[埼玉少女誘拐 監禁]学業と犯罪を両立していた寺内樺風容疑者の変質性 『アサ芸プラス』2016/4/9

2016-04-11 | 社会

Posted on 2016年4月9日 5:53 PM 
15歳少女を2年間…寺内樺風容疑者の“変質的な素顔”(1)普通の大学生活を送っている裏で…
 エリート高校から千葉大工学部へと進み、「学業」と「犯罪」を両立していた鬼畜の手から、2年ぶりに少女が生還した。同類の事件で思い出されるのは00年に発覚した新潟の事件。その犯人Xの母と接触、現場の部屋にも足を踏み入れた窪田順生氏が、逮捕された寺内樺風容疑者の変質性の秘密を暴いた!
 「中学の頃から女性を誘拐したいという願望があり、ネットで誘拐する場所を探し、少女を見かけ、自宅まで尾行した」
 2014年3月、埼玉県朝霞市の自宅近くを歩いていた中学生のAさん(当時13歳)を誘拐し、自身が通う千葉大学のキャンパスに面したアパートに2年に及んで「監禁」をしていたという寺内樺風(かぶ)容疑者(23)は、警察の取り調べでみずからのゆがんだ性癖についてこのように吐露したという。
 いまだ謎の多いこの事件だが、この供述が事実だとすれば、寺内は10年近くもどす黒い欲望を抑え込んで生きてきたわけだ。
 ただ、そのような寺内の「心の闇」よりも私が衝撃を受けたのは、この男がそのような異常性を周囲に悟られることなく、みごとに世間を欺いていたことだ。
 事件後、マスコミに登場する千葉大同級生の多くは、寺内を「普通」と評している。親しい友人も、「家で飲もうという話になったら『汚いから』とやんわりと拒否された」などの逸話を明かしているが、寺内の小児性愛、いわゆる「ロリコン」的言動は把握していない。実際、テレビニュース等には軽自動車で友人とドライブを楽しむ寺内の映像が流されたが、そこで友人とたわいもない会話をする寺内は、「今時の大学生」にしか見えない。
 実際、寺内は実にありきたりで、自然な学生生活を送っている。少女を閉じ込めていた時期、2泊3日のゼミ合宿にまで参加。ゼミ担当教授は大学側の会見で、「ごく普通の学生で成績は中ぐらい。無断欠席はなくきちっとしていた。礼儀正しい学生だった」と述べ、現在は留保されているが、この春には「卒業」もしている。
 寺内は2年にわたって「学業」と「監禁」という卑劣極まりない犯罪を両立させていたことになるのだ。
 これには本当に驚いた。なぜならば、私がよく知る「監禁男」というのは、決してそんな器用な立ち回りをすることはできず、あらゆる面で寺内の対極にいるような人間だったからだ。
 その「監禁男」とは、今から16年前の2000年1月に発覚した「新潟少女監禁事件」の犯人・Xである。28歳の時、小学4年生(当時9歳)の少女を誘拐し、住宅街にある民家2階の八畳間で9年2カ月にわたって「監禁」をしたXは、懲役14年の服役中に精神異常を来し、現在は「障害者」として出所後に更生の道を歩んでいる。 
 覚えている方もいるだろうが、Xは「ひきこもり」だった。幼い頃から病的なまでの潔癖症だったが成長をするごとに重症化し、高校卒業後は、友人との関係を全て断ち切り2階の自分の部屋に閉じこもる。母親が2階に上ってくることすらもきつく禁じたのである。当然、友人はゼロ。近所の住民からも、「もう何年も姿を見かけていない」と言われるような存在だった。
 ただ、そんなXにも楽しみがあった。自家用車でのドライブだ。外の世界は「汚れている」とめったに出歩くことはなかったが、車ならばどこへでも出かけることができたのだ。「ひきこもり」生活が10年過ぎたあたりで、ひとりでドライブをした休憩中、目に入った少女を誘拐したのである。
 犯行に至った経緯からもわかるようにXには社会性のかけらもない。卑劣な犯罪を行いながら、「学生生活」や「友人づきあい」をそつなく続けていた寺内とは「真逆」とも言うべき人間なのだ。

