「いい加減な裁判でたまらぬ」中国の日本人死刑囚が不満
asahi.com2010年4月2日4時41分
【瀋陽=西村大輔】中国当局が麻薬密輸罪で死刑判決が確定した日本人、赤野光信死刑囚(65)の死刑を執行する方針である問題で、赤野死刑囚が親類など関係者と接見した際に「いい加減な取り調べや裁判で死刑になるのはたまらない」などと不満を語っていたことが、関係者の証言でわかった。赤野死刑囚は覚せい剤を密輸しようとしたことは大筋で認めているが、捜査や公判(二審制)過程に強い不信感を持っているという。
赤野死刑囚は2006年9月、遼寧省大連の空港から別の男と2人で、茶筒に詰めた覚せい剤計約2.5キロを日本に密輸しようとしたとして警察に拘束された。中国刑法では、50グラム以上の密輸の最高刑は死刑となっている。
関係者によると、赤野死刑囚は警察の取り調べについて「中国人の通訳がひどすぎて、正確な調書が作成されたか疑わしい」と話しているという。また、一、二審とも初公判の数カ月後、すぐに判決公判が開かれたといい、「重罪を裁く裁判なのに、十分に自らの主張を訴えることができなかった」との趣旨のことも言っているという。判決は「違法利益の獲得のため、他人に指示すると同時に自らも覚せい剤を偽装して持ち出そうとした主犯」と認定した。
赤野死刑囚は、大連市中級人民法院(地裁)で08年に死刑判決が言い渡された後、控訴。控訴理由として、(1)取り調べの通訳は正式な資格を持っておらず捜査記録は証拠にできない(2)他人の指示による補助的役割なのに刑が重すぎる(3)覚せい剤は押収されて社会に被害を与えていない、と主張した。同省高級人民法院(高裁)は09年、いずれの主張にも同意せず一審判決を支持。死刑が確定した。
日本政府は今回の死刑執行通告について「いかなる刑を科すかは各国の犯罪情勢によって決められるべき国内問題」としながらも、日本の国民感情や邦人保護の観点から中国側に懸念を表明している。
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「大阪の普通のおっちゃんが…」赤野死刑囚の知人ら落胆
asahi.com2010年4月6日15時1分
中国で6日、赤野光信死刑囚(65)の刑が執行された。覚せい剤を中国・大連から地元・大阪に密輸しようとした罪。日本なら死刑にならないケースだ。支援してきた旧友らにとって、「普通のおっちゃん」だった赤野死刑囚。「だれかに利用されたのではないか」「刑事手続きは適正だったのか」。そう悔しさをにじませた
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「やっぱりあかんかったか」。死刑回避を求める救援活動の中心を担った喫茶店主の松枝克子さん(65)=大阪市西区=は声を落とした。
松枝さんは赤野死刑囚と小中学校が同じ。一審で死刑判決が出た2008年夏以降、当時の同級生らに協力を呼びかけ、カンパ集めなどを続けてきた。「優しかった赤野君と、麻薬との接点は思い当たらない。何者かに利用されたのではないか」。今もそう思っている。
赤野死刑囚の中学時代の同級生の男性(66)=大阪府大阪狭山市=は救援活動を通じ、中国の司法制度に不透明さを感じてきた。日本に比べて公判の傍聴や被告人への接見が制限されているためだ。集めたカンパで二審の弁護を依頼した中国人弁護士が、赤野死刑囚と接見できたのは1度だけだったという。
この同級生の男性は「接見した親族に赤野君が『取り調べや裁判で、中国人通訳が自分の意思を正確に伝えてくれていない』と話したことが気にかかる」と語った。
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2006年夏の昼下がり、大阪市西成区の小さな居酒屋の前に、白い国産高級車が横付けされた。降りてきたのは、あつらえの背広姿の赤野光信死刑囚(65)。
店主で、赤野死刑囚と小中学校時代の同級生だった女性(65)は「『どこかでカネを借りられるところはないか』と口にし、かなりお金に困っている様子だった」とふり返る。赤野死刑囚は女性が出したご飯とみそ汁、卵焼き、焼きたらこをうまそうに食べると、帰っていったという。
中国・大連の国際空港で、赤野死刑囚が覚せい剤約2.5キロを日本へ密輸しようとしたとして拘束されたのは、その約1カ月後のことだ。
複数の元同級生によると、赤野死刑囚は敗戦直前に中国で生まれた。父親は南満州鉄道関係の仕事をしていたという。大陸から引き揚げ後、両親は大阪市阿倍野区で貸本屋を営んだ。「小学校時代は整った上品な顔立ちで、同級生の中でも目立つ存在だった」。子ども時代、映画にエキストラで出演したこともあったという。
大阪府立阿倍野高校時代から商才にたけ、喫茶店にゲーム機を納入する「商売」で稼いだというエピソードも。大学に進学せず、不動産業や衣料品販売などのビジネスを幅広く手がけ、バブル経済にも乗って成功。40代で大阪・ミナミのビルに事務所を構え、頻繁に韓国や東南アジアなどを行き来した。
当時の社員は「月々のクラブの支払いだけで1千万円を超えることもあった」と明かす。「親分肌」で元同級生らの借金を肩代わりすることもあったという。
だが、数年前から不動産業などが行き詰まり、資金繰りに苦しむようになった。「暴力団まがいの人物と親交を深め、会社の整理屋のような仕事をしていたこともあったようだ」との元同級生の証言もある。
居酒屋店主の女性は「お金に困るようになってからも、(赤野死刑囚は)『ヤクザにはなったらあかん。暴力団は信用できん』と口癖のように言っていた。大阪の街を歩く普通のおっちゃんだった彼と、麻薬密輸犯として死刑になった彼とは、今も同じ人とは思えない」。(武田肇、石原孝)
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2.5キロの覚醒剤でかなりの数の家族が崩壊できますよね。
例えばです。
以前、赤野光信さんのグループに崩壊された家族または遺族がいたとします。
で、その中のうちの誰かが彼らのアトをつけていたとします。(執念ですね)
日本の法律では死刑にならないのですから、中国で裁いてもらう方法を選択したのかもしれません。
2.5キロなんです。
初めてだとは考えられません。
覚醒剤を恨んでいる人は少なくないとおもいます。
日本の法律は日本人の価値観なのに、第三者の様に、日本中が納得するのはどういうことか?
日本人は妥当な判決と思っていない、それは日本の法律に基づく。 そんなことも言えないのか?
誰かに媚びを売らなければ生きられない日本人。 悲しいね。