米大使館移転 抗議デモとイスラエル軍の衝突で死者も
NHK NEWS WEB 2018/5月14日 21時03分エルサレム問題
アメリカのトランプ政権は14日、中東エルサレムに大使館を移転し、トランプ大統領の娘のイバンカ氏らが出席して式典が行われます。エルサレムを将来樹立する国家の首都と位置づけるパレスチナ側では、抗議のデモが起きていて、イスラエル軍との衝突で、これまでに25人が死亡し、多くのけが人が出ています。
アメリカのトランプ大統領は、イスラエル建国70年にあわせてテルアビブに置いていた大使館を、イスラエルの首都と認定したエルサレムに移転することを決め、現地時間の14日午後4時(日本時間14日午後10時)から、トランプ大統領の娘のイバンカ氏や娘婿のクシュナー上級顧問らが出席して記念の式典が開かれます。
大使館の移転について、イスラエル側では歓迎する声が多く聞かれ、53歳の女性は「大使館の移転は誇りです。トランプ大統領に感謝します」と話していました。
一方、イスラエルの建国に伴って故郷を追われたパレスチナの人たちにとっては、難民となってから70年という節目にもあたり、さらに反発を強めています。
65歳のパレスチナ人男性は「アメリカ大使館の移転は、パレスチナへの新たな攻撃です。アメリカは常にパレスチナを敵視し続けている」と非難していました。
ベツレヘムなどパレスチナ暫定自治区の各地では抗議デモが始まり、イスラエル軍は催涙ガスや実弾を発砲して抑え込みを図っています。特に激しい衝突が起きているガザ地区では、地元の医療機関によりますと、これまでに25人が実弾で撃たれて死亡し、実弾や催涙ガスによって合わせて1200人がけがをしたということです。
■イスラエル市民は歓迎
アメリカのトランプ政権が大使館をエルサレムに移転することについてイスラエル側では歓迎する声が聞かれます。
このうち2か月前にエルサレムに移ってきたという42歳のユダヤ人の男性は「私たちユダヤ人は、エルサレムが首都と認められることを長い間祈り待ち続けてきました。時とともに、より多くの人たちが、エルサレムをイスラエルの首都であることを受け入れてくれるでしょう」と喜びを表していました。
また市内でホテルを経営する53歳の女性は「大使館の移転は誇りであり、幸せです。トランプ大統領は約束を守る人で、感謝します」と話していました。
エルサレム市内ではあちこちにアメリカの国旗が掲げられているほか「TRUMP MAKE ISRAEL GREAT」、「トランプ大統領はイスラエルを偉大にする」などと書かれた看板が設置されるなど、歓迎ムードに包まれています。
■「パレスチナへの新たな攻撃」
パレスチナ住民からは反発の声が聞かれました。
65歳のパレスチナ人男性は「アメリカ大使館の移転はパレスチナへの新たな攻撃と受け取る。アメリカは常にイスラエルを支援し、パレスチナを敵視した中東政策を取り続けている」と話していました。
また、エルサレムに住む50歳のパレスチナ人女性は「アメリカ大使館の移転でパレスチナにはまた大きな課題ができてしまう」と話していました。
◎上記事は[NHK NEWS WEB]からの転載・引用です
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米大使館、エルサレムに移転 ガザで衝突37人死亡
中東・アフリカ 2018/5/14 22:13
【カイロ=飛田雅則】米国はイスラエル建国70年の14日、米大使館を商業都市テルアビブから、首都と認定したエルサレムに移転した。移転先となった総領事館内で式典を開催。米政権からトランプ大統領の長女イバンカ大統領補佐官やクシュナー大統領上級顧問らが出席した。反発するパレスチナ自治区ガザでは数万人規模のデモが発生。現地メディアによるとイスラエル軍との衝突でデモに参加した37人が死亡した。
14日、在エルサレムの米国大使館の開館式典に臨むイバンカ氏=ロイター
米国のトランプ大統領は2017年12月、エルサレムをイスラエルの首都と認定し、テルアビブから大使館を移転することを決定していた。
イスラエルは1967年の第3次中東戦争で、ユダヤ教やイスラム教、キリスト教の聖地が集中する旧市街を含む東エルサレムを占領。その後、併合しエルサレムを「不可分の首都」と位置づけた。
一方、東エルサレムを将来に独立する際の首都とするパレスチナは反発。1993年のイスラエルとパレスチナの「2国家共存」を目指すオスロ合意では、今後の交渉でエルサレムの帰属を決めるとしていた。
そのため今回の米国の動きに、パレスチナ側は猛反発している。ガザでは大規模デモが発生しており、中東和平交渉の再開は一段と難しくなった。
◎上記事は[日本経済新聞]からの転載・引用です
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◇ きょうエルサレムへ米大使館移転 2018.5.14 高まる大規模衝突の懸念
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