『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』 歪んだ司法制度を追及 / ドキュ+ドラマ 全国順次公開

2013-02-12 | 死刑/重刑/生命犯

『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』 歪んだ司法制度を追及 
2013/02/12 08:34【共同通信】
 戸塚ヨットスクールのその後を追った『平成ジレンマ』や、オウム真理教・麻原彰晃などを担当する弁護士・安田好弘氏に密着した『死刑弁護人』など挑戦的なドキュメンタリーを発表している東海テレビの斉藤潤一監督&阿武野勝彦プロデューサーコンビ。2人が長年追い続けている事件の一つが、この名張毒ぶどう酒事件だ。
 1961年(昭36)に三重県の山里にある村で行われた懇親会で5人が殺害され、容疑者の奥西勝に死刑判決が下される。だが彼は無実を叫び続け、52年間も勾留されている異常な事件だ。斉藤監督らはこれまで3作、同事件のドキュメンタリーを制作したが、当の奥西本人に直接取材することはおろか映像に捉えることができない。そこで製作されたのが、奥西役を仲代らが演じる再現ドラマとこれまで取材した貴重な記録を組み合わせたドキュ+ドラマ。昨年6月に東海地区でテレビ放送されたものを再編集して映画版に仕立てあげた。
 メディアの役割として本作の製作は、事件を再検証し、歪んだ日本の司法制度を追及する意義があったと思う。加えて今回ドラマを組み込んだことで、奥西を取り巻く家族の人生がより鮮明となり胸に迫るものがある。奥西は現在、八王子医療刑務所の病床にいる。実母と息子はすでにこの世を去ったという。このまま事件を終わりにしていいのだろうか? (中山治美)
 【データ】
監督・脚本:斉藤潤一
プロデューサー:阿武野勝彦
出演:仲代達矢、樹木希林、天野鎮雄、山本太郎
2月16日(土)から東京・ユーロスペース、全国順次公開
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木下昌明の映画批評 
●齊藤潤一監督『約束―名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』
 独房50年・奥西死刑囚の人生―『名張毒ぶどう酒事件』の深層
 1961年に三重県名張市で起きた「名張毒ぶどう酒事件」。公民館で開かれた懇親会で出されたぶどう酒を飲んで女牲5人が死亡。当時35歳の奥西勝死刑囚(86歳)が妻と愛人との三角関係を清算するため、農薬を混入したとして逮捕・起訴され、一審は無罪、控訴審で逆転死刑、72年に最高裁で死刑が確定している。
 事件に関心が薄かった筆者は「ほかに犯人がいるのか」くらいの思いしかなかった。しかし、齊藤潤一監督の『約束――名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』を見て事件の奥深さに唖然とし、おのが無関心を恥じた。これは冤罪事件であり、司法が仕組んだ犯罪ではないのか。
 監督・脚本を手がけた東海テレビの齊藤、プロデューサーの阿武野勝彦は『平成ジレンマ』『青空どうぼう』などの傑作ドキュメンタリーを生み出している。いずれも地元局ならではの取材力が、いかんなく発揮されている。
 作品はドキュメンタリーとフィクションを合体させ、当時の資料映像に俳優の演じる“虚構”を重ねていく。俳優は60代からの奥西死刑囚を仲代達矢、事件当時を山本太郎、その母親に樹木希林。
 35歳で裁判に関わった鈴木泉弁護士も登場しているが、彼の頭髪が次第に薄くなっていく過程が時の流れを感じさせる。彼は言う――「何十年も前に無罪の判決を受けた人を、何の証拠もないのにああだこうだと理屈をこねて死刑宣告する裁判官一人一人の貴任を問いたい」と。
 恐るべきは司法と共謀する村人の存在だ。奥西死刑囚の自白を機に、3人の関係者が彼を犯人に仕立てるべく口裏を合わせ、時間に関する証言を変える。後に取材でその矛盾を突かれると「分からん」とか「覚えてない」と答えるが、表情から嘘をついているのがわかる。なかには検事の誘導で「時計が狂っていた」と証言する者まで現れる。
 当時と今と――日本社会の何が変わったのか。(『サンデー毎日』 2013年2月10日号)
 *2月16日より東京・渋谷のユーロスペースにてロードショー
 2013-02-12 16:31:41
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【約束~名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯~】東海テレビ6月30日(土)14:00~ 2012-06-30 | 死刑/重刑/生命犯 問題 

           

【約束~名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯~】東海テレビ6月30日(土)14:00~
 昭和36年「名張毒ぶどう酒事件」が起こった。逮捕された奥西は、今も再審を求め続けている。番組では、塀の中の奥西の姿や彼を取り巻く人々を豪華俳優陣によりドラマ化。
 「死刑の執行は午前中。当日の朝に知らされるため、午前中は恐怖と苦悩の時間で大変きびしいのです。昼食の配給があるとホッとし、それ以外の時間帯は地獄の中で生きているようなものです」(奥西獄中記より)。独房から無実を訴え続けている死刑囚がいる。奥西勝、86歳。昭和36年、三重県名張市の小さな村の懇親会で、ぶどう酒を飲んだ女性5人が死亡した。逮捕された奥西は「警察に自白を強制された」と訴え、無実を主張。1審は無罪だったものの、2審は逆転死刑判決。そして昭和47年、最高裁で死刑が確定した。奥西は、死刑執行の恐怖と闘いながら、今も再審を求め続けている。奥西の無実を信じているのが、母、タツノ。事件で村を追われ、見知らぬ町で1人暮らしを始めた。内職をしては、電車賃を稼ぎ、月に1度、名古屋拘置所にいる息子に会いに行く。そしてタツノは奥西に969通の手紙を送った。再審を待ち続ける母。奥西はタツノと約束をする。『無実を晴らして、必ず帰る』。しかし、その約束を果たすこと無く、母は昭和63年、84歳で死亡した。番組では、タツノが奥西に送った969通の「手紙」、それに加え、特別面会人・川村富左吉が奥西との交流を記録した「面会ノート」をもとに、塀の中の奥西のと彼を支援する人たちの姿を豪華キャスト陣によりドラマ化。さらに東海テレビが取材を続けた当時の貴重な映像を交えながら、今もなお孤独な闘いを続ける奥西の姿を描く。  写真左から)川村富左吉(天野鎮雄)、奥西勝(仲代達矢)
 東海テレビ新着情報(更新日:2012.06.27 14.00)

名張毒ぶどう酒事件/「司法官僚」裁判官の内面までゆがめ、その存在理由をあやうくしているシステム 2012-07-01 | 死刑/重刑/生命犯 問題 
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名張毒ぶどう酒事件の人々
名張毒ぶどう酒事件 第7次再審請求差し戻し審 名古屋高裁刑事二部 決定要旨 


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