沖縄県民以外の国民も「在日米軍が日本の安保に欠かせない」という認識を共有することが重要だ

2010-05-24 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉

日米同盟の役割に国民的な理解求めよ
日経新聞 社説2010/5/24
 8カ月にわたって迷走したあげくふたを開けてみれば、できあがったのは自民党政権当時に交わされていた日米合意に沿った案だった。
 両国政府は沖縄の米軍普天間基地の移設先をキャンプ・シュワブ沿岸部(名護市辺野古)とする方向になった。鳩山由紀夫首相は23日の沖縄訪問で、こうした意向を伝えた。
 この案は日米が長年の交渉の末、2006年にまとめたものだ。それにもかかわらず、首相は何の目算もないまま「県外移設」をかかげて日米関係を冷やし、沖縄の人びとも深く失望させた。
 鳩山政権の迷走によって問題は振り出しに戻るどころか、より深刻になっている。当初、移設受け入れの余地を残していた地元は、いまや反対論に染められつつある。
 首相は「心からのおわび」を沖縄県民に表明したが、この政治責任はきわめて重大である。
 日米は28日にも合意を盛り込んだ共同文書を発表する。しかし沖縄の同意がなければ実現できない。では、どうすればよいのか。
 鳩山政権は沖縄にいる米海兵隊が日本やアジアの安全保障にどのような役割を果たしているのか、ていねいに説き、ねばり強く、沖縄の理解を求めていくしかない。
 朝鮮半島では韓国哨戒艦の沈没事件で緊張が高まっている。東シナ海などでは中国軍の行動も活発になっている。これらの火種を考えると、距離的に近い沖縄から米海兵隊を撤収させるのは難しいのが現実だ。
 首相はようやく抑止力の必要性に気づいたようだが、こうした実情をきちんと説明しなければならない。政府と沖縄県の協議の枠組みを整えて、対話を深めることも検討してほしい。
 だが、こうした努力は沖縄の理解を得るための最初の一歩にすぎない。より重要なことは、沖縄県民以外の国民も在日米軍が日本の安保に欠かせないという認識を共有し、沖縄の負担を極力、分かち合っていく姿勢を持つことだ。
 米側も普天間基地での一部の訓練などについては、県外移転の検討に応じる構えをみせている。このほかにも、沖縄の米軍基地の機能のうち、県外に移せるものがないかを米側と精査し、あるとすれば、他県が積極的に受け入れに動くべきだ。
 最悪の展開は今回の移設案が頓挫し、普天間基地が固定化することだ。そうなれば約8千人の海兵隊員のグアム移転も宙に浮く。日米同盟は傷つき、沖縄だけでなく、日本の安保にも大きな損失となる。

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