権藤博氏が落合GM査定に疑問符
日刊ゲンダイ2013年11月09日10時26分
権藤博氏が落合GM査定に「好き嫌いでやっている」と疑問符
*らしくないやりかた
「このチームは何位だったの? 勝てば、当然、上がる。でも、下がるときは下がる。それって、不思議?」
中日・落合博満GM(59)の言葉である。
ごもっともだ。今季の中日は12年ぶりのBクラスとなる4位に沈んだ。主催試合の観客動員も97年のナゴヤドーム開場以来、初めて200万人を割った。信賞必罰。落合GMの言うように、選手の年俸に厳しい査定が下されても仕方はない。プロとはそういう世界。異論を挟む余地はないのだが、しかし、である。
では、荒木雅博(36)が40%ダウンの1億2000万円で、なぜ、井端弘和(38)が88%ダウンの2300万円なのか。今季の荒木は105試合の出場で打率.222、0本塁打、19打点。対して井端は100試合の出場で打率.236、1本塁打、18打点。どちらも著しく精彩を欠いたとはいえ、残した成績はほぼ同等だ。ちなみに、守備での失策数も荒木の7に対して井端は6である。
もちろん、細かに査定していけば、勝利への貢献度などで多少の違いが出たとしても、2人の来季年俸に約1億円の差がつくほどではなかろう。井端が手術明けということを差し引いてもだ。例に出して申し訳ないけれど、こちらも25%の大幅ダウンとなった控え捕手の小田の年俸は2700万円。井端はそれよりさらに低いわけだから、落合GMがいくら「戦力外ではない」と言ったところで、井端に納得しろというのはムリな話。本人が退団の道を選んだのも理解できる。
要するに、信賞必罰の基準がはっきりしない。落合らしくないと思うのはここである。
*井端と荒木になぜ1億円もの差が出るのか
井端も荒木も中日にはまだまだ必要な選手だ。昨年、中日投手コーチを務めた私は、井端と荒木には本当に助けられた。全盛期に比べて衰えはあるだろうが、それでも2人の守備力は12球団でもトップクラス。打撃の調子が上がらなくても、右打ちで走者を進めたり、ファウルで粘ったりと彼らの経験、存在感は投手と投手コーチにとって非常に頼りになった。将来を考えれば若返りが必要だといっても、現時点では井端の代わりになる若手は見当たらない。
この点に関しては、井端がいるから、出場機会が制限される若手が伸びない、とも言える。世代交代を考える球団、落合GMの狙いはあるいは、ここにあったのかもしれない。だったら、88%ダウンなどという選手のプライドを踏みにじるようなやり方をせず、初めからスパッとクビにした方がよかった。井端も諦めがつくだろうし、ナインにも今後のチームづくりの指針をはっきりと示せたはずである。
監督時代の落合GMはシビアにしてシンプルだった。強くなるには練習しかないと、選手を徹底的に鍛え上げ、負けない中日の土台をつくった。戦力外ではないと言いながら、井端を退団に追い込むようなやり方は、やはり落合らしくない。好き嫌いでやっているように見えてしまう。
◎上記事の著作権は[livedoor・NEWS]に帰属します *リンクは来栖
関連; 中日 谷繁元信捕手兼任監督「井端の穴補強しない 競争で奪い取って埋めろ」/遊撃候補に高橋周平 2013-11-10 | 野球・・・など
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
◇ 「私が仕えた監督たちとは違う」 権藤博氏が語る落合“オレ流”の凄み 2013-10-05 | 野球・・・など
「私が仕えた監督たちとは違う」権藤博氏が語る落合“オレ流”の凄み
日刊ゲンダイ2013年10月4日 掲載
今季限りでの退任が決まった中日・高木守道監督の後任に、前監督の落合博満(59)の名前が取りざたされている。
落合前監督は11年シーズン限りで退団。球団フロントは、8年間の長期政権によるマンネリとそれによる観客動員減を理由に、リーグ優勝を果たしながらクビを切った。たった2年でその前監督を呼び戻すことになるとしたら、格好のいい話ではない。
関係者は複雑だろうが、今季12年ぶりのBクラスに沈んだ今の中日を立て直すには、落合が最適任だと私は思う。在任中、優勝すること4度。2位からクライマックスシリーズ(CS)を勝ち抜いた07年にはチームを53年ぶりの日本一に導き、8年で一度もBクラスに落ちなかった。
落合という監督の凄みはなにか。改めて考えていた矢先の先日、落合の右腕として辣腕を振るった森繁和前ヘッドコーチと話す機会があった。森は落合から「オレは投手のことは分からん。すべておまえに任せる」と投手陣の全権を委任されていたというのが通説になっているが、実は私は信じていなかった。
私はこれまで計4球団で延べ18年、投手コーチを務めた。仕えたほとんどの監督が「投手のことはすべて任せる」と最初は言うものの、その約束が守られることはまずなかった。特に野手出身の監督はとにかく動きたがる。一年のシーズンをトータルで考える私が、「ここは我慢。ここで投手をコロコロ代えたら、最後まで投手が持たない」と進言しても、まず聞く耳を持たない。近鉄時代の仰木監督も昨年の高木監督もそうだった。必然的に監督と投手コーチは衝突してしまう。
しかし、森は「いや、落合さんは本当に投手のことには一切、口を出さない。その日の先発投手を当日の試合前に知ってたくらい。継投もすべて自分に任せてもらいました」と言った。これが、監督落合の凄さだろう。
オレは投手のことは分からん、という落合の言葉を真に受けるわけにはいかない。投手コーチを天職だと思っている私も実は、野手の方にむしろ一家言を持っている。常に投手の視線で打者を見るから、「そんなバッティングをしていたら、相手投手はラクなもの」「さっきのボールを狙われたら、向こうのバッテリーは困る。それでいいんだ」と、下手な打撃コーチより有益なアドバイスができると自負している。
あれだけの大打者だった落合博満が、投手のことを分からないわけがない。誰よりも鋭い視線で、投手を分析できるはずである。にもかかわらず、「オレは分からんから」と言い、本当に口を挟まない。
自分が口にしたことは絶対に曲げない。信念を貫き通す。これこそ、監督落合の最大の長所だろう。指揮官がブレれば、選手はなにを信用すればいいのか分からない。チームはガタガタになる。今の中日がまさにそれ。これを立て直せるのは、落合を置いて他にいない。
*上記事の著作権は[ゲンダイネット]に帰属します *リンク、強調(太字・着色)は来栖
* * * * * * * * * * * * * * * * * * *
◇ 他の監督とはここが違う 落合博満だけに見えるものがある 2011-11-03 | 野球・・・など
他の監督とはここが違う 落合博満だけに見えるものがある
2011年11月03日(木)週刊現代
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
◇ 中日・井端 退団の裏に落合GMとの“不穏な関係” 落合政権末期には、二塁にコンバートされ・・・ 2013-11-06 | 野球・・・など
.............................