、いわば「戦略目標」が見いだせなかったために、ともすれば二国間の問題に焦点が当たりがちになる。例えば日中間で言えば、尖閣諸島や靖国参拝問題だ。日韓間で言えば、竹島や従軍慰安婦問題である。しかしもっと大局的に見れば、いったんは米国が唯一の超大国になっても、やがて中国の経済力が大きくなって、日本を抜くことは目に見えていた。つまりはアジアのパワーバランスが大きく変化するということである。
 その中で日本がどのように自国の利益を守り、発言力を維持していくのかが、重大な問題になるはずである。中国が発展するのを阻止することはできないし、阻止することが日本の利益でもない。その中でも日本の地位をどのように維持するのかということだが、日本政府がその準備をしてきたようには見えない。
 唯一それらしきことを打ち出したのは麻生外務大臣だったのかもしれない。「自由と繁栄の弧」と称して民主主義を軸にユーラシア大陸を取り巻くような諸国に働きかけていこうというのである。麻生外相はこの「自由と繁栄の弧」は従来の外交努力の延長線上にあるもので、別に新機軸でも何でもないと語っている。
■民主党政権下で4人目の外相
 しかし不幸なことに2009年夏に登場した民主党政権は、こうした外交の軸をまったく無視したかのようだ。岡田克也氏(現副総理)から始まって、前原誠司氏(現政調会長)、松本剛明氏そして玄葉光一郎現外相とわずか3年の間に4人もの外相が登場している。これで「政治主導」を主張されたのでは、現場はたまったものではあるまい。
 そればかりではない。2009年に有権者の期待を一身に担って登場した鳩山首相は、外交的にはまったくオンチであることを露呈してしまった。「東アジア共同体構想」「対等な日米関係」「(普天間基地移転は)最低でも県外」と言って、日米関係をギクシャクさせてしまったのである(本人がいまだにこれらの一連の発言がどのような影響を及ぼしたのかについて、ほとんど「無自覚」であるように見えるのは理解しがたい)。
 米国側から見れば、上の3つのキーワードからなる方程式の意味するところは「米国から離れ、中国に接近する」ということだ。それは中国の台頭を警戒する米国にとっては西太平洋における戦略の大幅見直しに通じる。いくら外交戦略を理解していない首相だとしても、日本の最高権力者の発言だから無視できるはずもない。結局、鳩山首相は「勉強したら米海兵隊は沖縄に必要だということが分かった」と言って、辺野古への移転を認めようとしたが、沖縄の理解を得られるはずもなく、対米関係の修復もできないまま政権を放り出してしまった。
 ロシアのメドベージェフ大統領(現首相)が北方領土を訪問したときにも、時の政権は激しい言葉で非難しても具体的に打つ手がないから、ロシアからはほとんど無視された。これを見れば、韓国の李明博大統領が竹島を訪問する誘惑に駆られても不思議ではない。軸の定まらない民主党政権のうちに、何とか既成事実を積み上げようというのである。
 不幸なことは、民主党政権が当初から「官僚を信用しない」というスタンスで入ってしまったことだ。もちろん官僚の中には、長年の付き合いがある自民党にすり寄る人もいただろうが、官僚機構という大行政組織、それも過去の経緯を知っている組織を無視してガバナンスは成り立たない。
 政治の混乱を狙って仕掛けてきたロシア、韓国。そして指導部が交代する中国。これらの隣国にどう向き合うのか。日本に与えられている猶予はそれほどない。
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