日本政府と日銀が約1億300万ドルを無利子で米連銀に預金 「密約」

2010-03-13 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉
無利子預金 「広義の密約」 米連銀に1億300万ドル
3月12日19時9分配信 毎日新聞
 財務省は12日、沖縄返還時の財政負担を巡る日米「密約」についての調査結果を発表した。72年末から99年末まで、日本政府と日銀が計約1億300万ドルを無利子で米ニューヨーク連邦準備銀行に預金していたことを確認。記者会見した菅直人副総理兼財務相は「(沖縄返還協定の)3億2000万ドルにとどまらない負担など、秘められた約束があったと思われる」と述べ、「(暗黙の合意である)広義の密約は存在した」ことを認めた。
 無利子だったことについて菅氏は、米側が円ドル交換で得たドルを日本が運用することを「棚ぼた的利益」とみていたことを紹介。米国の金利負担を一定期間なくすことで日本にドルの所有を認めた、との見解を示した。財務省によるとこの間、想定される金利は、約7000万ドル以上にのぼるとみられる。
 また、我部政明・琉球大教授が米国公文書館で入手し、無利子預金の日米合意などが盛り込まれている「柏木-ジューリック文書」について「(財政負担に関する)日米間交渉の出発点になったものと考えられる」と話し、正式な文書として認めた。
 調査では、無利子預金の経緯などを記した資料や証言を国内では一切得られず、米外交文書などをもとに事実関係を推測した。無利子預金を解消した経緯も、外貨資産の効率的な運用を進めていた日銀が99年に米側から無利子預金残高の引き下げを認められたことがきっかけだったが、無利子預金の事実には旧大蔵省、日銀とも気づかなかったという。
 調査は、政権交代後、財務省などの密約を調査する目的で外務省の有識者委員会とは別に、財務省が進めていた。【寺田剛】
 財務省が12日発表した、無利子預金に関する報告書の要旨は次の通り。
 ■調査対象
 69年12月に日米両国の財政当局が合意し、沖縄返還に伴う財政・経済上の処理を進める根拠となったとされる「柏木-ジューリック文書」。文書の探索に加え、言及されている「無利子預金」について、財務省の管理する外貨準備の一環を成す可能性があることから、米国関係当局の協力も得て、沖縄返還当時から近年に至るまでの事実関係の推移も確認した。
 ■調査結果の概要
 <1>「柏木文書」については、延べ1000人以上を投じて省内全部局で徹底探索したものの、保有を確認できなかった。一方、職員を米国に派遣し、米国立公文書館で、文書の写しを入手した。文書に関連して、米国立公文書館の公開資料や日本側関係者の記録等から、福田赳夫蔵相の了解の下、大蔵省と米財務省の間で、69年秋(9~12月)に沖縄返還に伴う財政負担に関する会談が行われたことが確認された。財務省には会談の記録が残されておらず詳細は不明であるが、文書は「今後の細部にわたる交渉(70年6月以降に開催)の際に両者が従うべき指針」について、69年秋の時点で共有された「理解」を取りまとめたものと考えられる。
 <2>「柏木文書」に記載された無利子預金に関しては、文書の記述におおむね見合う運用として、日本の外貨準備の運用において、72~99年までの間、一定金額以上の無利子の預け入れ残高を米ニューヨーク連銀に維持していたことが、連銀の調査でわかった。
 さらに、(イ)連銀は、72~99年までの間、大蔵省から5300万ドルの「最低限の無利子預け入れ残高」を維持するとの指示があったと理解している(ロ)米財務省が99年に、連銀に対し、「『最低限の無利子預け入れ残高』を維持するとの日米両政府の理解については、既に期限を経過しているため、当該無利子預け入れ残高については、連銀と、日本国当局との間で合意した条件で処理することにつき問題はない」旨連絡している--ことから、米当局としては、大蔵省及び日銀が一定期間一定金額以上の「最低限の無利子預け入れ残高」を連銀に維持する旨の日米間の理解があったものと認識していることがわかった。
 <3>以上から、無利子預金については、「柏木文書」に記載された内容に沿った日米間の理解が、大筋において最終的な合意となったことが推認される。こうした最終的な合意とそれに基づいた外貨準備の運用が、これまでに対外的に明らかにされてこなかったことは事実である。こうした取り扱いを「密約」とするならば、その意味での「密約」は存在した、あるいはいわゆる「広義の密約」が存在したと言える。
■今後の取り組み
 調査を通じて、▽文書の保存・管理において、主権者である国民が主体的に利用し得る歴史資料を残すとの観点が希薄であり、沖縄返還交渉に関する重要な歴史事実の検証が困難となっている▽一定額以上の無利子預金を維持する措置が継続されているにもかかわらず、関連事項が組織的に引き継がれていなかった--ことが判明した。再発防止を徹底するため、速やかに以下の措置を講じたい。
 ▽条約交渉等の重要な国際交渉については、交渉経緯が跡付けられるよう、関連する行政文書については、原則として、長期間(30年または10年)保存するとともに、保存期間満了後には国立公文書館に移管▽作成から10年以上保存している行政文書を廃棄する場合には、文書の概要及び廃棄しても問題ない理由を記した承認書を作成。文書管理者の決裁を経ることとし、決裁を30年保存。
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