安倍首相会見 ①新しい自民党になりました~④憲法改正は腰を落ち着け、じっくりと~⑤まずはデフレ脱却

2013-07-22 | 政治

【参院選】安倍首相会見・抄録(1)「20年の荒波を越え、新しい自民党になりました」
産経新聞2013.7.22 14:55
  自民党総裁の安倍晋三首相は22日、参院選の勝利を受け、自民党本部で記者会見した。詳細は次の通り。
 昨年、総選挙の勝利について、この場で民主党の間違った政治に国民がノーを突き付けたものであり、国民はまだまだ厳しい目で、自由民主党を見つめている。私はこのように申し上げました。その認識の下、私たちは高い緊張感を持って経済の再生、復興の加速、外交・安全保障の立て直し、教育再生などに全力を尽くして参りました。GDP(国内総生産)や雇用といった実体経済を表す指標は好転し、確実に成果はあがっています。この道しかない、この思いを選挙戦で訴えて参りました。そして、昨日、決められる政治によって、この道をぶれずに前に進んでいけと、国民の皆様から力強く背中を押していただいたと感じております。まず自由民主党を応援をしていただきました国民の皆様に心よりお礼を申し上げたいと思います。
 今回の選挙で自由民主党がいただいた議席数は私の20年間の政治家人生で最も多いものでありました。振り返れば20年前のちょうど今日でありますが、7月22日、私はこの党本部での両院議員総会で新人議員として紹介を受けました。その直後、当時の宮沢(喜一)総裁が衆院選の敗北の責任を取り退陣を表明しました。いわゆる55年体制が崩壊をした瞬間でありました。まさにその瞬間にスタートを切った私の政治家人生はいわば、新しい自民党への変革の日々でもありました。野党からのスタート。55年体制下のライバル、社会党との連立。自民党をぶっ壊すと訴えた小泉純一郎総裁、そして改革政党へと脱皮をさせた小泉総裁。私も幹事長や幹事長代理として党改革に取り組んで参りました。4年前の総選挙、119という数字。歴史的な惨敗で野党に転落をいたしました。3年余りの野党生活は、私たち自由民主党に政治は国民のもと、政治は国民のものという立党の精神に立ち戻るきっかけを与えてくれました。20年間の荒波を乗り越え、私たちは間違いなく新しい自民党に生まれ変わりました。

安倍首相会見・抄録(2)「新しい自民党の姿勢が国民から信任を受けました」
2013.7.22 15:27
 だからこそ次元の違う経済政策も国家国民のため、一糸乱れず突き進むことができました。国論を二分したTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への交渉参加も決断することができました。そうした新しい自民党の姿勢がこの参院選で国民から信任を受けた、私はそう思っています。本日同席の党幹部を始め、これまで党改革に汗を流してきた全ての同志議員に改めて感謝するとともに、勝利の喜びを分かち合いたいと思います。
 この勝利により、日本政治を長く迷走させてきた「ねじれ」に終止符を打つことができました。しかし、同時に60議席獲得という数の重みを、私たちはかみしめなければなりません。衆参両院での多数を生かすことで、国民の負託に応え、政策実行をさらに加速させていかなければなりません。
 国民との対話を怠り、あるいは改革から逃げるような古い自民党に逆戻りすれば、直ちに自民党への国民の信頼は失われてしまいます。次の総選挙では自民党は4年前の119議席、もしくはそれ以上の大敗を喫することになるでしょう。  
 もはやねじれを言い訳にしたり、野党のせいにしたりすることはできません。国民の厳しい目線は今後ひとえに自民党に向けられてきます。そのことを全ての自民党議員が強く意識しなければなりません。1年半後には統一地方選挙もあります。過去の厳しい時代の経験を胸に、常に緊張感を持ち、気を引き締めて、国家国民のための政治を進めていかねばなりません。これが新しい自民党に与えられた使命です。
 そして、きょうからが本当のスタートだと思っています。とりわけ国民が最も求めているのは全国津々浦々まで実感できる強い経済を取り戻すこと。経済は国力の源泉です。外交力も安定した社会保障も、強い経済なくしては成り立ちません。
