緑内障 無自覚で運転危険 視神経傷つき、視野が徐々に欠ける 2020.4.28

2020-04-28 | Life 死と隣合わせ

緑内障 無自覚で運転危険 視神経傷つき、視野が徐々に欠ける
  2020年4月28日
 視神経が傷つき、視野が徐々に欠けていく緑内障。高齢になるほど患者が増える病気だが、症状の進行がゆっくりなため、自覚がない場合も多い。そういう人が車を運転すると、思わぬ事故につながる危険がある。高齢運転者の事故防止が叫ばれる中、専門医は「定期的な検診で早期発見を」と訴える。 (植木創太)

 

  
  症状がほぼない人の視野(いずれも日本緑内障学会提供)

 「高齢者の危険運転というと認知機能の低下を疑いがち。でも、実は視野に問題がある場合もあります」。たじみ岩瀬眼科(岐阜県多治見市)の岩瀬愛子さん(65)は言う。日本緑内障学会特任理事も務める国内の緑内障研究の第一人者だ。
 緑内障は日本人の失明原因として最も多い進行性の病気。主に眼圧が上がることで視神経に損傷が起きて発症する。四十歳以上の二十人に一人が発症するとされ、長い時間をかけて視野が狭くなる。ただ、両目同時に症状が進むわけではない。初期や中期は、見えない部分をもう片方の目でカバーできるため、視野欠損を自覚しないことが多い。
 岩瀬さんによると、緑内障が運転に与える影響は視野のどこが欠けているかによって違う。例えば、両目で見た時に左上の視野が欠けると見落としやすいのが信号だ。遠くを走っている時は見えていても、近づくにつれて視野から外れるため、その間に青から赤に変わったとしても気付きにくい。左半分の視野が欠ければ、前方左側に止まっている車に気付くのが遅れる。反対に右半分が欠けると、対向車の情報が得にくい。

 

  

   中期まで進んだ人の視野のイメージ。視野検査の黒い部分が見えにくいところ。矢印が指す場所にいる人たちが消えている
 
 発症を自覚すれば、中心部分しか視野が残っていないなどの重度でない限り、意識的に顔や目を動かすことで欠けた視野は補える。問題なのは、病気に気付かずに運転すること。岩瀬さんは「自分はちゃんと見えていると思っているから、大事故につながる可能性が高まる」と警鐘を鳴らす。
 同学会などは、早期発見につながる眼科検診を受けるよう広く呼び掛けているが、なかなか浸透しない。製薬大手ファイザーが今年、全国の四十歳以上の運転者約一万人に行った調査によると、視野検査を受けたことがあったのは二割弱。緑内障による視野異常が運転に与える影響を理解している人は一割にとどまり、「視野欠損を自覚するのはまれ」という病気の特徴は半分以上が知らなかった。
 緑内障は、点眼薬で眼圧を下げる治療を続ければ、進行を遅らせることができる。最近は種類も増え、点眼頻度もさまざまなため、生活のリズムに合わせられる。少しぐらい進行していても、治療を続ければ長く運転することが可能で、失明の確率も低くなる。
 七十歳以上になると有病率は一割ほどに高まる。一方、警察庁の二〇一九年版運転免許統計によると、七十歳以上の運転免許保持者は約千二百万人と全体の14・5%を占める。岩瀬さんは「事故を起こしたり巻き込まれたりしないよう、年に一度は検査を受けて」と訴える。

  
 
 ◎上記事は[東京新聞]からの転載・引用です
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白内障と眼内レンズ 2018.10.9


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