Posted on 2016年4月10日 9:53 AM
15歳少女を2年間…寺内樺風容疑者の“変質的な素顔”(2)どのように少女を逃げられなくしたのか?
 ただ、対照的な両者にも奇妙な符合とも言うべき「共通点」がある。まず特筆すべきは、「オタク気質」だ。報道によれば、寺内は中学時代の同級生からは「鉄道オタク」として認識されており、自作ゲームなども発表。高校生になると、「美少女アニメ」が好きだという証言も出てきた。
 一方、Xも「自動車」と「アイドル」に対して「オタク」と呼んでも差し支えないほどの執着を見せていた。私は少女が9年2カ月過ごした「監禁部屋」に足を踏み入れたことがあるのだが、そこにはXのコレクションである、スポーツカーのパンフレット、ラミネート加工した写真、さらにはファンだった西村知美、岡田有希子などが出演したビデオテープが大量に保存されていた。もちろん、「オタク=犯罪者」などというレッテル貼りをするつもりは毛頭ない。が、ふたりの「監禁男」がともに「美少女」「清楚系アイドル」に対して強い欲望を抱き、オタク的な強い執着心を持っていた興味深い事実である。
 何よりも寺内とXに共通するのは、長期監禁を可能とさせた「卑劣な手口」だ。報道によると、寺内は少女を誘拐した際に、「お父さんは私から借金をしている。借金のかたにあなたを預かる」というウソをついている。つまり、「親に捨てられた」と思い込ませようとしたふしがあるのだ。
 これならば、事件発覚直後に一部から指摘された「謎」も説明できる。
 大学キャンパス横のアパートという監禁場所に加え、寺内が大学の授業やドライブで不在がちだったことが明らかになっていく中で、「なぜ少女は逃げようとしなかったのか」という疑問の声が上がり、中にはまるで少女に逃亡の意志が乏しかったかのようなことを暗に匂わせるような論調もあった。しかし、このような「ウソ」をつかれていたとしたら、「逃げてもすぐに連れ戻されるに決まっている」という考えに至っていた可能性が高い。
 つまり、「絶望」が積極的な逃走を思いとどまらせていたかもしれないのだ。
 実はこれは新潟の監禁事件にも当てはまる。意外に思われるかもしれないが、Xは9年2カ月の監禁中、少女をロープなどで縛って自由を奪うこともしていなかった。誘拐直後にスタンガンで脅したことは認めたものの、それ以外の暴力もかたくなに否定している。また、少女をひとり家に残して、母と出かけることもあった。その際には部屋に鍵をかけて閉じ込めることはしなかった。私自身も「監禁部屋」に入ったが、ドアや窓もごくごく普通の民家にあるもので、特殊な施錠などはされていなかったことを確認している。
 では、なぜ少女は逃げなかったのか──誘拐直後に「逃げてもすぐに連れ戻してやる」「お前が逃げたら代わりに姉さんを連れてきてやる」「誘拐されて死んじゃった子のようになりたいか」などと執拗に脅され続けたことが大きい。それくらいで逃げないというのは考えづらいと思う人もいるかもしれないが、それはあくまで「大人の論理」だ。9歳の子供からすれば、28歳の大人から与えられる「驚愕」が心に及ぼすダメージというのは、我々が考える以上に絶大なのだ。

Posted on 2016年4月10日 5:53 PM
15歳少女を2年間…寺内樺風容疑者の“変質的な素顔”(3)解放された少女の精神状態は?
 どうせ逃げてもムダだ──少女の「絶望」は、解放された際に発した言葉からもうかがえる。
 事件の発覚は、「ひきこもり」が20年に及びXの言動が異常になってきたことを心配になった母が、強制入院をさせようとして保健所に連絡をしたことだった。そこで、部屋に押し入った保健所職員が、Xと一緒にいる18歳に成長した女性を発見したのである。
 その時、住所を問われた彼女はこう答えた。
「私の家は、もうないかもね」
 つまり、自分にはもはや「逃げ帰る場所」もないかもしれないと思い込んでいたのだ。少女の抱えた「絶望」は、我々の想像を絶するほどのものだったことはうかがえるだろう。
「少女監禁」という響きから、世の中がイメージするのは、鍵のあるような部屋に閉じ込めたり、ロープや自由を奪ったり、暴力で服従をさせたりという構図だろう。しかし、現実の「少女監禁」はそうではない。圧倒的に優位な立場にある「大人」が、言葉巧みなウソや脅し文句で「子供の希望」を根こそぎ奪い、「逃げてもムダだ」と思い込ませることにある。物理的な「監禁」ではなく、「絶望」という目に見えない「檻」に囲い込むことなのだ。
 このような過酷な経験を強いられた少女たちの心のダメージは計り知れない。
 新潟の事件でも、解放された女性はPTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断され、家族や親しい友人以外の人間と、関わりを持つにはやはりそれなりの時間を要したという。
 今回の事件で、Aさんがアパートから自力で脱出し、駅の公衆電話から自宅に電話したことから、監禁をされていたわりに元気ではないのかという指摘もあるが、肉体的ダメージがなくとも、精神的ダメージがすさまじいケースも多い。卑劣な寺内の「ウソ」によって、逃亡を諦めていた自分を許せないという後悔も出てくるかもしれない。家族や友人以外に新たな人間関係を築くうえで、大きな障害になるというおそれもあるだろう。
 Xは「美しいものをそのまま残す」ということに異常なまでの執着を見せており、私に刑務所への差し入れを頼む際にも、好きなアイドルやスポーツカーの写真に汚れがつかないように「ラミネート加工」をしてくれと言ってきた。その異様な世界観が、犯行に結びついた可能性は否めない。
 実際、Xは14年の懲役を経ても、実はみずからが行ったことを「監禁」だと思っていない。極端な話、いわれのない冤罪のようなものだと訴えた時期さえある。「監禁男」には、それほど世界がゆがんで見えているのだ。だが、寺内には今のところそのような「ゆがみ」は感じられない。4月1日現在、「普通の男」だと示すような情報ばかりだ。事件発覚直後、自殺を図ったことからも、みずからが変態的な性欲につき動かされた「犯罪者」であることをよく自覚しているようにも思える。そのギャップが、逆に何やら薄気味悪い。
 冒頭の「誘拐願望」が事実ならば、女性に対してかなりゆがんだ支配欲があり、それがAさんのような「美少女」を自由にすることで、満たされていたという可能性もある。「普通の男」が隠し続けてきた「どす黒い変態性欲」が白日の下にさらされる日は来るのだろうか。
 <筆者プロフィール>窪田順生(ノンフィクション作家)
 1974年生まれ。「フライデー」の取材記者、月刊誌編集者、全国紙記者などを経て、ノンフィクション作家となる。「14階段─検証 新潟少女9年2ヵ月監禁事件」で小学館ノンフィクション賞受賞。

 ◎上記事は[アサ芸プラス]からの転載・引用です *強調(太字・着色)は来栖
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寺内樺風容疑者 [埼玉少女誘拐]監禁で逃げられぬ恐怖 過去の事件では“洗脳”“厳重監禁”2016/3/28

    

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