死刑制度:どこへ 「廃止派」千葉法相就任

2009-09-29 | 死刑/重刑/生命犯

死刑制度:どこへ 「廃止派」千葉法相就任
 死刑廃止論者の法相就任で、ハイペース化してきた死刑執行のあり方が変わるかどうかに注目が集まっている。千葉景子法相は慎重な言い回しに終始しているが、賛成派からは懸念、反対派からは期待の声が上がっており、存廃論議が活発化しそうだ。【武本光政、石川淳一】
 17日の就任会見で、超党派の「死刑廃止を推進する議員連盟」メンバーであることを明かした千葉氏。翌18日の閣議後会見では、「法相の法に基づいた職務は厳然と存在している。ただし重い問題で、慎重に考えたい」と言葉を選び、29日の毎日新聞などのインタビューには「政府の一員となり、いったん距離を置く」と述べ、在任中は議連メンバーを外れる姿勢を示した。現時点で、執行命令書にサインするかどうかについて言及はない。
 法務省幹部は「弁護士出身の大臣らしく、個人の信念と法相の立場を切り離して発言した」とし、法務省のスタンスは従来と変わらないとの考えを示す。だが、省内には「当面は執行は難しいだろう」との見方も広がる。
 民主党は衆院選のマニフェストの原案となった政策集で、「国際的な動向にも注視し、存廃だけでなく、当面の執行停止や告知、方法なども含めて議論を継続する」とした。
 新政権発足で廃止議連のメンバーである国民新党の亀井静香代表、社民党の福島瑞穂党首が入閣、執行への影響は避けられないとの指摘も出ている。
 死刑執行は89年11月から3年4カ月にわたり中断。就任直後に執行しない考えを表明した杉浦正健元法相の在任期間中(11カ月間)も執行されなかったが、07年12月以降は2カ月に1度のペースで執行された時期もある。
 ◇被害者遺族 反応分かれ
 被害者遺族の反応はさまざまだ。
 「事実上、執行停止状態になるのではないか。その間に議論が高まればいい」。保険金殺人事件で83年に弟を殺害された原田正治さん(62)=愛知県春日井市=は期待する。
 殺害した男の死刑は確定したが、原田さんは「生きて償ってほしい」と訴え、01年には当時の法相に執行停止を申し入れた。「遺族全員が死刑を求めているわけではないことを法相に伝えたい」と、面会を求める考えだ。
 一方、名古屋市で07年、闇サイト仲間の男3人に娘を拉致、殺害された磯谷富美子さん(58)は「執行命令書にサインをできないのであれば、他の人に代わるべきだ」と警戒する。
 3人のうち1人の死刑は確定し、2人は名古屋高裁に控訴している。磯谷さんが全員の極刑を求めて集めた署名は32万人を超え「死刑でしか償えない犯罪者もいる。制度は存続すべきだ」と訴える。
法相の執行命令数
(93年の再開以降)
 後藤田正晴 3
 三ケ月 章 4
※永野 茂門 0
※中井  洽 0
 前田 勲男 5
※田沢 智治 0
※宮沢  弘 3
 長尾 立子 3
 松浦  功 7
 下稲葉耕吉 3
 中村正三郎 3
 陣内 孝雄 3
 臼井日出男 2
※保岡 興治 3
※高村 正彦 0
 森山 真弓 5
 野沢 太三 2
 南野知恵子 1
 杉浦 正健 0
 長勢 甚遠 10
 鳩山 邦夫 13
※保岡 興治 3
 森  英介 9
 千葉 景子 
※は在任期間が半年未満の法相
毎日新聞2009年9月29日13時44分

千葉景子法相、「死刑廃止を推進する議員連盟」から離脱の意向表明(2009/9/29)


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