死刑求刑、全面否認、件数増… 裁判員、本格化の2年目
asahi.com 2010年1月4日21時24分
昨年5月にスタートした裁判員制度は、初めて1年を通じて実施される年を迎える。裁判の件数が大幅に増えるとともに、被告に死刑が求刑される事件や被告が全面的に否認する事件など、より難しい判断を市民に迫る裁判が多くなることが確実だ。「本格化」の2年目となる。
初めての裁判員裁判が昨年8月に東京地裁で開かれた後、年内に全国で実施された裁判員裁判は138件だった。一方、裁判員裁判の対象となる被告の起訴件数は制度スタート以降、1210件(先月28日現在、最高検調べ)。今年は12日から盛岡地裁などで裁判員裁判が始まる。1~2月に100件以上の裁判が予定されており、昨年よりもペースが上がる。
昨年は被告が起訴内容を認めたため、裁判員は量刑を考えるだけの裁判がほとんどだった。検察側が死刑を求刑した事件もなかった。
鳥取地裁では、鳥取県米子市で税理士の男性(当時82)ら2人を殺害し、約1200万円を奪ったなどとして強盗殺人などの罪に問われた男性被告(55)の審理が2月23日~3月2日に予定されている。犠牲者が2人のため、検察側が裁判員裁判で初めて死刑を求刑する可能性がある。
大津市内で昨年4月に起きた殺人事件を扱う大津地裁(1月19~27日)の審理では、女性被告(44)が共犯として殺人に関与したかどうかが争点になる。
これまで裁判員裁判で審理されたことのない罪名の事件も登場。千葉地裁では、危険運転致死罪に問われた男性被告(45)の裁判が1月25~28日に開かれる。衰弱した85歳の母親を自宅に放置して病死させたとして、保護責任者遺棄致死罪に問われた男性(60)と女性(62)の2被告の裁判も神戸地裁姫路支部(2月23~26日)で予定されている。
事件が複雑なものになればなるほど、審理は長引く。従業員が休暇を取り続けることに会社の理解が得られるかや、子どもを託児所に預けて主婦が参加し続けられるかなどの問題も、より現実化するとみられる。
各裁判所が裁判員経験者や候補者に実施しているアンケートからは、すでに様々な改善点が浮かんでいる。裁判員法の付則ではスタートから3年後に必要なら制度を見直すと定めており、法務省は昨年9月、法曹三者や刑事法学者、被害者支援団体や消費者団体のメンバーらで構成する「裁判員制度に関する検討会」を立ち上げた。アンケートの結果も参考にしながら議論を進めていくという。
asahi.com 2010年1月4日21時24分
昨年5月にスタートした裁判員制度は、初めて1年を通じて実施される年を迎える。裁判の件数が大幅に増えるとともに、被告に死刑が求刑される事件や被告が全面的に否認する事件など、より難しい判断を市民に迫る裁判が多くなることが確実だ。「本格化」の2年目となる。
初めての裁判員裁判が昨年8月に東京地裁で開かれた後、年内に全国で実施された裁判員裁判は138件だった。一方、裁判員裁判の対象となる被告の起訴件数は制度スタート以降、1210件(先月28日現在、最高検調べ)。今年は12日から盛岡地裁などで裁判員裁判が始まる。1~2月に100件以上の裁判が予定されており、昨年よりもペースが上がる。
昨年は被告が起訴内容を認めたため、裁判員は量刑を考えるだけの裁判がほとんどだった。検察側が死刑を求刑した事件もなかった。
鳥取地裁では、鳥取県米子市で税理士の男性(当時82)ら2人を殺害し、約1200万円を奪ったなどとして強盗殺人などの罪に問われた男性被告(55)の審理が2月23日~3月2日に予定されている。犠牲者が2人のため、検察側が裁判員裁判で初めて死刑を求刑する可能性がある。
大津市内で昨年4月に起きた殺人事件を扱う大津地裁(1月19~27日)の審理では、女性被告(44)が共犯として殺人に関与したかどうかが争点になる。
これまで裁判員裁判で審理されたことのない罪名の事件も登場。千葉地裁では、危険運転致死罪に問われた男性被告(45)の裁判が1月25~28日に開かれる。衰弱した85歳の母親を自宅に放置して病死させたとして、保護責任者遺棄致死罪に問われた男性(60)と女性(62)の2被告の裁判も神戸地裁姫路支部(2月23~26日)で予定されている。
事件が複雑なものになればなるほど、審理は長引く。従業員が休暇を取り続けることに会社の理解が得られるかや、子どもを託児所に預けて主婦が参加し続けられるかなどの問題も、より現実化するとみられる。
各裁判所が裁判員経験者や候補者に実施しているアンケートからは、すでに様々な改善点が浮かんでいる。裁判員法の付則ではスタートから3年後に必要なら制度を見直すと定めており、法務省は昨年9月、法曹三者や刑事法学者、被害者支援団体や消費者団体のメンバーらで構成する「裁判員制度に関する検討会」を立ち上げた。アンケートの結果も参考にしながら議論を進めていくという。