6/16 朝刊
山口県光市の母子殺害事件で、殺人罪などに問われ一、二審で無期懲役(求刑死刑)を言い渡された男性被告(25)=事件当時(18)=が20日の最高裁判決を前に「罪は重く極刑以外ないが、生きたい。悪人のまま終わりたくない」と話していることが15日、関係者の話で分かった。被害者の遺族に謝罪の手紙を書き続けているという。
上告審では二審判決を変更する際に開かれる弁論があり、最高裁は死刑相当と判断する可能性もある。
弁護側は「ようやく事実と向き合い、反省している」とし、遺族は「手紙は読んでいない。死刑の可能性を感じて初めて真剣になったのだろう」と話している。
関係者によると、被告は1999年4月、会社員本村洋さん(30)の妻=当時(23)=と長女=同11カ月=を殺害したとして逮捕、起訴され現在は広島拘置所に収容されている。
最近の接見では、真剣な表情で罪の重さを認め「きっかけは自分がつくった」と話した。ただ生への執着も示し「自分に何ができるのか。チャンスがほしい」とも述べた。
上告審になり、死刑を求める本村さんの公判調書などを初めて読み、本村さんに謝罪の手紙を送った。何度でも書くつもりという。「もっと遺族の訴えを知りたい」として、本村さんの発言が載った新聞記事などの差し入れを求めた。
一審後、本村さんをひぼうするような手紙を知人に出したことは「もう一つの「罪」と思う。25歳になったが(社会経験が少なく)自分は子供だ」と説明した。
約2年前にキリスト教徒となり「聖書の十戒に『殺すなかれ』などと書いてあるが、そのほとんどをやった。救われるために読むのが聖書なのだが、つらい」と語ったという。