小川敏夫前法相 検事への捜査徹底のため指揮権検討したものの、首相了承せず/「虚偽」捜査報告で

2012-06-05 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア

法相“指揮権検討も首相了承せず”
NHK NEWS WEB 6月4日 17時1分
 小川法務大臣は、退任にあたり記者会見し、民主党の小沢元代表の政治資金を巡る事件で、事実と異なる捜査報告書を検察審査会に提出していた検事への捜査を徹底させるため、指揮権の発動を検討したものの、野田総理大臣の了承が得られなかったことを明らかにしました。
 小沢元代表の政治資金を巡る事件では、捜査が進められていた当時、東京地検特捜部にいた検事が、事実と異なる内容の捜査報告書を作成し、検察審査会に提出していたことが明らかになりました。
 これについて、小川法務大臣は、4日の退任の記者会見で、「検察庁に対する信頼が損なわれているときに、検察が身内に甘い、適当な形で幕引きをすれば、信頼回復ができないのではないかと心配した」と述べました。
 そのうえで、小川法務大臣は「検察が身内に消極的である場合に、積極的ならしめることが法務大臣の本来の姿ではないか。そういう意味で、指揮権の発動はふさわしいケースで、私自身は指揮権の発動も決意したが、野田総理大臣の了承が得られなかったので大変残念に思っている」と述べ、検事への捜査を徹底させるため、指揮権の発動を検討したものの野田総理大臣の了承が得られなかったことを明らかにしました。
 ただ、小川法務大臣は、内閣改造で退任することや、実際には指揮権を発動しなかったことから、検討した指揮の内容については公表しませんでしたが、法務大臣が指揮権の発動を検討していたことが明らかになるのは極めて異例なことです。
 一方、検察は、問題の捜査報告書の作成が意図的だったとまでは言えないとして、検事らの刑事責任は問わないものとみられます。
■法務大臣の「指揮権」とは
 法務大臣の「指揮権」とは、法務大臣が個別の事件の捜査について「検察トップの検事総長を指揮することができる」というものですが、政治が個別の捜査に介入することになるだけに、運用には慎重であるべきだとされています。
 これまでに指揮権が発動されたのは、昭和29年の造船疑獄で、当時の犬養法務大臣が自由党の佐藤栄作幹事長の収賄容疑での逮捕許諾請求をやめさせた1度だけで、このとき、犬養法務大臣は指揮権発動の翌日に辞任しました。
 法務大臣は、検察庁の一般的な事務については指揮監督することができますが、個別の事件の処分については、検察庁法の14条で「検事総長のみを指揮することができる」と定められています。しかし、検察庁は、事件を捜査して容疑者を起訴するかどうかを決める捜査機関そのものだけに、政治が個別の捜査に介入する「指揮権発動」には慎重であるべきだとされています。
 今回の小川法務大臣の発言について、検察幹部の1人は「指揮権発動は大臣の権限であり、検討すること自体は否定しないが、それをわざわざ公の場で明らかにすることの真意が計りかねる」と話しています。また、別の幹部は「法と証拠に基づく検察の判断を覆そうとする趣旨を含んだ発言であれば、おかしな話だと思う」と話しています。
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小川前法相:指揮権発動を首相に相談 「虚偽」捜査報告で
毎日新聞 2012年06月04日 14時45分(最終更新 06月04日 20時05分)
 小川敏夫前法相は4日午後、法務省内での退任記者会見で、小沢一郎・民主党元代表の陸山会事件に絡んで東京地検特捜部(当時)の田代政弘検事が「虚偽」の捜査報告書を作成したとされる問題について「指揮権の発動を決意したが、総理の了承を得られなかった」と発言した。法相が指揮権を発動しようとしたことを明らかにするのは極めて異例。
 会見で小川氏は、大阪地検特捜部の証拠改ざん事件にも触れ「検察への信頼が損なわれている時に、検察が適当な形で幕引きをしてしまうことがあれば、信頼は回復されない」と発言。先月初旬、検察当局が田代検事らを不起訴とする方針と報じられた後、官邸を訪れて野田佳彦首相に指揮権の発動を相談したことを明かした。
 また、「50年(余)前に国民に不評を買う指揮権が(造船疑獄で)発動されて以降は抑制的だったと思うが、検察が内部の事件で消極的なら、積極ならしめるのが法相の本来の姿だ」と、発動に肯定的な見方を示した。
 野田首相との詳しいやり取りや具体的な指揮内容については明言を避け、再任されなかったこととの関係についても「推測で言うわけにはいかない」と述べるにとどめた。
 ◇法相の指揮権
 検察庁法は法相の一般的な指揮権を認める一方、個々の事件については「検事総長のみを指揮することができる」と定め、権限を事実上制限している。個別事件で不当な政治介入を防ぐためとされ、1954年に犬養健法相(当時)が造船疑獄事件で指揮権を発動して佐藤栄作自由党幹事長(当時)に対する捜査を打ち切らせた際には強い批判を浴び、犬養法相は辞任した。以後、指揮権を行使した法相はいない。【伊藤一郎】
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小川前法相:指揮権発言に疑問や批判の声
毎日新聞 2012年06月04日 21時16分(最終更新 06月04日 21時34分)
 長年タブー視されてきた法相の「指揮権」が行使されようとしていた事実が明らかになった。4日の退任記者会見で「指揮権発動も決意したが、首相の了承を得られなかった」と明かした小川敏夫前法相。唐突な発言に法務・検察幹部や識者らからは戸惑いや疑問視する声が相次いだ。
