飼い主を守り死亡した盲導犬サフィー/感動した岐阜の男性 盲導犬繁殖施設建設費 生前寄付

2012-04-12 | 社会

飼い主守り犠牲、盲導犬に感動 岐阜・羽島の男性、施設建設費に生前寄付
中日新聞2012/4/12 Thu.
 中部盲導犬協会の盲導犬総合訓練センター(名古屋市港区)敷地に、全国2カ所目の盲導犬繁殖施設が誕生する。建設費を全額寄付しながら、病死した岐阜県羽島市の繊維製造業田中忠司(ただし)さん=享年75=の遺志を継ぎ、羽島ライオンズクラブが建設する。ただ費用を負担するのではなく、基礎工事から内外装までを会員が手掛ける異色の支援だ。(蜘手美鶴)
 繁殖施設建設のきっかけをつくったのは、中部盲導犬協会が送り出した盲導犬サフィーだ。サフィーは静岡県内の男性の元で働いていた2005年、飼い主を守ろうとしてトラックにはねられ死んだ。
交通事故で犠牲になったサフィー(中部盲導犬協会提供)
 子どものころから「自分のご飯は半分でいいから、犬にあげてほしい」と親に言うほど犬好きだった田中さんは、サフィーの悲劇を伝える新聞記事に胸を打たれた。「この子は本当によく頑張った。盲導犬を育てる手伝いができれば」と09年、ライオンズクラブに寄付を申し出た。
 クラブは協会に支援内容を打診。ちょうど協会は繁殖施設の建設を計画していた。専用の繁殖施設がないために出産・子育てできるのは、年間8頭が限度で、障害者の求めに応じきれない。施設が整えば、年間15頭まで増やせる。協会は運営が苦しくなっても建設するしかないと、建設会社に依頼し、7000万円弱との見積もりが出ていた。
 クラブは「会員には設計士も建築士も土建業者もいる。資金を出すだけじゃなく私たちに建てさせてほしい」と持ちかけ、会員が設計書や見積書を見直した。見積もりより1000万円ほど安い約6000万円で試算。しかも、子犬飼育場に床暖房を付けたり、子犬がけがをしないよう内装を柔らかい素材にしたり、細部にこだわった。
 だが、建設話が進んでいた10年、田中さんが亡くなった。生前、田中さんは「私の名前は伏せて、クラブとしてやってほしい」と話し、建設は姉妹クラブの鹿児島ライオンズクラブとの合同事業という形で進められた。
 長女の陽子さん(49)は「入院中は『あとはクラブに任せた。みんながやりやすいようにやってほしい』と言っていた。お父ちゃんらしい」と振り返る。
 当時の会長の大島茂さん(63)は「新施設で子犬を育て、全国に盲導犬が普及してほしい。それが田中さんの思い」。センターの田嶋順治所長は「生きているうちに、子犬をいっぱい育てて見せてあげたかった」と話す。
 11日、関係者が集まり地鎮祭があった。施設は夏ごろに完成し早ければ年末にも子犬が生まれる予定だ。
 盲導犬サフィー 静岡県吉田町で全盲の男性と横断歩道を横断中、トラックにはねられ死んだ。男性は重傷を負い、事故を起こした運送会社などに育成費用や慰謝料など約600万円を求めた損害賠償訴訟を中部盲導犬協会とともに起こした。会社側は「盲導犬は車いすなどと同じ装具で慰謝料は発生しない」と主張していたが、名古屋地裁は「盲導犬は視覚障害者の歩行補助具ではなく、目の代わりで精神的支え」として、約290万円を支払うよう命じる判決を言い渡した。
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