弾道ミサイル発射を続ける北朝鮮に対し 2022/5/29

2022-05-29 | 国際

中日春秋
 中日新聞 2022年5月29日 日曜日
 母子二人の貧しい生活。ある日、子どもが殴られ、ひどいけがをする。泣いて帰ってきた子を見て、おっかさんは腹を立てる。落語の「子別れ」である。「どこの子がやったんだい。おっかさん、文句を言ってやるから。ほっといたら、しまいに、何をされるか分かったもんじゃない」
▼子どもが教える。「伊藤さんの坊ちゃんが」。おっかさんの威勢が途端に悪くなる。「痛いだろうが、がまんをおし」「その家からはお仕事をいただいている。お仕事がもらえなくなったら…」
▼この場面に差しかかるとつらくなるという人もいるのではないか。事情は分かるが、相手に非があるのに辛抱しろとは切なかろう。国際社会はやはり「痛いだろうが、がまんをおし」と言われている気がしてならぬ。国連安全保障理事会の話である
▼弾道ミサイル発射を続ける北朝鮮に対し、制裁強化を求める決議案は否決された。中国とロシアが拒否権を行使した結果である
▼賛成国が多数でも常任理事国の両国が拒否すれば曲がったこともただされぬ。ロシアのウクライナ侵攻をめぐって露呈した国連の分断と限界が「再び」である
▼心配なのは、さらなるおとがめはないとたかをくくった北朝鮮の動きだろう。核実験の準備を進めていると伝わる。「しまいに、何をされるか」−。おっかさんの言葉をいやでも思い出させる国連の機能不全である。

 ◎上記事は[中日新聞]からの転載・引用です
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