⑧ Yちゃんの泣き声がうるさいからYちゃんを風呂桶に入れたり、押し入れに入れたりしたのではなく、風呂桶がベビーベッドに見えたからであり、またYちゃんが汚物に汚れないようにと考えて押し入れに入れたものであること・・・従って、被告人にはYちゃんを殺害する動機がないこと。
この点については、被告人が、
「居間から出てあてどもなくあるくと風呂にたどりつきました。
風呂桶がベビーベッドに見えYちゃんを入れたもののゴスゴスという音がして泣き声がはげしくなり、すぐにYちゃんを再び抱きました。」(資料13頁)
「そのときYちゃんが僕に近づいてくるので汚物でよごれてはいけないと思っておしいれの上のスペースをあけてYちゃんをその中に入れ、落ちてはいけないと思っておしいれを絞めました。」(資料15頁)
と上申書で述べているとおりである。
⑨ 紐は、自分を責めるために取り出したものであり、Yちゃんに泣きやんでもらいたい、静かになってもらいたいと思っているうちにYちゃんを死亡させてしまったこと・・・従って、被告人には、Yちゃんを殺害する故意がないこと。
この点については、被告人が、
「僕は座りこみ、Yちゃんをあやそうとしたのですが、自分が泣かせておいて泣きやませようとしている自分を恥じ、右ポケットにあった紐をとりだして自分の右手に紐をくくりつけ何度もゆるめたりひっぱったりして自分を紐で絞めつけ責めました。
その後です。Yちゃんを死亡させるにいたるのは。」(資料17頁)
「僕はYちゃんの首に紐を二重巻きにしてちようちょ結びにしていますが、どうしてそのようなことになってしまったのか僕でもなにがなんだかわからない状況にありました。
しかし僕はYちゃんを殺そうと思っていませんでした。
これはYちゃんに泣きやんでもらいたい、静かになってもらいたい、そう思っている時のできごとでした。
殺すためのものではありません。
なお、僕はYちゃんが泣き叫んでいるときに、あやそうとして、抱き上げようとした際、うまく抱くことができず先にもふれましたように自分の腰より下の位置の高さからカーペットの上にYちゃんを落としてしまったことはあります。
僕はYちゃんを両手で絞めたことはありません。」(資料18頁)
と上申書で述べているとおりである。
⑩ Yちゃんを死亡させた後、Mさんを姦淫していること・・・従って、被告人の行為は死姦に該当すること。
この点については、被告人が、
「僕は気持ちがおかしくなっていましたし気が付いたら押し入れ左側のはしらに背をあずけて呆然自失j、放心状態になって座っておりました。
その後左目のはしにうつった半裸のMさんが目にとまり、這ってゆき、姦淫をいたしました。」(資料19頁)
「姦淫しようと思ったのはMさんにつづきYちゃんまでも死亡させてしまった後でであって、それは絶望の中での姦淫なのです。
僕にとってははじめてのSEXであり冷たくなってゆくMさんとの死姦でした。」
と上申書で述べているとおりである。
4 結論
以上のとおり、被告人は、Mさん及びYちゃんを殺害したことはなく、それは傷害致死にとどまる。
またMさんを強姦したことはなく、それは死姦にとどまるものであり、これらは、実況見分調書、鑑定書だけでなく、被告人の上申書からも明白である 。
以上