 秋の臨時国会は「成長戦略実現国会」です。大胆な投資減税を決定する他、産業競争力強化法などの成立を期したいと思います。実行なくして成長なし。日本再興戦略に盛り込んだ政策をどんどん実行に移していきます。待ったなしの社会保障制度改革も国民会議の議論を取りまとめ、実行に移していかねばなりません。
 来年度からの消費税引き上げについては、今年4月から6月の経済指標などを踏まえ、経済情勢をしっかりと見極めながら秋に判断をしてまいります。デフレ脱却、経済成長と財政再建の両方の観点からしっかりと判断していく考えです。
 成長をあきらめた国には未来はない。私は総理就任会見でこう述べました。日本全体を覆っていた自信喪失への強い危機感から発した言葉です。しかし今、私は未来への希望にあふれています。なぜなら今回の選挙において、成長に対する国民の強い意志を感じることができたからであります。70年代、80年代、日本は力強く成長しました。しかし、この時代の日本人にできて今の日本人にできないはずはありません。
 日本を再び力強く成長させるため、一緒にやろうじゃありませんか、という私の呼びかけに対し、全国どこでも多くの国民の皆様が大きな声援で応えていただきました。日本人が自信と誇りを取り戻しつつある、私はそう実感をいたしました。
 大胆な規制改革もTPP交渉もそして消費税の引き上げも、いずれも困難な課題ばかりでありますが、日本の将来のために決断を出していかねばなりません。しかし、国民の皆さんと一緒であればどんな困難も必ずや乗り越えていくことができる、そう実感した参院選でもありました。私からは以上であります。

安倍首相会見・抄録(3)「自民党役員・内閣改造はまだ白紙です」
2013.7.22 15:36
---日本の政治は6年間、「ねじれ国会」で苦しみ、首相が毎年代わる不安定な政治を続けてきた。ねじれは参院選で解消された。国政選挙は衆院解散しない限り3年後の参院選まで予定されていない。この3年間、政権を継続して担う決意か。この3年間は選挙を恐れずに思い切った政策ができる「黄金の3年間」ともいわれる。経済政策に最優先の考えを示したが、そのほかにも集団的自衛権の行使をめぐる憲法解釈見直しや選挙制度改革の重要課題がある。どのように取り組むか
 「まずですね。今回、選挙にあたって私はこう申し上げました。まさにねじれによって政策は前に進んでいかない。このねじれの原因を作ったのは6年前の私であり、その後私を含めて総理大臣が毎年代わっていくことによって、日本の国力は失われた。実際外交においてはそうだったんだろうと思います。今回、国民の皆さまが安定的な勢力を私たち与党、自由民主党に与えていただきました。この安定的な勢力のもと、しっかりとぶれずに政策を前に進めていくように、そして総理大臣がしっかりと政策を落ち着いて前に進めていきながら、外交においても成果を上げていくようにという国民の皆さまの意志だったんだろうと思います。当然、私も国民の皆さまの声に応えていく覚悟でありました。どっしりと腰を据えて、政策を力強く前に進め、強力な外交も展開していきたい。日本の存在感を世界にしっかりと示していきたいと思います」
 「そのなかにおいて、まず集団的自衛権についてでありますが、日本を取り巻く安全保障環境が大きく変わる中で、日本国民を守るために何が必要かという観点から引き続き安保法制懇(政府の有識者会議『安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会』)での議論を進めてまいります。個別具体的な分類をしていくなかで、この議論は進めてきたわけでございますが、同時に友党、公明党の皆さまのご理解を得る努力も積み重ねていきたい。このように考えております」
 「そして選挙制度改革でありますが、残念ながら先の国会において、この定数の削減、そして選挙制度改革について進めることはできませんでした。これは党派間、それぞれの自分の党の主張を強く展開をした結果、歩み寄りがなく、そのなかで私は第三者機関を国会に設ける。こういう提案をさせていただきました。ぜひともですね、各党、各会派の皆さまにご賛同いただき、前に進めていきたいと思います」
