検事総長に大林宏・東京高検検事長 近く閣議決定
asahi.com2010年6月10日15時2分
樋渡利秋・検事総長(64)が勇退することになり、政府は新しい検事総長に大林宏・東京高検検事長(62)を充てる人事を固めた。近く閣議で正式に決まり、来週にも発令される見通し。
樋渡氏は総長在任中に、鳩山由紀夫前首相と小沢一郎・前民主党幹事長の資金管理団体をめぐる政治資金規正法違反事件などを指揮した。
大林氏は一橋大卒。法務事務次官、札幌高検検事長などを経て2008年7月から現職。
--------------------------
archive 「小沢不起訴の代わりに検察人事には手を突っ込まない」というウラ取引=公務員幹部人事2010-02-10
中日新聞(2010/2/10)朝刊
検察除外に民主が反発 小沢氏と因縁宮内庁もやり玉 官邸主導の公務員幹部人事
政府が今国会に提出する国家公務員制度改革関連法案を提示した9日の内閣府政策会議で、新人事制度の内容について、出席した民主党議員から異論が相次いだ。党側が問題視したのは、いずれも小沢一郎民主党幹事長と因縁のある検察庁と宮内庁幹部を対象外とした点だ。
法案は、国家公務員の幹部人事を一元管理し、官邸主導の人選を徹底するのが狙い。検察庁や警視庁、内閣法制局、宮内庁については「独立性に配慮」(仙谷由人行政刷新担当相)して適用を除外した。
会議では「石川知裕代議士の逮捕を考える会」会長の福田昭夫衆院議員が「検察庁と宮内庁が抜けた理由は何か」と口火を切った。これに、大島敦内閣府副大臣は「検察行政は特に政治的中立性の確保が優先されている。宮内庁も特殊性をかんがみた」と説明した。
福田氏は納得せず、「検察庁を民主的にコントロールする仕組みが必要だ。戦前のままの検察は異常だ」とまくしたてた。大島氏は「今後の運用であり、ご意見は十分検討したい」と引き取った。
続いて、大泉博子衆院議員も宮内庁について「古色蒼然とした役所を近代化する一つのチャンス。ぜひ(対象に)入れるべきだ」と異論を唱えた。
小沢氏は政治資金問題で東京地検の捜査を受け、不起訴になったばかり。昨年の天皇陛下の特例会見をめぐっては、難色を示した宮内庁長官に辞任を求めている。
党側の意見にはこうした経緯が反映されているようだ。政府提出法案をめぐる議論にも、小沢氏の存在が影を落とした格好だ。(上坂修子)
--------------------------------------------------
官邸主導人事、検察や宮内庁は除外…改正案
2月10日3時3分配信 読売新聞
政府は9日、今国会に提出する国家公務員法等改正案を内閣府政策会議に提示した。
内閣官房に「内閣人事局」を新設、省庁横断の「幹部候補者名簿」を作って官邸主導で人事を決めることなどが柱だ。
検察庁などは適用外とした。12日に閣議決定する予定で、4月1日施行をめざす。
名簿には、幹部職員や公募に応じた民間人らを対象に官房長官が行う「適格性審査」の合格者を掲載。この中から閣僚が省庁幹部を任命することを基本とするが、内閣全体で省庁横断の異動も含めた適材適所の人事を実現するため、首相や官房長官が閣僚と事前協議して人選するとの規定を設けた。官僚トップの次官と局長は「同一の職制上の段階に属する」とし、次官から局長への降格を可能にしたほか、局長級から部長級への降格も可能とした。
検察庁、人事院、会計検査院、警察庁の幹部人事は「職務の特殊性に配慮」するとし、名簿に基づく一元管理の「適用除外」とした。「より中立性や独立性が担保される」(平野官房長官)との判断からだ。宮内庁と内閣法制局に関しては、名簿は利用するが、首相や官房長官との事前協議を義務づけない。
適用対象外の幹部人事でも閣議決定を通じて政治判断が働く余地は残されている。それでも、小沢民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」を巡る政治資金規正法違反事件で民主党が一時、検察との対決姿勢を見せただけに、「民主党が検察人事で報復するとの憶測を打ち消す効果がある」との受け止めもある。
◆官僚の士気低下に懸念も◆
同法案を了承した9日の内閣府政策会議では農林水産省出身の民主党の篠原孝衆院議員が「民間から(幹部を)持ってくるとか言うたびにまじめな役人がやる気をなくしている」と官僚の士気低下に懸念を表明。局長級から部長級への降格規定については経済産業省出身の同党の後藤祐一衆院議員が「制度上はあるが行使しない『抜かずの刀』にするのが権力の本質では」と注文をつけた。
名簿掲載者は約600人で、年1回程度更新する。これを一元管理する内閣人事局は当初検討した人事院や総務省、財務省からの一部機能の移管を先送りしたため、職員55人体制で始動する見通しで、「出身省庁などが異なる600人もの能力や適性の判断には不十分」(省庁幹部)との見方もある。また、原口総務相は9日の総務省政務三役会議で「民間からの登用は各省官房がやればいい。新組織は作らない考えだったはず」と内閣人事局の新設そのものに異論を唱えた。
◆検察を支配する「悪魔」 田原総一朗+田中森一(元特捜検事・弁護士)
p43~ 政治家によって潰された事件は一握り
特捜の現場で捜査にあたっている検事に直接、指示をしてくるのは特捜部長です。じゃあ、特捜部長に誰が指示しているのかと言えば、現場は接することがないさらに上だとしか言いようがない。検事総長、次長検事、検事長といったクラスでしょう。
こういった首脳まで出世するエリートは、法務省勤務が長い「赤レンガ派」と呼ばれる人たちが主流です。
彼らは法務省で、法案づくりを担当していて、日常的に政権与党の政治家と接触している。僕ら「現場捜査派」が、毎日、被疑者と顔を合わせているように・・・。
こうして毎日のように会って話をしていると気心も知れるし、考え方も似てくる。そして、どうしても時の権力寄りの見方になってくる。
だから、彼らが検事総長、次長検事になって、「国策としてこれはどう扱うべきか」となったときに判断すると、結果的に時の権力と同じ視点になりやすい。
外から見ると、政治家の圧力によって潰れたように見える事件でも、検察首脳部が下した決断がたまたま権力の中枢の考え方と合致していたに過ぎないケースがほとんどだと思いますよ。つまり多くの場合、検察内部の判断であって、政治家によって潰された事件はあったにせよ、ほんの一握り。マスコミの思っているほど多くはありませんよ。