【爆発するバカのクラスター】 安倍叩きはストレス解消か 阿比留瑠比 『WiLL』2020.6月号

2020-04-27 | 社会

WiLL 2020年6月号 

阿比留瑠比(産経新聞論説委員)

安倍叩きはストレス解消か 
 爆発するバカのクラスター
 日本が危機的な状況にあるからこそ、相手の本性が見えてくる

世界情勢は一変する
 新型コロナウイルス克服後の世界情勢は、これまでと一変する。
「今回のコロナ感染拡大で、中国のメッキが剥がれたのは大きい。しかも被害は、自分たちにも及ぶのだと欧州諸国も理解した」
 ある外務省幹部がこのように指摘しているように、中国の市場規模と経済力に目がくらんでいた各国は、その危うさを思い知ったはずです。
 特にG7で初めて中国の「一帯一路」構想に加わるなど関係が深いイタリアで、2万人以上が亡くなる感染爆発が起こっているのは(4月15日現在)、偶然のひと言で片付けられません。
 イギリスにいたっては、チャールズ皇太子、そしてボリス・ジョンソン首相がウイルス感染しています。スペインやオランダでは、中国製検査キットの不具合や不良品マスクを送り付けられたことで、不満が噴出している。
 世界で死者が一番多く出ているアメリカは「中国は絶対に許さない」と思っているでしょう。
 (中略)
 一方で日本を見ると、大変心もとない。サプライチェーン(部品の調達・供給網)を過度に中国に依存してきた経団連から中小企業にとって、決して欧米の状況は対岸の火事ではないはずです。ですが、どうも他人事のように見ている。
 安倍総理は一つの国への生産依存度が高い製品については、生産拠点の国内回帰を後押しする考えを表明しています。「一つの国」とは、要するに「中国」のこと。現在のマスク不足にしても、中国に工場を置いている企業が多いため、国内供給が滞っている面もある。
 以前から、「チャイナリスク」が指摘されながらも、中国に一極集中している企業が日本にはたくさん存在しています。サプライチェーンを中国から移転できていない企業も多く、今後はそういった企業が脱中国の足を引っ張ることになりかねません。
 サントリーホールディングス新浪剛史社長は、朝日新聞のインタビューで「モノの生産を中国に頼りすぎていたと、強く感じる。国内でも安くつくれるよう、大企業ももっと勉強をして、やる気があり、技術を持つ中小企業を支援する」と答えています(4月4日付)。このような意識を持った、どんどん増えていくことを望みます。

バカのクラスター
 日本国内では、新型コロナ騒動の影で、不必要な政治的主張や悪意が横行しています。日本が危機的な状況にあるからこそ、相手の本性が見えてくる。
 驚いたのは、コロナ禍による休業などで生活が困難になった人々が、4月12日、渋谷でデモを決行。安倍首相、麻生財務相の私邸などを中心に、「国民全員に現金給付を」「金を出せ!」と声を上げ、住宅街を練り歩いたのです。外出自粛要請の最中、さらなる感染拡大を招きかねないこんなデモを敢行するなんて、まさに「左翼老人」の暴走です。ネット上では彼らの行いを見て、「バカのクラスター(感染拡大)だと(笑)。云い得て妙だと感心しました。
 もっとも悲惨な状況にあるのが、テレビの報道番組。特にワイドショウ番組はひどい。
 昭恵総理夫人が、自粛の中、SNS上で花見に興じている写真を投稿したと、ワイドショウをはじめとして大騒ぎになりました。
 TVキャスターの辛坊治郎氏は、あるテレビ番組に出演した際、「テレビ局として確認しろ! 3月下旬っていつだよ。そこに写ってる芸能人に聞けば確定する。こんなことやってたらこの番組、数字伸びないですよ」と怒りのコメントを発していましたが、実に的確な指摘だと思います。安倍政権を叩ける材料だと思えば、裏も取らずに利用する。そして後に間違いだったと判明しても決して訂正はしない。
 かようにワイドショウでは何事も針小棒大化して、過剰に煽り、政府の補助金対象の中身についても誤って報じています。それに便乗してネットニュースでも間違った情報が散見される。(中略)
 また、ワイドショー番組では、医療の専門家ではない人を識者として登場させ、訳知り顔にコロナの現状や政府の対応を批判したりしています。まるっきり素人のコメンテーターも好き勝手なことを語る。ネット上では経歴も含めすべてフェイクだと判明しているのに、テレビは視聴者をバカにしているのか、起用を続けている。(中略)
 さらに安倍政権批判を繰り返していた「報道ステーション」(テレ朝)のメインキャスター、富川裕太アナウンサーが緊急事態宣言後も体調不良のまま出社を続け、結果、陽性反応であることが判明しました。富川アナは連日、コロナ感染の状況を報じ、自宅待機を何度も呼びかけていたにもかかわらず、体調不良を押して番組出演を続けた。多くの批判が集まっていますが、致し方ありません。
 (中略)

