実名報道、迫られる判断 改正少年法成立で18、19歳厳罰化 2021/5/22

2021-05-22 | 少年 社会

実名報道、迫られる判断 改正少年法成立で18、19歳厳罰化   
 中日新聞 2021年5月22日 土曜日

 刑事処罰の対象とする18、19歳を拡大した改正少年法は、禁じられてきた実名など本人を特定する報道も起訴段階で可能とした。一方、18、19歳は子どもの健全育成を掲げる少年法の適用対象であることには変わらない。20歳以上と同様に実名を報じるか、立ち直りを考慮し匿名とするか、報道機関は判断を迫られることになった。

 「多くの加害少年を見てきたが、少年法に守られ、顔や名前が報道されないと知った上で犯行に及んでいる子が多いと感じる。実名報道の解禁は犯罪の抑止力になる」。暴行事件で長男を亡くした、少年犯罪被害当事者の会代表、武るり子さんはこう指摘する。 
 少年法六一条は、少年事件での氏名、年齢、職業、住所、顔などの報道を禁じる。発達段階の少年は更生する可能性が高く、実名報道はその妨げになるとの考えに基づくが、被害者や遺族らは強い不満を示してきた。今回の一部解禁は長年の要望の成果だと歓迎する。 
 ボールを投げられたのは、実名報道を原則とし、少年は例外と位置付けてきた報道機関だ。起訴されても、裁判所が少年院送致など保護処分がふさわしいと判断し、家裁に再び審理を移送することもあり得る。
 そもそも六一条は「表現の自由」「報道の自由」との緊張関係をはらむ規定だ。専修大の山田健太郎教授(言論法)によると、大正時代制定の旧少年法にも同様の規定があり、罰則付きだったが、戦後には憲法が保障する自由との兼ね合いから、罰則なしに見直された。
 社会的注目を集める重大事件では、週刊誌はたびたび実名を報じてきた。1998年に堺市で起きた通り魔事件で、加害少年側が月刊誌側を相手に損害賠償請求訴訟を起こしたが、大阪高裁は重大事件など社会的に正当な関心事では、実名報道も是認されることがあると判断した。
 日本新聞協会は58年に示した「少年法61条の扱いの方針」で、匿名順守をうたいつつも、逃走中で凶悪犯罪が予想されるといったケースでは「氏名、写真の掲載を認める除外例とするよう当局に要望する」とし、例外的に取り扱う可能性を示唆している。
 近年は、メディア以外の一般の人が実名や住所、家族構成など詳細な情報をインターネット上に書き込み、拡散することも珍しくない。実名報道禁止の規定は実質的な意味が珍しくなくなっているとの見方もある。
 そうした状況下で法律のお墨付きを得たからという理由だけで、実名報道に切り替えて良いのか。山田教授は「今回の改正は、少年を未熟な存在であるとしながら、一方で大人扱いする極めて分かりづらい内容だ。報道機関は、これまで以上に自らの責任でどのような判断をするかが問われている」と指摘した。

   QA 
18、19歳を厳罰化する改正少年法が21日、成立しました。来年4月に施行されます。
Q 法改正の理由は 
A 民法の成人年齢が来年4月に18歳に引き下げられるのに合わせ、少年法も改正するべきだとの考えからです。当初は少年法の適用年齢を成人年齢に一致させる方向でしたが、20歳未満に維持したままです。
Q 改正法はどんな内容。
A 18、19歳を、20歳以上とも17歳以下とも異なる「特定少年と位置づけ大人でもなく子どもでもないような中間的な扱いをするのが特徴です。
Q 具体的には。
A これまで通り、検察官が18、19歳をいったん家裁に送り、心理学の専門家らが生い立ちや事件を起こした背景事情を調べる仕組みは残します。一方、家裁から検察官へ原則として送致(逆送)する事件の種類を拡大します。現在は殺人や傷害致死などに限られますが、強盗や強制性交、現住建造物等放火などが追加されました。
Q 改正法への反対はなかったの。
A 少年事件の数は大幅に減少しています。「少年法は十分に機能しており、変える必要はない」との声が強くあり、適用年齢の引き下げ自体は見送られました。
Q 逆送されかどうかで何が違ってくるの。
A 逆走されなければ、通常は家裁で初年審判が開かれ、少年院送致や保護観察といった処分が決められます。逆走されると、検察官が刑事処分を判断することになり、起訴されれば、20歳以上と同様に公開の法廷で刑事裁判を受けることになります。実刑が確定すれば、刑務所で服役しなければいけません。
Q 少年院と刑務所は何が違うの。
A 少年院は「おおむね20歳未満」を収容し、刑罰を与えることよりも、少年の立ち直りに軸を置き、教育に力を入れていることが特徴です。一方で刑務所は、裁判で禁錮や懲役刑が確定した人を収容します。懲役刑の場合は、刑務作業をしなければなりません。

 ◎上記事は[中日新聞]からの書き写し(=来栖)
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〈来栖の独白〉
>少年法に守られ、顔や名前が報道されないと知った上で犯行に及んでいる
>ボールを投げられたのは、実名報道を原則とし、少年は例外と位置付けてきた報道機関だ
 実に難しい。


「改正少年法」少年院教育、漏れる若者 再犯懸念の声も 法務省は対策模索 2021/5/22
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「木曽川長良川連続リンチ殺人事件」実名報道・・・ 
* 木曽川・長良川リンチ殺人事件「少年法が求める配慮の必要性から、中日新聞は3被告を匿名で報道します」


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