2019年11月9日 中日新聞 夕刊
令和の大嘗宮ほぼ完成 約40棟の大規模建物群
大嘗祭の中心儀式で使われる大嘗宮=東京都千代田区で、本社ヘリ「あさづる」から(中西祥子撮影)
天皇陛下の大嘗祭(だいじょうさい)のため皇居・東御苑(東京都千代田区)に建設中の大嘗宮がほぼ完成した。社寺建築に定評のある大手ゼネコン清水建設が、実質三カ月余りの短期間で大がかりな木造の建築物群を造営した。十四日夕から十五日未明にかけて行われる大嘗祭の中心儀式「大嘗宮の儀」で使われる。
約四十棟の建物で構成し、延べ床面積は二千六百平方メートル。約三十棟は木造で、主祭場の悠紀殿(ゆきでん)と主基殿(すきでん)、陛下が身を清められる廻立殿(かいりゅうでん)の三殿は、皮付き丸太を使った「黒木(くろき)造り」と呼ばれる古代からの工法による。皮付き丸太は長野県産カラマツと静岡県産スギ、北海道産ヤチダモを用い、全体の木材使用量は五百五十立方メートル。
清水建設は創業者が宮大工だったことから大手建設会社で唯一、社内に木工場と社寺建築専門部署を持つ。正倉院(奈良県)や阿蘇神社(熊本県)など多くの伝統建造物の修復を手掛け、焼失前の首里城正殿(沖縄県)も建設した。
大嘗宮は儀式終了後に解体予定で、解体前の二十一日~十二月八日に一般公開される。前回の一般公開では約四十四万人が訪れた。