---自民党役員は9月末で任期が満了する。新役員人事の焦点は衆院選と参院選で陣頭指揮を執った石破茂幹事長の処遇だが、どう考えるか。内閣改造を行うことを考えているか
 「非常にストレートな質問をいただきましたが(笑)。あの、石破幹事長はみなさまご承知の通り、北海道から沖縄、まさに八面六臂(ろっぴ)の活躍で陣頭指揮を執っていただいた。獅子奮迅の戦いを展開していただいたと思っています。昨年の衆院選も、参院選も私は石破幹事長とともに戦って、この実績を得た。こう思っています」
「そうした観点からですね、役員人事について考えていきたい。また、役員のみなさまそれぞれ大きな仕事をしていただいた。ここにおられる役員の皆さまですね。大きな仕事をしていただいたからこそ、この結果を出すことができたのだろうと思います。自民党というのは今まで、ともすれば中でぎくしゃくする。それに対する支持者のみなさまの嫌気もあったということもあるんだろう。今度はまさにこの昨年12月以来、ずっと一致結束して、ここまできた。それはやはり、それは執行部の皆さまの力、私はよるところが大きかったんだろうと、こう思っているところであります」
 「そしてまた、すぐに閣僚のメンバーもきょうから仕事に専念していただかなければなりません。政策の実行を腰を据えて前に進めていけ、という国民の皆さまの声だった。これに応えていかなければならない、そういう観点から人事については考えていきたい。いまの段階ではまだ白紙です」

安倍首相会見・抄録(4)「憲法改正は腰を落ち着け、じっくりと進めます」
2013.7.22 15:45
---憲法改正について、96条の先行改正か
 「そもそも3分の2の発議要件に達しなければ、参議院、衆議院、発議ができませんから、前に進めていこうと思ってもできませんね。まず順番としては、これはいつも申し上げているんですが、6年前、第1次安倍政権のときに国民投票法が成立し、本来であれば3年以内に、18歳に投票権の年齢が上がって(下がって)いく中において、選挙権との関係や、権利義務との調整を進めていくように。もうひとつは公務員の行為規制、さらには国民投票の対象を逐条ごとに絞っていくべきか、議論をちゃんとやっていきましょうね、そういうことでありました。残念ながら当初の3年、当時の民主党が強く反発して議論すらできなかった。6年間経過をしてしまった」
 「まずこれに取りかかっていく必要がありますね。そして国民投票ができる状況をつくる。そしてその中において国民的な議論を深め、同時に憲法は普通の法律と違って決定的に違う点は何かといえば、一般の法律であれば、国会の中で国会議員が過半数賛成すれば終わりであります。しかし、憲法は単に発議するにすぎない。これはどうですか、ということを国民の皆さまにまさに決めてくださいと提出をするわけでありまして、決めるのは国民の皆さまです。これが決定的な違いであります。ですから96条ということについていえば、国民の皆さまに決めていただくべきであって、衆参どちらかで3分の2をちょっと超える方の反対で指一本触れられないのはおかしいのではないか。これが私たちの考え方であります」
 「この考え方も多くの人たちと共有するに至っておりません。そういう努力をしていく必要もある。すでにわれわれは、憲法全体においては、昨年、谷垣禎一総裁時代の執行部においての素案を示している。そうしたことも、全体を見ながら、まずは国民投票への整理をしていく。そしてその上に96条をできればという考えなんですが、まず3分の2を、多数派を構成できるものは何かということも含めて、政治は結果、現実ですから、そのことも踏まえて考えていきたいと思います。いずれにしても、腰を落ち着けてじっくりと進めていきたいと思います」
---今後の派閥のスタイル、党内運営はどうするか
 「派閥の機能は否定しておりません。仲間が集まって議論していく、そして選挙においてお互いが助け合っていくことによって力を発揮していくという機能があります。新人を育成していく、あるいは落選議員を支援していく機能があることは事実であります。これぐらい大きな所帯ですからね」
