蛾と蝶と 並びて蜜を 吸うており 曳地トシ
今週のことば
中日新聞 2020.06.23 火曜日 朝刊
和田重良
蛾と蝶が並んで蜜を吸っている光景はとても平和で楽しくて明るい感じがします。人間の頭の中でどう決めようとどのように考えようと、仲良く生きるのが何より平和なのです。セセリチョウという種類の、蛾なのか蝶なのか区別がつかない、蛾とも蝶とも言えそうなかわいらしい種類がいます。しょせん、蛾だの蝶だのと分けたのは人間の頭の中の勝手な分別なのです。
そもそも蛾と蝶の分類をしなければならないのは生物学上のことです。だからセセリチョウという種類の存在は面白いし、そのままどっちつかずでいいのではとも思います。
世の中にはさまざまな特徴を持った人たちがいます。気の強そうな人や力の弱そうな人、優しそうな人も意地悪そうな人もいます。金持ちも貧乏人もそのことで人の価値を分類することはできません。みな一生懸命に生きようとしているからです。交ざりあって助け合っているほうが平和で楽しいのです。(NPO法人・くだかけ会代表)
◎上記事は[中日新聞]からの書き写し(=来栖)