「日本の平和を守ろう」と、皆が口にします。しかし、同じ日本国民が無惨に拉致され、日々苦しんでいる今の日本の状況が本当に平和なのでしょうか。2016/9/17

2016-09-23 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉

どこが平和なのか?国民が拉致されたままの日本 「拉致国民大集会」で拉致被害者家族が見せた怒り
JBpress 2016.9.21(水)   古森 義久
「日本の平和を守ろうと、みんなが口にします。けれども、いまの日本が平和なのでしょうか。北朝鮮に拉致された被害者の日本国民が放置され、しかも生存をかけて戦っている以上、いまの日本は平和ではありません」
 姉のるみ子さんを北朝鮮工作員に拉致された増元照明氏は、9月17日、東京都千代田区の砂防会館別館で開催された「拉致国民大集会」でこう語った。
 拉致国民大集会の正式の名称は「最終決戦は続いている!制裁と国際連携で全員救出実現を!国民大集会」である。「救う会」(北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会)が主催したこの集会に、安倍晋三首相をはじめ各政党の代表や全国知事会の代表、地方議会の代表、一般支援者など合計1000人が集まった。
■どうして「日本は平和だ」などと言えるのか
 増元るみ子さんが北朝鮮政府の工作員に拉致され、北朝鮮に拘束されたのは1978年8月だった。それから、すでに38年という長い年月が過ぎ去った。
 増元さんを含めて日本政府が公式に認定した拉致被害者は17人いる。北朝鮮による拉致の疑いが濃い「特定失踪者」となると、700人にものぼる。愛する姉や兄や娘を奪われた家族たちの悲しみや苦しみは筆舌に尽くし難い。
 増元照明氏は怒りをぶちまけるように語った。
「いまの日本では平和、平和と誰もが語ります。戦後の平和を守れとか、現在の平和を守れとか。しかし日本のいまの状況が本当に平和なのでしょうか。同じ日本国民が暴力で無惨に拉致され、日々、苦しんでいる。祖国に帰りたくでも帰れない。それでも日本の人たちは『いまの平和を守ろう』などと言えるのでしょうか。日本国民が暴力で拉致されたままだという事実を無視して、『いまの日本は平和なのだ』とは決して言えないはずです」
 確かにいまの日本には平和という言葉があふれている。特に8月の原爆被害の追悼の日や敗戦の記念日となると、何から何まで平和という言葉に飾られる。だが平和とは何か。日本国民が外国の政府に拉致され、そのまま監禁された状態が続いていても、戦争さえなければ、平和だと言って満足していられるのか。きわめて疑問である。
■日本は国家として最も基本的な責務を果たしていない
 集会では、横田早紀江さんも北朝鮮に拉致された娘への思いを切々と語った。
「娘のめぐみが北朝鮮工作員に拉致されてから、もう39年です。この間、めぐみは日本からの救出を待ち続けてきたはずです。大韓航空機を爆破した金賢姫元工作員から北朝鮮でのめぐみの様子を聞いたとき、『めぐみさんはいつも君が代を大きな声で歌っていました』と教えてくれました」
「めぐみは小さい頃から歌が大好きで、家でもよく1人でいろいろな歌を口ずさんでいました。『ふるさと』などをよく歌っていたのです。それが北朝鮮での工作員の訓練ではしきりに君が代を歌う。やはり日本という国への思い入れだったのでしょう」
 金元工作員は、1978年頃、平壌で日本人に偽装する技術の指導を受けていたとき、教師の1人だった横田めぐみさんと一緒に時間を過ごしたという。その際、めぐみさんはいつも君が代を必要以上に大きな声で歌っていたというのだ。
 早紀江さんはさらに熱を込めてこう語った。
「めぐみは日本という国家への思いを込めて、君が代を歌い続けたのでしょう。日本が、やがて必ず自分を北朝鮮から救出してくれる。究極には日本という国家を信じていたのだと思います。ひたすらめぐみは北朝鮮で待ち続けた。しかし日本はその期待に応えていません。日本人にとって国家とはなんなのでしょうか」
 早紀江さんは日本という国家への期待を表明する一方で、日本が国家として自国民の救出に乗り出さないことへのいらだちを隠さない。
 増元照明さんと横田早紀江さんが日本国のあり方を非難するのもきわめて当然だろう。国家にとって自国民を守ることは最も基本的な責務のはずだからだ。
 しかし、日本はこの最も基本的な責務を果たしていない。北朝鮮という隣の国家に日本国民が拉致され、長い年月、囚われとなっている事実が分かっていても、救い出すことができない。究極的な政治的・経済的制裁を加えて北朝鮮と対決し解放を迫ることはないし、まして他国にように軍事手段を使って自国民の生命を保護することは最初から禁じられている。
 日本は国家であって国家ではないのか。増元氏と横田氏の切々たる言葉は、そんな疑問を改めて感じさせた。
■核問題よりも拉致問題への対処を
 今回の大集会は新たな決議を採択して閉会した。その決議内容を以下に記しておこう。(1)北朝鮮は、今すぐ、被害者全員を返せ。全被害者を返すための実質的協議に応ぜよ。
(2)政府は、核・ミサイル問題と切り離して被害者帰国を先行させるための実質的協議を最優先で実現せよ。
(3)立法府は、北朝鮮のようなテロ集団を支える活動をわが国内で行うことを阻止する新法を作れ。
「拉致問題を核・ミサイル問題と切り離して最優先」というのはこれまでと異なる表現だった。つまり「拉致問題の解決を先行してほしい」ということである。この点にも拉致被害者家族たちの切なる思いがあふれ出ていると言えよう。