 「しかし同時に、かつて人事は私は派閥の全盛時代も知っていますが、大臣も副大臣も政務官も委員長も全部、派閥の代表者が出てきてですね、そこで相談をして決めていた。そんなことはもうしない。これは間違えないわけであります。すでにそうなっているわけでありますし、それは今後もその方針で進めていきたいと思っている」
---安定した基盤ができて、野党が数の上で機能しないが、総理が今後、気をつけていくことは
 「日本は民主主義国家でありますから、当然、野党の数が小さくなったとはいえ、われわれはそうした少数を方々の意見を尊重しながら進めていく。これが利害のあり方なんだろうと思います。われわれは今までと同じように謙虚に進めていく。このように思います。同時にですね、利害のあり方として、国際社会を見て、その中で経済はグローバル競争に勝ち残っていかなければならない。そういうスピードも要求されてくるわけでありまして、55年体制時代の国会でいいのか、議会においても議論いただきたいと思います。基本的にはですね、政府の立場としては、議会に対してわれわれは謙虚にしっかり説明をしていくという姿勢でいきたいと思います」

安倍首相会見・抄録(5完)「まずはデフレ脱却、強い経済に集中します」
2013.7.22 15:52
---今後3年間でどういう順番で、やらなければならないことをやっていくのか
 「われわれ政府を預かっているものとしてですね、1つだけやっていればいいというものではないんですね。一度にさまざまなことに対応していかなければいけません。しかし、まずどこに基本的に勢力を集中していくか、ほかのことはやらないということではありませんよ。まずは、この選挙を通してですね、私たちはでデフレ脱却に向けて経済政策を進めています。この道しかないということを訴えてきました。そして、国民の皆さまに、その方針でいけと、背中を押していただいたと思いますね。15年にわたるデフレから脱却するのは、これはそう簡単なことではない。歴史的事業といってもいいと思いますね。まずはそのことに集中していく。強い経済がなければ、社会保障の、いわば財政的な基盤を強くしていくこともできませんし、安全保障・外交においてもそうです。そのことに集中をしていきたいと思います」
---日中関係を改善すると言うが、具体策は。目の前の困難は乗り越えられるのか
 「さまざまなこれは課題が日中間にはあります。同時に日中関係というのは、最も重要な二国間関係のひとつであろうと思います。それは、日本にとっても中国にとっても同じであろうと思います。だからこそ、ともに協力して乗り越えていく努力が必要なのだろうと思います。ですから、そのためには、まずお互いが胸襟を開いて話をしていくというのが大切ではないのかな、と思います。ですから外相レベル、あるいは首脳レベルの、首脳会談、外相会談を行うべきだろうと思います。今もですね、われわれは対話のドアは開いているということを申し上げているわけでありますから、ぜひ、この私の発言もですね、中国でもしっかり報道していただきたいと思います」
---集団的自衛権と安保基本法について。安保法制懇の議論が始まると思うが、最終報告をいつごろ受け、いつごろ見直しを決定するのか。安保基本法の国会提出の時期は。閣法でやるのか、議員立法なのか

 「まず集団的自衛権の行使について申し上げれば、これは、抽象概念で話をしているとなかなか国民のみなさまはわかりにくいんだろうと、こう思いますが、しかし、例えば、日本の近海の防衛に当たっている米国艦船が、もしミサイル攻撃を受ける。そして近傍に公海上であって、近傍にわが国の例えばイージス艦がいたと。そしてそのミサイルを撃ち落とす能力がイージス艦にのみあった場合ですね、それは撃ち落とさなくていいんでしょうか、ということですね。撃ち落とさなければ、米国の艦艇、これは日本に協力するために、抑止力を効かせるためにそこに存在する船が、このミサイルで沈没し、若者の命が失われます。日本は落とせるのに落とせなかった。これで同盟関係は維持できるかどうか、という具体的な問題なんですね。それはいつ起こるか分からないという状況であります。ですから、そういうことなどを踏まえてですね、いま安保法制懇で議論をしています。憲法との関係においての整理もそうです」
