【野田小4虐待死、父親初公判詳報】(3)「しつけ、教育のためだった」弁護人が主張
2020.2.21 15:45社会裁判 千葉・野田女児虐待死
(2)検察側「いかにひどくむごいか、おのずと明らかになる」…に戻る
《千葉県野田市立小4年の栗原心愛(みあ)さん=当時(10)=を虐待して死なせたとして、傷害致死などの罪に問われた父親の勇一郎被告(42)の初公判は、弁護側の冒頭陳述に移った》
弁護人「被告人は逮捕以来、責任の重大性を痛感し、反省を重ねています」
《ここまで勇一郎被告は「罪は争わない」などとしつつ、一部の暴行については反論してきた。弁護人は平成30年から31年にかけての年末年始、心愛さんに1カ月のけがをさせた傷害事件に言及する》
弁護人「(心愛さんが)宿題を途中で投げ出し、いつもより暴れたため、静止できなかった。床にたたきつけたり、暴行したりしてはいない」
《さらに妻への暴行。被告自身は「罪は争わない」としているが、弁護人は妻の非を主張した》
弁護人「(妻は)精神的に不安定で、当たり散らすことがあった。こたつやちゃぶ台、いすを蹴り飛ばしたりしたこともある」
《心愛さんを浴槽室などに立たせた強要事件については「生活態度について、反省を促すためだった」とした弁護人。続けて傷害致死については「長女を死なせたことは、認める」と切り出し、こう続けた》
弁護人「そのころインフルエンザで出勤停止になり、31年1月22日夜に(心愛さんが)食事をとったかどうか認識はない。妻から聞かれた記憶もない。長女に屈伸や駆け足をさせたが、長時間はさせていません」
《起訴内容によると、心愛さんの死亡直前、勇一郎被告は心愛さんを浴室に連れ込み、シャワーで冷水を浴びせている》
弁護人「長女が寝転んで暴れたので抑えようとしただけです。寝室でお漏らしして、掃除させようとしたが、暴れてお漏らしした上に寝転んだので、浴室へ連れていった。抵抗するので、落ち着かせるためシャワーを浴びせたが、10分にも満たず、2~3秒だった。目や鼻、口など、顔面にはかけていません。落ち着いたと思い、シャワーをやめて戻したら、長女が壁を背に崩れ落ちた。呼びかけたが反応がないので、シャワーをかけたりした。それでも動かないので、110番通報した」
《弁護側が語る心愛さんの最期の様子からは、冷水をかけられ、床に崩れ落ちた心愛さんの無念に思いをいたす様子はうかがえない。弁護人は、刑を決めるにあたっての「ポイント」を説明し始める》
弁護人「勇一郎さんは長女の出産から1年は会っていない。妻は長女を出産後、育児ノイローゼになり、実家に帰った。そのため、全く妻や子供と会えなくなった。その後、妻から連絡があり、8年ぶりに妻と長女と再会しました。再び交際が始まり、再婚。妻は双極性傷害で、病院にも付き合うなどしました」
弁護人「8年間家族と会えませんでしたが、思い描く家族像がありました。日中は送り迎えをするなど面倒を見ていました。1人で長女を見ることも増え、注意すべきことは注意しなければならないし、厳しく注意することもありましたが、虐待行為はしていません。家族を愛し、積極的に家事や育児を行っていました」
《弁護人が事件までの家族の様子を語る。罪状認否の冒頭で「しつけを超えていたと反省してきました」と述べた勇一郎被告。思い描く家族像とは、どんなものだったのか。心愛さんへの行為は虐待ではなく、注意だったというのだろうか。弁護人は、心愛さんを一時保護した柏児童相談所についても、勇一郎被告の思いを文字通り代弁する》
弁護人「身に覚えのない児相による一時保護で、児相に対し、釈然としない思いがあり、不信感がありました。家族を守らなければならない、ただ幸せな家庭を築きたいという思いでした」
弁護人「最悪な結果となり、言葉にならないほど後悔しています。家族を愛し、幸せになるために、どうすればいいか常に考えていました。きっちり決めないと気が済まない性格で、決めたことは最後までやり通さないと気が済まない。あくまで長女の教育のためでした。日常的に虐待があったわけではありませんでした」
《しつけだった、教育のためだった、と繰り返す弁護人。裁判員にはどう聞こえただろうか。ここで午前の審理は終わり、休廷に入った》=(4)に続く
◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です
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