経団連、今年は政策評価を見送り 献金は民主シフトへ?
産経ニュース2009.10.13 21:00
日本経団連の御手洗冨士夫会長は13日の定例会見で、毎年秋に行っている民主、自民両党への政策評価を今年は見送ると発表した。同日の正副会長会議で決めた。A~Eの5段階で行う評価は会員企業、団体が行う政治献金の目安となり、「自民党中心の献金」の根拠となってきた。評価見送りは、民主党への献金増につながりそうだ。
経団連はこれまで11月に政策評価の結果を発表する考えを示してきた。御手洗会長はこの日の会見で「臨時国会の招集が月末にずれ込むなどした結果、予算編成や来年の通常国会を待つ必要があるとの判断になった。完全に世の中がかわり、新しい時代の評価をきちんとみる方が生産的」と、見送りの理由を述べた。
平成16年から始まった政策評価は民主党と比べ自民党が圧倒的に高かった。政権が交代しても両党の政策には大きな変化がないため、従来通りに評価すれば「自民党を高く評価せざるを得ない」(財界関係者)とみられていた。
このため、「評価を回避したのは、『経団連外し』の指摘もある鳩山政権下にあっては現実的な選択」(同)との声も聞かれる。これで各企業、団体にとっては「献金の判断材料がなくなった」。これまでは民主党への献金は、政策評価の低さを反映して自民党の30分の1程度に止まってきたが、今年末に行う各企業の献金は民主党に大きくシフトしそうだ。
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経団連と鳩山政権、対立から対話へ“手探り”
産経ニュース2009.10.11 21:34
これまで「疎遠」といわれた鳩山政権と日本経団連が、手探りの接触を始めつつある。経団連の御手洗冨士夫会長は10日、北京で開かれた「日中韓ビジネス・サミット」で鳩山由紀夫首相と同席。出発に先立つ6日にも首相と会談、7日に直嶋正行経済産業相と会うなど精力的だ。野党時代の民主党と鋭く対立した経団連だが、果たして鳩山政権の政策に影響を与える関係に発展するのか。
■一本の電話
経団連事務局に待望の電話がかかってきたのは今月2日。相手は、いくらアプローチをしてもつれない首相サイドだった。
日中韓の財界トップが一堂に会した北京での「ビジネス・サミット」には最後の30分間、3カ国首脳も合流した。日本の政財界トップにとって重要な場だ。
「首相就任後の政財界トップの初顔合わせが北京というのでは…」
首相側の接触理由はこれだったが、経団連にとっては好都合だった。
「ビジネスサミットの状況説明」の名目で6日、官邸で開かれた首相と御手洗会長の会談は1時間を超えた。終了後、御手洗会長は「熱心にいろいろと聞いていただけた」と安(あん)堵(ど)の表情をみせた。2人は10日、北京の人民大会堂を並んで歩きながら「良い会議ができた」と喜びあった。
■苦難の道
自民党政権時代、就任直後の首相がまず会談する相手は、経団連会長と決まっていた。だが、鳩山首相が政権発足翌日の9月17日、会談相手に選んだのは日本労働組合総連合(連合)の高木剛会長(当時)。経団連への冷ややかな姿勢を象徴する出来事だった。
あらゆるルートを使い、経団連は鳩山政権との関係構築を探したものの、成果はもどかしかった。ある経団連幹部は言う。
「政権が交代したのだから白地に絵を描かざるを得ない」。残された道は表舞台で会談を重ね、真正面から相手の懐に飛び込むことだった。
そうした“正攻法”に戸惑いがちの経団連に、直嶋経産相は7日の会談で意外な一言を語った。
「ぜひ温暖化対策の議論に参加してほしい」
鳩山政権の「対経団連」のスタンスは微妙に修正され、前原誠司国土交通相、原口一博総務相、長妻昭厚生労働相との会談予定が相次いで組まれ始めた。
温室効果ガスを2020年までに1990年比で25%削減するという首相の国際公約の実現にとって、経団連の理解と協力は欠かせない。製造現場への労働者派遣を原則禁止する労働者派遣法の改正も同様だ。
経団連幹部の表情に余裕もみられ始めた一方、「経団連外し」とも受け取れる動きには神経質にならざるを得ない。行政刷新会議メンバーに経済同友会で副代表幹事を務めたキッコーマンの茂木友三郎会長を選んだことは、その一例だ。
■本音
民主党と経団連の相互不信の根は深い。
昨年2月の民主党と経団連の意見交換会。平成20年度予算の早期成立を求めるなど自民、公明寄りの姿勢を鮮明にした経団連幹部に対し、民主党側の怒りが爆発した。温厚な党幹部の一人も、「政治状況が変わりつつあるのに驚いた石頭ぶりだ」と、はき捨てるように言った。
「大企業悪玉論には立たない」。野田佳彦財務副大臣はテレビなどで繰り返すが、表舞台の会談を続けても、言いっぱなしのままでは、経済界の声を吸い上げたというポーズにされかねない。
「大きな組織とは戦略的に付き合わなければならない」。別の民主党幹部は明かす。党内には「経団連が自民党への献金をどこまで減らすかをみる」といった声も少なくない。
経団連との距離感を測ろうとする民主党。民主党の“真意”をつかみたい経団連。探りあいの日々が続きそうだ。(飯塚隆志、佐々木美恵)