諸悪の根源
 最新の産経・FNN合同世論調査(4月11日、12両日実施)では、安倍内閣の支持率が前回調査(3月21、22両日)に比べ、2.3ポイント減の39%。これはコロナ有事の対応に関する不安や危機感が反映したものですから、致し方ない面があります。
 一方で、野党第1党の立憲民主党の支持率が、3.7%と過去に例がないほど急落しています。コロナ拡散防止ができるかどうかの重要な局面でありながら、相も変わらず森友学園や「桜を見る会」などを取り上げていました。3年前のモリ・カケを延々と繰り返している野党に対して「バカのクラスター」ならぬ「バカの永劫回帰か」と言いたくなります(笑)。主流派野党の政権批判は感情的で脊髄反射的なためにするものが多いように思います。
 蓮舫議員(立憲民主党)に至っては、批判が目的化したような内容のツイッターを連発しています。たとえば、安倍総理が憲法に緊急事態条項を盛り込むかどうか、活発な議論を望むと発言したことに対して、「政治が行う、今最大の目的はコロナウイルス感染症の収束に向けたあらゆる手段です。国民の命を守ることです。改憲議論への期待を口にするリーダーに、それは違うとなぜ、自民党から声が出ないのでしょう」(4月8日)とツイート。どう読んでも難癖としか思えません。
 1月29日、政府のチャーター便で武漢から帰国した第1陣のうち2名が検査を拒否し、帰宅したという衝撃的な事実が発覚しました。
 ところが、そんな直後でも、参院予算委員会で蓮舫氏の質疑は「桜」を見る会の追及に一辺倒。呆れ返るほかありません。野党には対案がないので、条件反射的な批判しかできないのです。(中略)
 ほかにも蓮舫氏は休校要請のときも「こんなめちゃめちゃなリーダーシップはない。すぐ撤回すべきだ」と散々騒ぎ立てました。ですが、休校要請したことは、結果的に大正解だったと思います。小中高生への感染拡大を防止できたこともそうですが、ディズニーランドやUSJなどの大きなテーマパークが同時に休園を決めたことも大きかった。もし開園を続けていたら、そこを拠点にして大規模なクラスターが発生していたに違いありません。小中高校が休校になったことで、暇になった学生らが殺到するかもしれないと、賢明な判断を下すことができたのです。(中略)

国民の切実な要望
 先の合同調査で気になる結果が出ています。それは憲法改正による「緊急事態条項」新設に65.8%が賛意を示していることです。現状の憲法では、政府や地方自治体は自粛を「要請」レベルでしか行えません。現状に不満や不安を覚えている人たちは、「だったら憲法を改正し、強制権を持たせるべきだ」と考えるのは当然です。
 ところが、2月の初め、「緊急事態条項」を憲法に盛り込む案を一部の自民党議員や、日本維新の会の議員が提案したところ、枝野幸男氏と玉木雄一郎氏は口を揃えて、「悪ノリだ」と批判しました。自民党のポスト安倍候補の一人である石破茂氏まで同じことを言っています。悪ノリでも何でもありません。国民の切実な要望なのです。今国会では憲法審査会は一度も開かれていません。駒澤大学の西修名誉教授(比較憲法学)は新著『憲法9条を正しく知ろう』で、衆参両院に設置された憲法審査会に費やされた予算がまったく生かされていないと嘆いています。さらに「仕事の機会が与えられない衆参事務局の人件費だけで、これまで16億2千万円かかっている」とも指摘。
 日本維新の会の馬場伸幸幹事長が今年1月の衆院予算委員会での次の質問も紹介しています。「全然、議論しない。仕事をしないのに海外視察だけ行っている。一人200万円もの大金を使って。私からいえば慰安旅行ですよ、これ」と。
 視察しても審議はしないのですから、結果は反映させようがありません。マスクの値段が高騰し、中小零細企業では人件費が捻出できないという苦境にある中、国会は何をしているのか。16億2千万円もの大金を平気でドブに捨てている議員のセンセイたちがしていることと言えば、「桜を見る会」に5千万円もかけたのは怪しからんと。

反社会的新聞?
 朝日新聞はマスク2枚配布について、「感染を防ぐ効果がほとんど期待できない布製マスク」や「『アベノマスク』海外でも報道 マスク配布に『冗談か』」「WHOは、新型コロナ感染拡大期における布マスク使用について『いかなる状況においても勧めない』と助言している」と一方的にあげつらいながら、自社のオンラインショップで布マスク2枚を3千3百円という高価でしれっと販売していたのです(現在購入できず)。
 実にみっともなく、醜い行為だし、吐き気を催すほどです。まさに朝日新聞を象徴するような出来事ではありませんか。
 ほかにも小滝ちひろ編集委員はツイッターで「あっという間に世界中を席巻し、戦争でもないのに超大国の大統領が恐れ慄く。新コロナウイルスは、ある意味で痛快な存在かもしれない」と投稿(削除済み)しました。死亡者や苦しんでいる患者、限界を感じながら闘っている医師らをどう考えているのか。
 さらに朝日新聞アジア総局(バンコク)駐在の吉岡桂子編集委員が「取材のため」と称して、3月18日に台湾に入国し、検疫のための隔離生活をSNS上にアップ。まるで旅日記のようなひどい内容に批判が殺到、すぐに削除しています。
 もう世間を舐めているとしか言いようがありません。天罰でしょうか、50代の男性論説委員が感染しましたが、彼らはこれも「痛快」と言うのでしょうか。
 安倍総理はこうした一連の朝日のやり方を「反社会的だ」と周囲に漏らしましたが、同感です。総理は4月9日の時点で、東京の感染者数の推移を見ながら、「今週、この感染者数の数値で動けば、今後は数字が下降していく可能性が高い。そうなると、世界的に稀有な例となる」と希望を語りもしました。また「ワクチンは2021年明けにでも完成するのではないか」とも述べています。
 今は「非常時」なのです。安倍総理が日本の現状を俯瞰的な視点で分析し、世界の首脳らと話し合い、専門家らの分析も踏まえて決断を下したことに関して、一方的に断罪するのはいかがなものでしょうか。
 新型コロナを通じて日本のウミやアクがさまざまなところで噴出しています。
 これらを出し切って、コロナ終息後には「新生日本」として生まれ変わり、東京五輪を心地よく迎えたいものです。


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