 「これは、選挙に入りましたので、しばらくこの議論はできなかったわけでありますが、また、夏休みには入りますが、スタートしながら、さらに議論を深めていく。そして、これは解釈についてただ変えればいいということではなく、それにのっとって、部隊が対応していくためには、すべて法的な裏付けが必要であります。そしてその法的な裏付けをしていくうえにおいて、石破幹事長が中心となってすでに基本法というのは、もう骨格以上のものができているわけでありますが、基本的には、議員立法でいくか閣法で行くか、まあ、安保の基本であれば閣法であるべきだという、私はそういう考えでありますが、こうしたことも、党側とよく話をさせていただきたいと思います」
(終わり)
 *上記事の著作権は[産経新聞]に帰属します
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「河野洋平と朝日新聞を国会に喚問しろ」山際澄夫 【総力大特集 がんばれ、安倍総理!】 WiLL 2013年7月号 2013-05-30 | 読書 
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◆ 書評『約束の日 安倍晋三試論』小川榮太郎著 安倍叩きは「朝日の社是」 2012-12-27 | 読書 )
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憲法改正で「日本」を取り戻せ 誤った歴史観を広めるメディア・教育界に風穴を 『Voice』4月号 2013-03-24 | 読書  
『Voice』4月号2013/3/9(毎月1回10日発行)
憲法改正で「強い日本」を取り戻せ いまこそ誤った歴史観を広めるメディア・教育界に風穴を開けるときだ
 対談「渡部昇一(わたなべしょういち・上智大学名誉教授)×百田尚樹(ひゃくたなおき・作家)」
〈抜粋〉
p45~
■サイレントマジョリティの声を聞けるか
百田 同じように、戦後長らく左翼的な勢力が跋扈しているのが、新聞やテレビなどメディアの世界、そして教育界です。(略)
 まずメディアについていえば、第1次安倍内閣は『朝日新聞』をはじめとする新聞やテレビに過剰なまでにバッシングされ、短い期間で残した実績が国民に十分に伝わらないまま、退陣に追い込まれてしまいましたね。
渡部 ベストセラーになった『約束の日 安倍晋三試論』(幻冬舎)で小川栄太郎さんが書いているのですが、昨年11月に亡くなった政治評論家の三宅久之さんは、かつて朝日新聞社の主筆だった若宮啓文氏に「どうして『朝日』はそこまで安倍さんを叩くんだ?」と尋ねたところ、「社是だからだ」といわれたそうです。
百田 ただ、いまでは「安倍たたき」をするか否か、メディアも少し慎重になっているようにもみえます。リベラルな論調を出すことで読者が減るのではないか、と懸念しているのでしょう。
渡部 1月にはアメリカのニューヨーク・タイムズ紙が安倍さんを「右翼の民族主義者だ」と強く批判しました。『ニューヨーク・タイムズ』の東京支局は、朝日新聞社と同じビルにあります。これは邪推かもしれませんが、『朝日新聞』の記者が、自分たちの発言力が落ちていることに危機感を抱き、『ニューヨーク・タイムズ』の記者をけしかけて、社論を書かせたと解釈することもできます。
百田 ここ数年でインターネットが発達し、とくに若い世代を中心に「マスコミの情報が必ずしも正しいわけではない」という意識が芽生え始めたのも大きいですね。
p47~
■教科書には「事実」を記述すべき
渡部 第1次安倍内閣の果たした政策のうち、とくに私が評価しているのは、教育基本法の改正です。道徳や倫理観に関する基本的な教育方針を変えたことで、ようやく日本人が日本人であることに誇りをもてる教育ができるようになりました。
百田 日教組の教職員は子どもたちに、「日本は侵略戦争を行い、アジアの人々を傷つけた」「日本人であることを恥ずべきだ」ということを教えてきましたからね。そのような誤った知識を死ぬまで持ち続ける日本人も多い。広島県のある高校は修学旅行で韓国に行き、生徒たちに戦時中の行為について現地の人に謝罪をさせたとも聞きます。世界中を見渡しても、そのような教育をしている国はどこにもありません。
