2017/9/19 中日新聞
遠い共存 パレスチナ占領 半世紀 ①トランプ氏の影
イスラエル 入植に拍車
「ユダヤ教徒にとって大切な場所。この土地を守らなければならない」。パレスチナ自治政府の拠点都市ラマラを眼下に見渡す丘の上で、イスラエル入植者の広報責任者を務め住民でもあるヤエル・ベンヤシャルさん(50)が至極当然といった顔で答えた。
ヨルダン川西岸の入植地ベイトエル。旧約聖書の中でイスラエル民族の祖ヤコブが、神から「いま寝ている土地を与える」と約束された夢を見た場所、というのが占領を正当化させる理由だ。
1967年の第3次中東戦争で西岸と東エルサレムを占領下に置き、入植地を増やしたイスラエル。軍駐屯地があったベイトエルには、77年に16家族が住み始め、信仰のあつい宗教右翼を中心に人口6千5百人に膨れ上がった。閑静な住宅街は、エルサレムに近いベッドタウンでもある。
ベイトエルがにわかに注目を集めたのは、今年1月に誕生したトランプ米政権との関わりだった。地元メディアによると、トランプ氏は過去に米財団を通じて約1万㌦を寄付した。
財団の代表を務めていたのが、トランプ氏の元顧問弁護士だった駐イスラエル大使のフリードマン氏。ユダヤ教正統派の熱心な信者だ。地区内にある神学校の関連施設には、寄付者として名前が刻まれている。
イスラエルのネタニヤフ政権は今春、これまで国際社会に配慮してきた西岸での入植活動を25年ぶりに認めるなど、トランプ政権発足後に六千戸以上の建設を認めた。入植凍結を求めたオバマ前政権と対照的に、黙認するトランプ氏の存在がブレーキを外した形だ。
ベンヤシャルさんによれば、ベイトエルは過去十年間で住宅増設が認められず、「子どもが結婚しても住む場所がなくて離れていく」のが悩みだった。今月も新たに三百戸分が認められる見通しで、「少なくともトランプ氏は、私たちに入植を諦めることを強いたりはしない」と期待する。
隣接するパレスチナ難民キャンプとの間で小競り合いが絶えず、7月中旬にも公園などが放火されて消失した。ユダヤ人脈に囲まれたトランプ氏が、中東和平交渉を進展させる青写真を明らかにしないまま、事実上の領土拡大が進んでいく。ベンヤシャルさんは言い切った。「パレスチナ側が望むなら平和的に共存できると思う。でも、私たちがボスだ」
(パレスチナ自治区の入植地ベイトエルで、奥田哲平)
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イスラエルがヨルダン川西岸と東エルサレムを占領した1967年の第3次中東戦争から半世紀が過ぎた。2014年に頓挫した中東和平交渉の再開に向け、「究極の取引を達成する」と掲げたトランプ米大統領の意気込みとは裏腹に、入植地が拡大し、パレスチナ人のやり場のない怒りが暴力を生んでいる。「二国家共存」の理想は果たせぬままだ。現状を報告する。
◎上記事は[中日新聞]からの書き写し(=来栖)
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創世記 第28章
1 イサクはヤコブを呼んで、これを祝福し、命じて言った、「あなたはカナンの娘を妻にめとってはならない。
2 立ってパダンアラムへ行き、あなたの母の父ベトエルの家に行って、そこであなたの母の兄ラバンの娘を妻にめとりなさい。
3 全能の神が、あなたを祝福し、多くの子を得させ、かつふえさせて、多くの国民とし、
4 またアブラハムの祝福をあなたと子孫とに与えて、神がアブラハムに授けられたあなたの寄留の地を継がせてくださるように」。
10 さてヤコブはベエルシバを立って、ハランへ向かったが、
11 一つの所に着いた時、日が暮れたので、そこに一夜を過ごし、その所の石を取ってまくらとし、そこに伏して寝た。
12 時に彼は夢をみた。一つのはしごが地の上に立っていて、その頂は天に達し、神の使たちがそれを上り下りしているのを見た。
13 そして主は彼のそばに立って言われた、「わたしはあなたの父アブラハムの神、イサクの神、主である。あなたが伏している地を、あなたと子孫とに与えよう。
14 あなたの子孫は地のちりのように多くなって、西、東、北、南にひろがり、地の諸族はあなたと子孫とによって祝福をうけるであろう。
15 わたしはあなたと共にいて、あなたがどこへ行くにもあなたを守り、あなたをこの地に連れ帰るであろう。わたしは決してあなたを捨てず、あなたに語った事を行うであろう」。
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どちらの言い分にも、もっともらしくおもえますし、私にはわかりません。
でも、数千年前の聖書を熱心に信じ、民族の確信にしている人たちって、ある意味では驚嘆に価します。
少し、うらやましい気もします。