【野田小4虐待死、父親初公判詳報】(2)検察側「いかにひどくむごいか、おのずと明らかになる」 2020.2.21

2020-02-22 | 身体・生命犯 社会

【野田小4虐待死、父親初公判詳報】(2)検察側「いかにひどくむごいか、おのずと明らかになる」
2020.2.21 14:13 千葉・野田女児虐待死 

 《千葉県野田市立小4年の栗原心愛(みあ)さん=当時(10)=が自宅浴室で死亡した虐待事件。傷害致死罪や心愛さんの母(33)への暴行などの罪に問われた父親の勇一郎被告(42)への初公判が続く》
 《罪状認否では6件の起訴内容について1件ずつ確認。勇一郎被告は「罪については争いません」としながらも、行為や経緯については一つ一つ、細かく否認を主張した。後半は続いて検察側の冒頭陳述に移る》
 《初めに、検察官は事件に至るまでの流れを説明していく。勇一郎被告は、妻と別居後に一度離婚しており、心愛さんとは約8年間一緒に暮らしていなかったという》
 検察官「再婚して間もなく次女が生まれると、被告人は次女に愛情を注ぐ一方、自分と離れて生活し、成長していた心愛さんをうとましく思うようになりました。自分の思い通りにならないと気が済まず、頑固で自己主張が強い被告人が、育児のストレスのはけ口として、心愛さんに繰り返し虐待をして、心愛さんを死なせたという事件です」
 《検察官は、勇一郎被告の家族や親族について説明する。勇一郎被告は妻と心愛さん、次女の4人家族。検察官によると、妻は傷害幇助罪で、既に懲役2年6月、保護観察付き執行猶予5年の罪が確定しており、今後の法廷で証人として出廷予定という。妻の実家は沖縄県にあるが、事件当時は疎遠状態。勇一郎被告の実家は野田市内にあり、心愛さんが一時生活することもあった》
 検察官「平成20年、被告人は妻と結婚し、心愛さんが生まれます。しかし間もなく別居するようになり、23年に離婚が成立します。28年には妻の側から連絡を取ったことがきっかけでまた同居するようになりました」
 検察官「29年に再婚し、次女が生まれました。妻を沖縄に残し、心愛さんと次女を連れて野田市に転居しました。虐待はこの頃から始まりました」
 《自席でじっと検察官の冒頭陳述を聞く勇一郎被告。背筋をピンと伸ばし、身じろぎもしなかったが、家族のこれまでの歴史について話が及ぶと何度もハンカチで涙をぬぐい、はなをすすり上げた》
 検察官「育児のストレスのはけ口として虐待を繰り返し、妻を呼び寄せて被告人の実家からアパートで4人暮らしを始めた後も続きました。29年11月6日、心愛さんの通う小学校で、いじめに関するアンケートがありました。心愛さんはそこに『お父さんにぼう力を受けています。先生、どうにかできませんか』と書き、虐待が発覚します」
 《話は事件の内容に移る。虐待が発覚した後、心愛さんは柏児童相談所に一時保護された。話を聞く勇一郎被告は視線を上げ、天井のあたりを見つめている。涙をこらえるようにも見える》
 検察官「一時保護は解除されましたが、条件は心愛さんを被告人の実家で生活させ、当面、被告人と会わせないようにすることでした。しかし被告人は、心愛さんが嘘をついて一時保護されたことにしようとしました。自分が悪者になるのが嫌だったのです。被告人は妻に指示をして、『お父さんにたたかれたというのはうそです』という虚偽の文書を作成させました」
 検察官「児童相談所からは同居の許可が出ていないにも関わらず、実家から心愛さんを連れ戻し、4人で生活するようになりました。虐待は一時止みましたが、遅くとも30年7月ごろには虐待は再開しました。30年7月10日ごろには、心愛さんに大便を持たせた様子を写真で撮影する事件が起きています」
 《話は、心愛さんが勇一郎被告により、平成30年1月の新学期から学校を休まされたことに話が及ぶ》
 検察官「傷害を負わせ、発覚を恐れて休ませたのに、心愛さんに責任を転嫁した。虐待を続け、アパートに閉じ込めた」
 《勇一郎被告は、まっすぐ前を見つめたまま検察官の話に耳を傾けている》
 検察官「日常的な虐待があり、食事を与えなかったりした。エビ反りにするプロレス技をかけるここともあった。心愛さんに極度のストレスがかかり、溺水によって命を落とした」
 《検察官はここで、事件についての勇一郎被告の主張や1つ1つの事件についての争点を整理していく》
 《心愛さんは29年11月、学校のアンケートで虐待を訴え、児童相談所が一時保護。勇一郎被告が暴行を加えていたとされる》
 検察官「被告人と弁護人は(この事件について)唯一、無罪を主張している。心愛ちゃんがアンケートに書いた内容はすべてうそであると。アンケートが嘘かどうかが焦点です」
 《続いて29年7月、心愛さんに大便を持たせ、撮影を強要した事件》
 検察官「被告人は心愛ちゃんが自ら大便を手に取り、『撮りたければ撮れよ』と言ったので撮影したと言っている。自ら持ったという主張はあり得ない」
 《続いて妻への暴行事件。勇一郎被告は罪状認否で平手打ちをしたことなどは認めたが、足を蹴るなどの暴行は否定した》
 検察官「被告人は妻による心愛ちゃんへの暴行を止めるためにやったことと主張しているが、妻が被告人の暴行を止めようとしたものだ」
 《勇一郎被告は白いハンカチを取り出し、涙をぬぐう》
 《傷害致死事件について、勇一郎被告は罪状認否で、「罪は争わない」としたものの、衰弱させてもかまわないと考えて食事を与えなかったことや冷水を浴びせ続けたことは否認している。検察官は、弁護人が「暴れる心愛ちゃんを落ち着かせようとして死なせてしまったと主張している」と説明する》
 検察官「心愛ちゃんがどのような暴行を受けて衰弱したかが争点だ。苛烈な虐待で心愛ちゃんを死亡させた。検察官は継続的な虐待があったとみている。今後、いかにひどくむごいものかは、おのずと明らかになっていく」
 《検察官の冒頭陳述が終わり、弁護側の主張に移る。罪状認否では「罪は争わない」としている勇一郎被告と「同意見」としてきた弁護人だが、どんな主張を展開するのか》


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