渡部 「日本が侵略戦争を行った」というのは、東京裁判の検察側プロパガンダの後継者です。しかし東京裁判以外に、日本を正式に批判した公文書は存在しません。マッカーサーもアメリカ上院の公聴会で、「日本が行ったのは自衛戦争だった」と証言している。東京裁判史観をいまだに尊重していることが、いかに意味のないものかがわかります。(略)
百田 「侵略戦争」といっても、日本人は東南アジアの人々と戦争をしたわけではない。フィリピンを占領したアメリカや、ベトナムを占領したフランス、そしてマレーシアを占領したイギリス軍と戦ったわけです。日本の行為を「侵略」と批判するなら、それ以前に侵略していた欧米諸国も批判されてしかるべきでしょう。
p48~
渡部 私の娘はジュネーブの日本人学校で教えているのですが、日本から来た子どもたちが「日本人は悪いことをした」と洗脳されているのを解くのが大変だ、といっていました。「日本はほんとうは立派な国なのだ」と教えると、ほんとうに誰もが喜ぶそうです。
百田 だからこそ政府にいま求められるのは、日本人の歴史観を正しいものに変えるため、ロビー活動、啓蒙活動を行っていくことですね。
渡部 安倍さんは首相就任以前より、教科書問題に関心を抱き、大手出版社の社長に「こんなことを書いていたのか」と迫ったり、教育学者の藤岡信勝氏らが設立した「新しい歴史教科書をつくる会」で講演を行っていたと聞きます。安倍さんの改革によって、いまの教育界にさらなる風穴があくことを期待しましょう。
■日本国憲法は「占領基本法」にすぎない
百田 だからこそ安倍政権では、もっとも大きな政策課題として憲法改正に取り組み、軍隊創設への道筋をつくっていかねばなりません。世界の約200か国のうち、軍隊をもっていない国は、モナコやバチカン市国、ツバルといった小国をはじめとする27か国しかない。日本のような経済大国がそれに当てはまるのは異常なことです。
渡部 同感です。安倍さんは第1次内閣で防衛庁を防衛省に昇格させ、内閣に安全保障の責任者が不在という歪な状態を解消させることに成功しました。第2次内閣では、さらにもう一歩踏み込んだ取り組みに期待したいですね。
百田 世間では、「憲法は神聖で侵さざるべきものである。改正するなんてもってのほかだ」という、「憲法改正アレルギー」のような意識が蔓延しているようにも感じます。しかし世界中のどの国も、憲法改正はごく普通に行っている。アメリカは18回、フランスは24回、ドイツは58回、メキシコに至っては408回も改正しており、世界最多の回数といわれています。(略)
p51~
渡部 日本国憲法は「アメリカの占領が続く」という前提のもとに作られた、いわゆる「占領基本法」と呼ぶべきものなんです。もし1950年に朝鮮戦争が起きなければ、アメリカは50年ぐらい日本の占領を続けるつもりだったのですから。そのため日本国憲法の前文には、「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」とある。日本人の安全と生存を諸外国に委ねるなんてとんでもない話であり、このような代物がほんとうの「憲法」であるといえるはずがない。
百田 アメリカも大東亜戦争で痛い目に遭っていますから、もう二度と日本が立ち向かえないようにした、ということですね。9条で「交戦権の放棄」を押し付けたのもそうです。いまの日本には自衛隊がありますが、9条を厳密に解釈すると、相手に銃を向けられて引き金に指がかかってもいても抵抗できない。向こうが撃ってくれば初めて反撃できますが、それも最低限のものに限られ、たとえば一発撃たれて十発撃ち返したら、過剰防衛として処罰される。こんな馬鹿なことはないでしょう。
p52~
百田 ドイツも同じく、占領されているときに連合国軍に憲法を押し付けられましたね。でもドイツ人はそれを「憲法」とみなしておらず「ボン基本法(ドイツ連邦共和国基本法)」と呼んでいます。占領が解けてから50回以上も条文を改正し、自分たちの憲法をつくっていったのです。*強調(太字・着色)は来栖 
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