死刑執行記録的ペース 約4カ月で7人

2007-04-28 | 死刑/重刑/生命犯
 中日新聞2007年4月28日 夕刊
 ◆長勢法相「やるべきという意見も多い」
 国会開会中の二十七日に踏み切られた死刑囚三人の死刑執行は、関係者に衝撃を与えた。長勢甚遠法相下の執行は、昨年十二月以来二回目で約四カ月で計七人が執行された。法相在任中の執行人数は、一九九三年に執行が再開されて以降、松浦功元法相と並んで最多となった。こうしたペースでの執行に、死刑廃止論者からは「運動の限界を感じる」との声も出ている。
 「きちんと(死刑執行を)やるべきだという意見も多い。私としては法にのっとり、慎重に精査して判断していきたいと考えている」。死刑執行後に開かれた衆院法務委員会で、長勢法相は言葉を選びながら語った。
 国会開会中の執行は異例で、二〇〇〇年十一月以来。死刑の執行は法相が命令すると、刑事訴訟法は定めている。この時期を選んでの執行には、死刑制度堅持の立場を明確にする意思が感じられる。
 死刑執行は、法相の執行命令書の署名拒否などで約三年四カ月にわたって執行が行われない「空白期間」を経て、後藤田正晴法相当時の一九九三年三月に再開された。
 〇一年以降、人数は年間一-四人で推移する一方、死刑確定者数は〇四年以降、厳罰化を求める世論を背景に毎年二けたを記録。この結果、全国の拘置所で未執行の死刑囚が膨らみ、ことしに入り百人を突破した。
 今回の執行前日には百二人に達していたが、三人が執行され九十九人となった。衆院法務委では、野党議員からの「百人を超えたら、どんどん処刑するのか」との追及に、長勢法相が「そのようなことを前提に考えていない」と語気を強める場面もあった。
 就任七カ月で記録を打ち立てた長勢法相が任期中、さらに執行人数を増やすとの観測も広がり、死刑制度の存廃論議に微妙な影響を与えている。
 死刑廃止を求めている菊田幸一・明治大名誉教授は「『死刑は犯罪』という理論闘争だけでは多くの人の共感が得られない。終身刑の導入を目指す運動も展開すべきだ」と強調した。
 一方、殺人事件で妻を失った経験を持つ「全国犯罪被害者の会(あすの会)」代表幹事の岡村勲弁護士は、長勢法相の判断を支持した上で「厳罰化というが、これまでが軽すぎた。被害者らが声を上げるようになり、ようやく正常な状態に是正されつつある」と主張している。
 
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 死刑判決が増大している。5月24日には、広島で光市母子殺害事件の差し戻し審初公判が開かれる。 

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