 小川前法相が指揮権発動を検討したのは、小沢一郎・民主党元代表の政治資金規正法違反事件を巡り、検察審査会の起訴議決を受けて元秘書の石川知裕衆院議員を再聴取した際、東京地検特捜部(当時)の田代政弘検事が実際にはなかったやりとりを捜査報告書に記載した問題。田代検事は市民団体などから刑事告発される一方、内部調査に「逮捕・勾留中のやりとりと記憶が混同した」などと故意による虚偽記載を否定しているとされる。
 小川前法相は「捜査報告書の中身と(石川議員による)録音記録を見れば、記憶違いではないと誰もが思うのではないか」と述べ、指揮権発動で田代検事の起訴を促す狙いがあったことを示唆した。
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小川前法相「指揮権」発言:官房長官「承知していない」
毎日新聞 2012年06月05日 00時00分(最終更新 06月05日 02時16分)
 藤村修官房長官は4日の記者会見で、小川敏夫前法相が指揮権を発動しようとして首相の了承を得られなかったとしたことについて「そのような事実があったとは承知していない。(今回の)交代の理由とは捉えていない」と述べた。
 小川氏の後任の滝実法相も同日の会見で「政務三役で指揮権発動という具体的な手続きの議論はまともにやった記憶はない」と述べた。また、滝氏は法務省での就任記者会見で指揮権を肯定しながら、今回の問題について「まだ検察が結論を出していない。(指揮権検討は)時期尚早だと思う」と述べた。【小山由宇、伊藤一郎】
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虚偽報告書 田代政弘元特捜検事 不起訴処分 / 前田恒彦元検事 刑期終え出所 大阪地検証拠改竄 2012-05-16 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア 
 虚偽報告書 嫌疑不十分で不起訴へ 田代元特捜検事、近く処分
東京新聞2012年5月16日 朝刊
 小沢一郎民主党元代表(69)が強制起訴された陸山会事件に絡み、元秘書石川知裕衆院議員(38)を取り調べた検事が実際にはなかったやりとりを捜査報告書に記載した問題で、検察当局は近く、虚偽有印公文書作成・同行使容疑で刑事告発された元特捜部の田代政弘検事(45)=現法務総合研究所=を嫌疑不十分で不起訴とする方針を固めた。
 関係者によると、田代検事は検察当局の調べに「石川議員が勾留中に話した内容と記憶が混同した。故意に記載したわけではない」と話しているという。検察当局は当時の上司らも聴取したが、故意を示す証拠はなかったとされる。
 田代検事は二〇一〇年五月十七日、検察審査会(検審)が元代表を起訴相当と議決したことを受けた再捜査で、保釈中の石川議員を取り調べた。この際、本来必要な供述調書以外に、特捜部長に宛てた同日付の捜査報告書を作成した。
 報告書では、石川議員が勾留時と同様に、収支報告書への虚偽記入を元代表に報告し了承を受けたと認めた場面について、「検事から『議員なのにうそをついたら選挙民を裏切ることになる』と言われたのが効いた」と述べたとの記載があったが、石川議員が取り調べを隠し録音した記録には、このやりとりはなかった。
 報告書は事実上の強制起訴を決めた二度目の検審に提出され、検審は「石川議員自身が有権者から選ばれた衆院議員であることなどを理由に、元代表への報告・相談を認めた供述を維持した」と指摘。起訴議決の根拠の一つになった。
 田代検事や当時の特捜部長ら六人は、虚偽の報告書を検審に提出して審査員の業務を妨害したとして偽計業務妨害容疑などでも告発されているが、検察当局はこれらも不起訴とする方針とみられる。
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「流出した反訳書」石川知裕氏と田代政弘検事のやりとり/三宅雪子氏の車イス事件・・・〈小沢一郎氏裁判〉 2012-05-16 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
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市民団体、田代政弘検事に対する虚偽有印公文書作成容疑などの告発状を最高検に提出 2012-01-12 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア 
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小沢抹殺で法務官僚が謀った大司法省計画/捜査資料流出の裏に「検察の暗闘」 『サンデー毎日』5.27号 2012-05-16 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
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検察も頭を抱えるまさかの控訴 陸山会「茶番」裁判は笑止千万 『週刊朝日』 5/25号 2012-05-16 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア 
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法相の指揮権発動


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