分かり合えなくても、「そうなんだ」と認め合えたら
ジェンダーレスのモデル・井手上漠
中日新聞 2021年5月21日 金曜日
★冒頭画像;井手上 漠
性を巡る境界線が薄れる流れはエンターテインメント界で特に顕著だが、中でも井手上漠(いでがみばく)は異彩を放つ。戸籍は男性に当てはめられるが女性的な外見を磨き、モデルを中心に活躍して「自分らしく」の思いを発信している。4月、フォトエッセー「normal?」(講談社)を刊行した。
「普通って何なのか、普通であることにとらわれないといけないのか、考えていただきたかった」とタイトルの意味を説明する。はつらつとしながらあでやかさがある姿は、「はじめに」につづった「心は男性でもあり、女性でもある」といった言葉の通りだと映る。
本著では、周囲との違いから苦しんだ時期を経て、母が味方になってくれて自分らしく生きる選択をし、二〇一八年の「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」出場で脚光を浴びるに至った経緯を記した。生まれ育った島根・隠岐諸島の海士町で撮影したポートレートと合わせて、どのような存在かを伝えている。
性的少数者を表す「LGBTQ」の中で性の在り方が定まっていない「Q(クエスチョニング)」に近いと書いた。内面を丁寧に説明しているが「同じ環境に置かれないと同じ感情にはならないので、当事者じゃない人には伝わり切らない。分かり合えなくても、せめて『そうなんだ』と認め合うことができればいいのかな、と思います」。
芸能界に憧れはなかった。ただ人の勧めで参加したジュノンのコンテストを機に知名度を上げるにつれ、同じように生きにくさを抱える人に声が届いていると知り、発信することに価値を見いだした。本著では戸籍と外見の性が異なることで公共のトイレの利用に苦労することなどを記したが、発信力ゆえ実情が広く伝わると感じさせる。
今後は演技にも挑戦したいと語る。「私だからできる役も、私からは想像がつかない役もやってみたい。自分らしく生きなければならないと思ってきたので『誰かになる』のは新しい感覚で、不安はありますが楽しみです」と笑顔を見せる。
「輝いていたい」と話す。17年の「少年の主張全国大会」で文部科学大臣賞を受賞したが、「カラフル」と題したスピーチは人それぞれが色とりどりに輝くことに希望があると伝えた。「自分を磨いていき、大きな光を放つ人になりたいです」
◎上記事は[中日新聞]からの書き写し(=来栖)
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“可愛すぎるジュノンボーイ”井手上漠がSNSで発信する理由「私の強みは“性別がない”ことです」
2021/5/28(金) 9:06配信
化粧品のCMやテレビで活躍するモデル、井手上漠(18)が4月20日にフォトエッセー「normal?」(講談社)を発売し、話題になっている。体は男性、心は男性でも女性でもあり、またそのどちらでもない井手上は、10代、20代女子のファッションリーダーとしてSNSで絶大な人気を誇り、本は発売前に重版が決定するほど。「LGBTQ問題をあまり重くとらえないで欲しい」と語る本人を直撃した。
■高校卒業後、隠岐から上京
この春、高校卒業と同時に島根県・隠岐から上京。本格的に芸能活動を始動したばかりだ。 「東京で驚いたのはドン・キホーテのトイレです。“オールジェンダー”というトイレがあって。性別に違和感がある私は、普段は多目的トイレを利用するのですが、トイレから出たときに“体が不自由でもないのに”という目で見られることもあり、かといって説明するわけにもいかず……マークひとつでこんなに使いやすくなるんだと感動しました。私も高校では制服問題やトイレ問題に取り組みましたが、ここ4、5年で制服が選択制の学校も増え、時代の変化を感じます」
新著は自身の性別に対する違和感について多くつづっている。
「私の強みは“性別がない”ことです。生まれ持った体は男性ですが、女性になりたいわけではなく、女性らしさ、男性らしさの両方を表現できる自分の体が気に入っています。LGBTQ問題がSDGsにも加わったことはうれしいことですが、学校の授業でも取り上げられると重たい話題になりかねません。私を見て、性別の問題を考える時“眉間にしわを寄せて考えなくていいんだな”って思ってもらえたらと」
高校1年の時に「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」でセルフプロデュース賞を受賞し“可愛すぎるジュノンボーイ”と話題に。
美に目覚めたきっかけは?
「中学2年の時に心配した母から真剣に自分のことを聞かれ初めて打ち明けた時、ありのままでいいと言われ、大好きなメークとファッションを極めることにしたんです。自分がありのまま突き抜けると好循環が生まれて、周りが私を受け入れてくれるようになり、メークやファッションをほめてくれるようになりました」
チャームポイントは?
「母譲りの鼻と唇です。唇の形と色はメークさんにもホメられます。お休みの日は古着とコスメめぐりをしていて、島にいたときは、ほぼネットで服を買っていたので、携帯で服探しが習慣化しています」
これからやりたいことは?
「生活レベルでは自炊(笑い)。地元にいるときは家事をしていたのですが、コンビニと出前アプリの“便利さの魔力”に負けてしまって。一昨日、おばあちゃんから『先のことを考えるから今日を重く考えてしまう。今日どう生きるかだけ考えなさい』っていう言葉を教えてもらって、今日を楽しみながらも日々を大切に歩むことに注力しようと思いました」
最後にメッセージを。
「性別に違和感のある人の助けになり、さまざまな考えの方々にも広く届けたいメッセージをこの本に詰め込みました。私の本から何かしら考えるきっかけをもっていただけたら幸いです。性的な問題は突き詰めると当事者しかわからないので、そういう問題を抱えている人たちと認め合ってもらえるように微力ながら発信していこうと思っています」 (聞き手=岩渕景子/日刊ゲンダイ)
最終更新:日刊ゲンダイDIGITAL
◎上記事は[Yahoo!JAPAN ニュース]からの転載・引用です
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〈来栖の独白 2021.5.30 Sun〉
この問題(テーマ)は、私などにはなかなか理解の及ばぬところなので、この主の記事に注目し、弊blogのカテゴリー「文化・思索」で取り上げたりして、今後も考えていきたいと思っている。
>“オールジェンダー”というトイレがあって。
>マークひとつでこんなに使いやすくなるんだと感動しました。
人の「悲しみ」「生きにくさ」に理解する人たちがいる。
* 【あの人に迫る】 ゲイを告白した牧師 2021/5/14
* あなたは女と寝るように男と寝てはならない。これは憎むべきことである。 レビ記18章22節