座間9人殺害事件「首絞めると興奮し…」白石隆浩被告が獄中で語った快楽殺人の動機

2018-12-17 | 死刑/重刑/生命犯

「首絞めると興奮し…」長髪に髭の白石被告が獄中で語った身勝手過ぎる快楽殺人の動機【座間9人殺害】
 今西憲之2018.12.11 14:06 週刊朝日
「完全犯罪で捕まらないと信じ切っていた。あの時、逮捕されていなければ、今も犯行を重ねていたかもしれません」
 時折、笑みを浮かべながら語るのは、白石隆浩被告(28)。2017年10月、神奈川県座間市でアパートで9人を殺害し、遺体をバラバラにした罪で逮捕されたシリアルキラー(連続殺人犯)だ。獄中にいる現在の風貌は、長髪にひげを伸ばしていた。
 東京地検立川支部は約5カ月間の精神鑑定のため留置した結果、白石被告の刑事責任能力を問えると判断し、今年9月に強盗殺人などの罪で起訴。
 だが、被害者が多く証拠類が膨大なため、争点を絞る「公判前整理手続き」に時間を要し、初公判は2019年秋以降になるとみられる。
 犠牲となったのは15~26歳の男女9人。同被告は自殺願望をほのめかす被害者と「ツイッター」などを通じて知り合い、言葉巧みにおびき出し、殺害した。
 なぜ、白石被告はわずか2か月間に、9人も殺害するという凶行に及んだのか?
 間もなく平成の時代が終わろうとする中、筆者は獄中の白石被告に面会して、その真相を聞いてみた。
 事件は2017年10月30日、警視庁が女性の行方不明者を追跡、座間市の白石被告のアパートを訪れたところ、9人ものバラバラにされた遺体が発見されたことで大騒ぎになった。
 白石被告は、8月23日に最初に行方不明になった、Aさんを殺害しバラバラにして遺棄。その後も次々に犯行を重ねた。
「10月30日の昼前でした。インターホンが鳴って『警察だ、あけろ』と怒鳴っていた。知らないとしらばっくれるつもりだったが『ツイッターで女引き込んでいるんだろ。ふざけんじゃねぇよ』と一番、偉そうな刑事にインターホン越しにいわれ、警察手帳をカメラに押し付けられた。全部、バレてんじゃんと観念しましたね」
 白石被告は、警察に踏み込まれた時の様子をそう振り返る。
 5人の刑事が、白石被告の6畳ほどのアパートに踏み込むと、クーラーボックスがいくつも並ぶ異様な光景だった。
「動くんじゃねぇ」
 刑事にこういわれ、両手を壁につくよう指示された白石被告。刑事が女性の名前をあげて、どうしたのかと聞くと白石被告はクーラーボックスを指差した。9人の男女がバラバラにされ、遺棄されているのが発覚した瞬間だった。
 刑事が周囲を探すと、包丁なども発見された。夕方になって、高尾署に連行される際、刑事にこう話しかけられたという。
「正直に喋れよ。しゃべんなくても、これだけ証拠があるんだぞ」
 白石被告はこの時の心境をこう語る。
「これまで完全犯罪だ、絶対にバレない、見つからないと信じ切っていた自信が音を立てて崩れ去った。もう話すしかないと、完全に落ちてしまいました」
 取り調べで、洗いざらい詳細に話し、犯行を認めた。
 白石被告の犯行の手口は、ツイッターなどSNSで「死にたい」などをキーワードに女性に近づく。メッセージをやりとりして、女性と会う約束をとりつける。
 白石被告はツイッターで「首吊り士」などというアカウントで自殺願望の女性を物色していた。白石被告は、事件を起こす直前まで、風俗店に女性を紹介するスカウトマンだった。そこからヒントを得たという。
「スカウト時代なら、ツイッターでただのスカウトと出すより、人材派遣会社の社長とか、カリスマのスカウトマンとかキャッチコピーをつける。そうすると、風俗希望の女性の気も引き付けられ、スカウトしやすくなります。それと同じ手法で、ただ死にたいとかじゃなくて、キャッチコピーをつけることで女性の気をひく小道具です」
