刑場写真、閲覧不許可は違法=死刑囚勝訴、国に賠償命令-福岡地裁
2016年03月11日 17時49分 提供:時事通信
死刑が執行される刑場の写真が載った冊子の閲覧を許可しなかったのは違法だとして、福岡拘置所に収監中の尾田信夫死刑囚(69)らが国を相手に660万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が11日、福岡地裁であった。平田直人裁判長は「裁量権の逸脱があった」として国に計4万4000円の支払いを命じた。
平田裁判長は、刑場の写真について「具体的な配置や形状の記載はなく、閲覧により死刑執行を妨害する具体的な可能性は認められない」と指摘。閲覧不許可としたことは「裁量権を逸脱し、(尾田死刑囚の)書類授受の利益を侵害する」と述べた。
判決によると、尾田死刑囚の弁護人は2010年10月、再審請求の資料として、東京拘置所の刑場の写真1枚が掲載された冊子を同死刑囚に郵送。しかし、福岡拘置所側が写真を削除しないと閲覧を認めないとしたため、閲覧できなかった。 【時事通信社】
◎上記事は[アメーバニュース]からの転載・引用です
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◇ 福岡地裁:死刑囚を尋問へ 冊子閲読巡る国賠訴訟で 再審請求中の尾田信夫死刑囚(マルヨ無線事件) 2015-04-15
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◇ 「死刑囚にも情報開示を」尾田信夫死刑囚 刑場写真閲読不許可で国を提訴 (西日本新聞2012/4/3)
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◇ [確定死刑囚の処遇の実際と問題点]菊田幸一 (『年報 死刑廃止2010』)
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【63年法務省矯正局長通達】
法務省矯正甲第96号
昭和38年3月15日
死刑確定者の接見及び信書の発受について
接見及び信書に関する監獄法第9章の規定は、在監者一般につき接見及び信書の発受の許されることを認めているが、これは在監者の接見及び信書の発受を無制限に許すことを認めた趣旨ではなく、条理上各種の在監者につきそれぞれその拘禁の目的に応じてその制限の行われるべきことを基本的な趣旨としているものと解すべきである。
ところで、死刑確定者には監獄法上被告人に関する特別の規定が存する場合、その準用があるものとされているものの接見又は信書の発受については、同法上被告人に関する特別の規定は存在せず、かつ、この点に関する限り、刑事訴訟法上、当事者たる地位を有する被告人とは全くその性格を異にするものというべきであるから、その制限は専らこれを監獄に拘置する目的に照らして行われるべきものと考えられる。
いうまでもなく、死刑確定者は死刑判決の確定力の効果として、その執行を確保するために拘置され、一般社会とは厳に隔離されるべきものであり、拘置所等における身柄の確保及び社会不安の防止等の見地からする交通の制約は、その当然に受忍すべき義務であるとしなければならない。更に拘置中、死刑確定者が罪を自覚し、精神の安静裡に死刑の執行を受けることとなるよう配慮さるべきことは刑政上当然の要請であるから、その処遇に当たり、心情の安定を害するおそれのある交通も、また、制約されなければならないところである。
よって、死刑確定者の接見及び信書の発受につきその許否を判断するに当たって、左記に該当する場合は、概ね許可を与えないことが相当と思料されるので、右趣旨に則り自今その取扱いに遺憾なきを期せられたい。
記
一、本人の身柄の確保を阻害し又は社会一般に不安の念を抱かせるおそれのある場合
二、本人の心情の安定を害するおそれのある場合
三、その他施設の管理運営上支障を生ずる場合
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