名古屋刑務所暴行 提言 組織風土変革求める
法務省第三者委
2023年6月21日 中日新聞
名古屋刑務所(愛知県みよし市)の刑務官らが受刑者3人に暴行を繰り返していた事件で、法務省の第三者委員会は21日、処遇体制の充実や組織風土の変革などを柱とする再発防止策をまとめた。座長を務めた元大阪高裁長官の永井敏雄弁護士が同日午前、斎藤健法相に提言書を手渡した。
斎藤法相は「相当踏み込んだ改革となる提言を頂き、われわれも実行に移していきたい」と話した。第三者委は事件の背景や原因には共通する要因があるとし、全国の刑事施設で再発防止策を講じるよう求めた。法務省は近く提言内容を踏まえた行動計画の取りまとめに着手する。
提言書で、刑務官らは、受刑者が指示に従わなかったり、要求を繰り返したりしたことに腹を立てて暴行に及んだと分析。「人権意識の希薄さ」や「自由に意見を言いにくい職場環境」などが背景にあるとした。
再発防止に当たり、改善更生や社会復帰支援の担い手である意識を全職員に周知・浸透させる必要性を強調。拘禁刑の導入を見据え、教育、心理、社会福祉の専門家が関与したチーム処遇の確立を求めた。
また、受刑者の特性に応じた処遇を実現するため、犯罪傾向に応じて分けられている集団編成を改めるとともに、施設機能の専門化や小規模化を中・長期的な課題に挙げた。
組織風土の変革では、管理職の意識改革や、職員同士が自由に意見を言い合える環境が不可欠だと指摘。刑務官の間で多用されている俗語・隠語の廃止や、規律秩序を過度に重視する観点から優遇されてきた武道関係者への配慮の撤廃を求めた。現状ではルールがない受刑者の呼称についても検討を促した。
第三者委は、日弁連の元副会長や元検察官など法曹関係者のほか、精神科医や社会福祉の専門家など9人で構成。名古屋刑務所の視察や職員へのヒアリングなど、昨年末以降、計11回の会合を開き、問題の背景や再発防止策を検討してきた。
同刑務所では2021年11月から昨年8月にかけて、受刑者に対し、アルコールスプレーを顔に吹き掛けたり、尻をサンダルでたたいたりするといった暴行が99件、中指を立てて挑発するなどの不適切な処遇が320件あった。同刑務所は今年4月、関与が認められた22人のうち、20~30代の男性刑務官13人を特別公務員暴行陵虐などの疑いで書類送検。法務省は所長ら幹部を含む33人を停職6カ月の懲戒処分などにした。
2023年6月21日 中日新聞
名古屋刑務所(愛知県みよし市)の刑務官らが受刑者3人に暴行を繰り返していた事件で、法務省の第三者委員会は21日、処遇体制の充実や組織風土の変革などを柱とする再発防止策をまとめた。座長を務めた元大阪高裁長官の永井敏雄弁護士が同日午前、斎藤健法相に提言書を手渡した。
斎藤法相は「相当踏み込んだ改革となる提言を頂き、われわれも実行に移していきたい」と話した。第三者委は事件の背景や原因には共通する要因があるとし、全国の刑事施設で再発防止策を講じるよう求めた。法務省は近く提言内容を踏まえた行動計画の取りまとめに着手する。
提言書で、刑務官らは、受刑者が指示に従わなかったり、要求を繰り返したりしたことに腹を立てて暴行に及んだと分析。「人権意識の希薄さ」や「自由に意見を言いにくい職場環境」などが背景にあるとした。
再発防止に当たり、改善更生や社会復帰支援の担い手である意識を全職員に周知・浸透させる必要性を強調。拘禁刑の導入を見据え、教育、心理、社会福祉の専門家が関与したチーム処遇の確立を求めた。
また、受刑者の特性に応じた処遇を実現するため、犯罪傾向に応じて分けられている集団編成を改めるとともに、施設機能の専門化や小規模化を中・長期的な課題に挙げた。
組織風土の変革では、管理職の意識改革や、職員同士が自由に意見を言い合える環境が不可欠だと指摘。刑務官の間で多用されている俗語・隠語の廃止や、規律秩序を過度に重視する観点から優遇されてきた武道関係者への配慮の撤廃を求めた。現状ではルールがない受刑者の呼称についても検討を促した。
第三者委は、日弁連の元副会長や元検察官など法曹関係者のほか、精神科医や社会福祉の専門家など9人で構成。名古屋刑務所の視察や職員へのヒアリングなど、昨年末以降、計11回の会合を開き、問題の背景や再発防止策を検討してきた。
同刑務所では2021年11月から昨年8月にかけて、受刑者に対し、アルコールスプレーを顔に吹き掛けたり、尻をサンダルでたたいたりするといった暴行が99件、中指を立てて挑発するなどの不適切な処遇が320件あった。同刑務所は今年4月、関与が認められた22人のうち、20~30代の男性刑務官13人を特別公務員暴行陵虐などの疑いで書類送検。法務省は所長ら幹部を含む33人を停職6カ月の懲戒処分などにした。
◎上記事は[中日新聞]からの転載・引用です