 ◎上記事は[JBpress]からの転載・引用です
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〈来栖の独白〉
 聖書の示す「平和」の概念とは、「痛むところのない状態」を云う。「平和憲法」と口にする人々に、私は永く疑義を感じてきた。「一人でも痛む人がいるなら、平和ではないよ」とイエスは云う。
 また、国家とは、国家・国民を守るべきものだ。 
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『帝国の終焉 「スーパーパワー」でなくなった同盟国・アメリカ』日高義樹著 2012/2/13第1刷発行
 〈抜粋〉
p173~
 ヨーロッパで言えば、領土の境界線は地上の一線によって仕切られている。領土を守ることはすなわち国土を守ることだ。そのため軍隊が境界線を守り、領土を防衛している。だが海に囲まれた日本の境界線は海である。当然のことながら日本は、国際的に領海と認められている海域を全て日本の海上兵力で厳しく監視し、守らなければならない。尖閣諸島に対する中国の無謀な行動に対して菅内閣は、自ら国際法の原則を破るような行動をとり、国家についての認識が全くないことを暴露してしまった。
 日本は海上艦艇を増強し、常に領海を監視し防衛する体制を24時間とる必要がある。(略)竹島のケースなどは明らかに日本政府の国際上の義務違反である。南西諸島に陸上自衛隊が常駐態勢を取り始めたが、当然のこととはいえ、限られた予算の中で国際的な慣例と法令を守ろうとする姿勢を明らかにしたと、世界の軍事専門家から称賛されている。
 冷戦が終わり21世紀に入ってから、世界的に海域や領土をめぐる紛争が増えている。北極ではスウェーデンや、ノルウェーといった国が軍事力を増強し、協力態勢を強化し、紛争の排除に全力を挙げている。
p174~
 日本の陸上自衛隊の南西諸島駐留も、国際的な動きの1つであると考えられているが、さらに必要なのは、そういった最前線との通信体制や補給体制を確立することである。
 北朝鮮による日本人拉致事件が明るみに出た時、世界の国々は北朝鮮を非難し、拉致された人々に同情したが、日本という国には同情はしなかった。領土と国民の安全を維持できない日本は、国家の義務を果たしていないとみなされた。北朝鮮の秘密工作員がやすやすと入り込み、国民を拉致していったのを見過ごした日本は、まともな国家ではないと思われても当然だった。
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拉致被害者と家族に、一日でも「平和」を実感できた日があったか。「平和憲法」と認識できた日があったか。
[ めぐみさんを守れなかった平和憲法 ]阿比留瑠比の極言御免 2013.7.18
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