 白石被告は「死にたい」などの検索ワードで女性を探しては、メッセージをやり取りして、実際に会う約束を取り付けるようになる。そして、女性を部屋に連れ込んで、ウィスキーをコーラで割り、その中に睡眠導入剤入れたものを飲ませて、女性に乱暴し、殺害する。1人の男性をのぞけば、8人すべてがそういう展開だったという。
「今の女性は、SNSで知り合って会うことにさほど抵抗がない。極端な場合、昼知り合って夜に会うってこともあった」
 最初に犠牲になったAさんは、8月初旬にSNSで知り合い、8月15日頃にはじめて会う。18日にAさんのお金で同居するアパートの入居を決め、費用50万円を受け取る。8月23日に、Aさんを殺害したという。
「事件の時は、仕事をしておらずお金がなかった。単純にお金がほしかった。その次がセックス。それが、睡眠導入剤入りのコーラを飲ませ、Aさんの首を絞めながら乱暴していると、彼女の身体が真っ赤に染まり、すごい快感で性的な興奮を感じた。首を絞めて乱暴することがこれほどすごい快感なのかと、自分の中で、何かが突き抜ける感じがした」
 当初は金目当てだった白石被告。2人目、3人目と続けるうちに、お金より殺害することにより快感を得たいという方が、強くなっていったという。
 Aさんを殺害した後、用意していた包丁とのこぎりで解体に取り掛かった白石被告。今回の犯行で白石被告のひとつの武器がスマートフォンだった。
「完全犯罪のために、過去にあった、殺害してバラバラに解体という事件を徹底的にネットで調べた。あの事件は、遺体を埋める時に発見された、これは遺体を運ぶ途中にバレたとわかり、クーラーボックスに保管することにした。だが、遺体の解体はまったくネット情報はあてにならなかった。骨や筋、筋肉の位置がどこか把握しないとバラバラに解体できません。最初のAさんは2日間、遺体と格闘して解体した。へとへとでした」
 もちろんこれまで、人を殺した経験はなければ、大きな傷をつけたこともない。解体するとなると、大量の出血もある。二の足を踏みそうなものだが
「Aさんで言えば、8月18日には金を奪って殺し、バラバラに解体することを決意。頭の中で完全犯罪のストーリーが確立していた。
 刑事さんにも『普通、バラバラに解体と考える人はいる。だが、殺してしまいやってしまったと解体までいかず自首することが多い』と聞かされました。しかし自分は、解体していてかなり出血もあったが、バラバラにして跡かたなくしなければバレる、完全犯罪が成立しないという一念で、何かに取りつかれたように解体していました。確かに臭い、血もすごかったが、捕まりたくない、完全犯罪だとブレーキがかからなかった。それに殺害時の性的快楽が忘れられず、3人目、4人目と増えていった」
 その後も犯行を重ねた、白石被告。10月末に知り合った、Bさんを殺害した時だった。
「警察に逮捕されて、9人目の被害者の携帯電話の電源を切り忘れ、その電波から私のアパートが突き止められたとわかりました。悔やみました。その頃は遺体の解体も慣れて、骨や筋などの場所も把握、どこを切ればいいか、身について覚えていて、2、3時間で解体できるようになっていた。絶対に被害者のスマートフォンの電源を切り、位置情報を確認されないようにしていた。正直、あの時電源を切っていればと悔やむ気持ちもある。この油断で私の完全犯罪は、終わりとなりました。あの油断がなければ、まだ今も同じことを続けていたかもしれません」
 白石被告は、犯行を重ねながら、スマートフォンで過去の事件などをチェックし研究していた。一時、遺体を埋めるなど遺棄も考えたという。
「過去、遺棄しようとしてばれている例がスマートフォンの検索でいくつも引っかかり、部屋に置くのが安全だと思った。ホームセンターで買った漂白消臭剤がすごく効果があり、臭いもとれ、血の跡もきれいに掃除できていた。それも完全犯罪の自信の一つだった」
