ネタニヤフ首相 続投へ危機感 イスラエル 2019/9/17 やり直し総選挙

2019-09-15 | 国際

ネタニヤフ首相 続投へ危機感 イスラエル 17日にやり直し総選挙
   核心  中日新聞 2019年9月15日 朝刊 

 四月の総選挙後の組閣に失敗し、イスラエル建国史上初のやり直しとなった総選挙(国会定数一二〇)が十七日に迫った。焦点は、通算在任期間が歴代最長となったネタニヤフ首相が続投できるか否か。首相本人の汚職事件など長期政権のゆがみが明るみに出る中、パレスチナ問題やイラン強硬策の中心にいるネタニヤフ氏の行方は、中東情勢にも影響を及ぼす。(カイロ支局・奥田哲平)

■忠誠心を誓わせて
 4月の総選挙では、ネタニアフ氏率いる与党リクードとガンツ元軍参謀総長率いる最大野党の中道政党連合「青と白」が、ともに35議席を獲得。ネタニアフ氏は右派・宗教政党との連立交渉が不調に終わり、国会を解散した。
 「選挙結果に関係なく、ネタニアフ氏は与党リクードの首相候補であり、他の候補者はいない」。ネタニアフ氏は8月、党候補者40人に対し、こんな文書に署名させた。いわば自身への忠誠を誓わせたのは、政治生命が絶たれる危機に直面しているからだ。
 ネタニアフ氏は収賄や背任などの汚職疑惑を抱え、検察は10月に本人の反論を聞いた上で正式起訴に持ち込む構え。これに対し、与党は新内閣で検察の訴追を免れる法改正をたくらむ。
 世論調査では、今回も右派陣営だけでは過半数に届かない見通し。再び連立交渉に持ち込まれそうだ。

■世俗派VS超正統派
 争点の一つは、「ユダヤ教国家」と国の在り方を巡る右派勢力内の路線対立だ。リーベルマン前国防相率いる極右政党「わが家イスラエル」は、ユダヤ教超正統派にも兵役義務を求め、宗教政党の支持が不可欠なネタニアフ氏と決裂した。
 超正統派とは、教義研究に日常の全てをささげる人たち。信仰の妨げになるため、多くが就労や納税をせず、生活は補助金で賄われる。ユダヤ教の伝統と戒律を厳格に守るため、国民皆兵制のイスラエルでも兵役を免除。これら優遇措置に世俗派の国民の不公平感も高まっている。
 イスラエルは国民が右傾化しており、伝統的に右派と左派が対立したパレスチナ問題は争点になっていない。政治評論家ハビブ・ゴール氏は「リーベルマン氏は世俗派と超正統派という新たな対立軸の提示に成功した」と指摘。現有5議席から倍増する勢いで、連立交渉の行方を占う存在だ。

■広がらぬ有志連合
 仮に十年ぶりの政権交代となれば、トランプ政権の中東政策が揺らぐのは必至だ。サウジアラビアなどのアラブ諸国を取り込んでパレスチナ和平交渉をイスラエルに有利に導き、イラン弱体化を進める戦略は、盟友ネタニアフ氏の入知恵と言っても過言ではない。
 だが、イラン包囲網強化を狙ったホルムズ海峡での「有志連合構想」は行き詰まり、賛同国は増えていない。最強硬派だったボルトン米大統領補佐官の更迭でトランプ大統領は対話路線に傾いており、「対話より圧力」を強調するネタニアフ氏と食い違いが生じている。トランプ氏が「究極の取引」と呼ぶ中東和平案の公表はずれ込み、選挙後に発表するとされる。
 トランプ氏は4月の選挙直前に占領地ゴラン高原についてイスラエルの主権を承認。今のところ前回のような「援護射撃」はないが、ネタニアフ氏は今月10日、選挙に勝てばヨルダン川西岸地区の一部を併合する考えを表明、パレスチナ側は強く反発している。

 ◎上記事は[中日新聞]からの書き写し(=来栖)


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