産経ニュース2009.10.13 21:00
日本経団連の御手洗冨士夫会長は13日の定例会見で、毎年秋に行っている民主、自民両党への政策評価を今年は見送ると発表した。同日の正副会長会議で決めた。A~Eの5段階で行う評価は会員企業、団体が行う政治献金の目安となり、「自民党中心の献金」の根拠となってきた。評価見送りは、民主党への献金増につながりそうだ。
経団連はこれまで11月に政策評価の結果を発表する考えを示してきた。御手洗会長はこの日の会見で「臨時国会の招集が月末にずれ込むなどした結果、予算編成や来年の通常国会を待つ必要があるとの判断になった。完全に世の中がかわり、新しい時代の評価をきちんとみる方が生産的」と、見送りの理由を述べた。
平成16年から始まった政策評価は民主党と比べ自民党が圧倒的に高かった。政権が交代しても両党の政策には大きな変化がないため、従来通りに評価すれば「自民党を高く評価せざるを得ない」(財界関係者)とみられていた。
このため、「評価を回避したのは、『経団連外し』の指摘もある鳩山政権下にあっては現実的な選択」(同)との声も聞かれる。これで各企業、団体にとっては「献金の判断材料がなくなった」。これまでは民主党への献金は、政策評価の低さを反映して自民党の30分の1程度に止まってきたが、今年末に行う各企業の献金は民主党に大きくシフトしそうだ。
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経団連と鳩山政権、対立から対話へ“手探り”
産経ニュース2009.10.11 21:34
これまで「疎遠」といわれた鳩山政権と日本経団連が、手探りの接触を始めつつある。経団連の御手洗冨士夫会長は10日、北京で開かれた「日中韓ビジネス・サミット」で鳩山由紀夫首相と同席。出発に先立つ6日にも首相と会談、7日に直嶋正行経済産業相と会うなど精力的だ。野党時代の民主党と鋭く対立した経団連だが、果たして鳩山政権の政策に影響を与える関係に発展するのか。
■一本の電話
経団連事務局に待望の電話がかかってきたのは今月2日。相手は、いくらアプローチをしてもつれない首相サイドだった。
日中韓の財界トップが一堂に会した北京での「ビジネス・サミット」には最後の30分間、3カ国首脳も合流した。日本の政財界トップにとって重要な場だ。
「首相就任後の政財界トップの初顔合わせが北京というのでは…」
首相側の接触理由はこれだったが、経団連にとっては好都合だった。
「ビジネスサミットの状況説明」の名目で6日、官邸で開かれた首相と御手洗会長の会談は1時間を超えた。終了後、御手洗会長は「熱心にいろいろと聞いていただけた」と安(あん)堵(ど)の表情をみせた。2人は10日、北京の人民大会堂を並んで歩きながら「良い会議ができた」と喜びあった。
■苦難の道
自民党政権時代、就任直後の首相がまず会談する相手は、経団連会長と決まっていた。だが、鳩山首相が政権発足翌日の9月17日、会談相手に選んだのは日本労働組合総連合(連合)の高木剛会長(当時)。経団連への冷ややかな姿勢を象徴する出来事だった。
あらゆるルートを使い、経団連は鳩山政権との関係構築を探したものの、成果はもどかしかった。ある経団連幹部は言う。
「政権が交代したのだから白地に絵を描かざるを得ない」。残された道は表舞台で会談を重ね、真正面から相手の懐に飛び込むことだった。
そうした“正攻法”に戸惑いがちの経団連に、直嶋経産相は7日の会談で意外な一言を語った。
「ぜひ温暖化対策の議論に参加してほしい」
鳩山政権の「対経団連」のスタンスは微妙に修正され、前原誠司国土交通相、原口一博総務相、長妻昭厚生労働相との会談予定が相次いで組まれ始めた。
温室効果ガスを2020年までに1990年比で25%削減するという首相の国際公約の実現にとって、経団連の理解と協力は欠かせない。製造現場への労働者派遣を原則禁止する労働者派遣法の改正も同様だ。
経団連幹部の表情に余裕もみられ始めた一方、「経団連外し」とも受け取れる動きには神経質にならざるを得ない。行政刷新会議メンバーに経済同友会で副代表幹事を務めたキッコーマンの茂木友三郎会長を選んだことは、その一例だ。
■本音
民主党と経団連の相互不信の根は深い。
昨年2月の民主党と経団連の意見交換会。平成20年度予算の早期成立を求めるなど自民、公明寄りの姿勢を鮮明にした経団連幹部に対し、民主党側の怒りが爆発した。温厚な党幹部の一人も、「政治状況が変わりつつあるのに驚いた石頭ぶりだ」と、はき捨てるように言った。
「大企業悪玉論には立たない」。野田佳彦財務副大臣はテレビなどで繰り返すが、表舞台の会談を続けても、言いっぱなしのままでは、経済界の声を吸い上げたというポーズにされかねない。
「大きな組織とは戦略的に付き合わなければならない」。別の民主党幹部は明かす。党内には「経団連が自民党への献金をどこまで減らすかをみる」といった声も少なくない。
経団連との距離感を測ろうとする民主党。民主党の“真意”をつかみたい経団連。探りあいの日々が続きそうだ。(飯塚隆志、佐々木美恵)