 白石被告はきちんと一礼して、面会室の椅子に座る。礼儀正しく、言葉を荒げることもなく、冗談も言えば、真面目に言葉を選びながら語ることもある。どこにでもいる、若者だ。
 それがなぜ“一線”をとんでもなく超えるような、9人殺害という、大事件を起こしてしまったのか。
 2017年1月、女性を風俗店に紹介するスカウトをしていた白石被告は、茨城県警に逮捕された。容疑は職業安定法違反(有害業務の職業紹介)。女性が風俗店で売春すると知りながら、紹介したというもの。
 この事件で白石被告は、執行猶予付き有罪判決を受けた。白石被告は、座間市の高校を卒業後、地元のスーパーマーケットに勤務。家庭も大手自動車会社に勤務する父と専業主婦の母に5歳年下の妹。ごく普通の一家で育った。もちろん、白石被告自身も、2017年に逮捕されるまで、犯罪には無縁だった。
「風俗店のスカウトの仕事をするようになって、毎日、女と遊び酒飲んで稼げる、こんな楽な仕事があるんだと思う日々。茨城県で逮捕されたのですが、売春のために女性を風俗店にあっせんしていたので、叩けばいくらでもホコリが出る。その時の弁護士さんにも、次は実刑になると諭された。そこでスカウトはやめたが、犯罪で楽して稼ぐにはと、詐欺や横領、窃盗などいろいろ考えてたどりついたのが殺人。楽してカネを稼ぐことと犯罪のよさ、スリルを知ってやめられなかった。完全犯罪でばれないようすればいいと思った」
 しかし、「快楽殺人」「金」という目的で9人殺害というのは、常軌を逸している。
 白石被告は表向き、一緒に自殺しようとメッセージをやりとりして被害者を誘い出していたが、その気は最初からなかったという。
「よくよく聞けば、死にたいというので、何で死にたいか、彼氏と別れたからさみしいという。彼氏できれば死なないんです。本当に死にたいという人いませんでした。当然、私自身も一緒に死ぬなんて、あり得ないことでした。女性をひっかける口実」
 白石被告は殺人の場合、過去の判例から3人となると死刑判決となる公算が大きいことも、わかっていた。
「スマートフォンで調べていたので、死刑になるとわかっていた。けど、完全犯罪ですから捕まらないと確信をもっていた。刑事さんから『これだけのことやったからどうなるか、わかってるよね』と言われ、弁護士さんからも『仕方ないよね』と聞かされているので覚悟はしています」
 白石被告は筆者との面会のやり取りで「完全犯罪」という言葉を頻繁に使った。そして逮捕されたことに対し、「油断したという後悔」の念も語った。 だが、事件から1年以上が経過し、平成が終わろうとする中、被害者への謝罪の念は一切、聞かれない。
「マスコミの皆さんは事件から1年というが、私自身はああ1年かという程度。夜、拘置所でラジオが聞けるのですが、最初のニュースがドイツのメルケル首相、その次に私の事件があって、トランプ大統領のトピック。大統領様より上なんだと思うと、すごいことだったんだなぁと…。事件を振り返ってマスコミの皆さんの面会でも、謝罪、反省と聞かれます。被害者ご遺族からの心証はすごく悪いことはわかっている。反省していると言っても、きっと被害者ご遺族には演技かと思われるでしょう。そういう気持ちがないわけじゃないが、どう表現すればいいのか、すごく難しくて、複雑です…」
 被害者に対する贖罪の念もなく、身勝手な動機を語る白石被告は、精神鑑定で責任能力が問えると判断された。
「サイコパス(精神病質)、あるいは反社会性人格障害などと呼ばれる極めて特殊な人格ではあるが、精神疾患などはないと結論付けたのだろう」(精神科医)
 「死刑」は覚悟していると語る白石被告の心の闇は、法廷でどこまで解明されるのだろうか。(今西憲之)
 ※週刊朝日オンライン限定記事

 ◎上記事は[dot.]からの転載・引用です *強調(=太字)は来栖
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