<闇サイト殺人事件 10年>母「娘思い出さない日は一日もない」2017/8/24

2017-08-24 | 死刑/重刑/生命犯

<闇サイト殺人10年>母「娘思い出さない日は一日もない」
 8/24(木) 8:30配信  毎日新聞
■厳罰訴え全国講演 「司法、被害者目線を」
  携帯電話の闇サイトを通じて集まり強盗を計画した男3人に、名古屋市千種区の派遣社員、磯谷利恵(いそがい・りえ)さん(当時31歳)が拉致、殺害された事件は24日、発生から10年を迎える。磯谷さんの母富美子さん(66)は「娘のことを思い出さない日は一日もない。事件を風化させたくない」と話す。
 利恵さんは千種区の路上で2007年8月24日夜に拉致され、翌25日未明に現金を奪われて殺害された。加害者の3人は、インターネットサイト「闇の職業安定所」を通じて知り合った仲間だった。
  それから10年。富美子さんは「事件から娘との時間は止まったままだけど、毎日ふとした時に娘との楽しかった日常が頭をよぎる」と語った。友人たちの孫を見ると、利恵さんが同じ年ごろだった時の出来事を思い出す。しかし、結婚して子どもを育てる利恵さんの姿は「つらくて想像できない」という。
  富美子さんは12年の命日まで5年間、3人の極刑を求めて署名活動をした。知人を通じたりホームページで呼びかけたりして33万2806人分が集まり、検察側に提出した。12年は事件の審理が終わった年。1人は死刑が確定して刑が執行されたが、2人は無期懲役が確定した。
  事件でどん底に突き落とされ周囲に助けられてきた富美子さんは「私にとって最大の2次被害は司法の世界にあった」と明かす。3人のうち2人に対する2審・名古屋高裁判決は「被害者1人の事件で、死刑がやむを得ないとまで言えない」と死刑を回避していた。
  利恵さんは帰宅途中の路上で見ず知らずの男3人に突然拉致され、命ごいもかなわず頭をハンマーで数十回殴られるなどして殺害された。「それなのに裁判所は事件の内容より被害者の数にこだわり、加害者の人権をより重視していた。そうした司法の常識に傷つけられた」と語る。
  富美子さんは「娘の死を無駄にしたくない」と事件の2年後から全国で講演し、これまでに約60回を重ねた。「被害者の目線で裁いてほしい」と訴え「事件直後からのサポートが必要」と被害者支援の改善を求める。
  事件ではインターネットを悪用した犯罪の危険性が注目されたものの、2審判決は「過度に強調するのは相当でない」と指摘した。ネット社会の進行で、当時より犯罪が巧妙化している現状がある。富美子さんは「ネットは安易に被害者と加害者を生む危険性がある。犯罪に歯止めをかけるためにも、より厳しく処罰してほしい」と強調した。【金寿英】
■「稼げる裏の仕事…」闇サイトは今もネット上に数多く
 「稼げる裏の仕事あります」「口座買い取ります」。こうした文言が並ぶ闇サイトは今もインターネット上に数多く存在し、違法性をうかがわせる求人も散見される。閉鎖と開設が繰り返され、規制や摘発はもとより実態把握も追いつかない。
  闇サイトが絡む事件は2003年ごろから目立ち始め、書き込みから殺人や強盗、誘拐、詐欺などに発展するケースが相次いだ。
  警察庁の委託を受けた窓口「インターネット・ホットラインセンター」によると、児童ポルノや口座売買など違法情報の通報は07年の1万2818件から16年は3万3284件に増えた。違法行為の請負や誘いなど有害情報は07年が3600件で16年は1792件。
  闇サイトの多くは誰でもアクセスできる一方、警察が接続履歴などを調べれば書き込んだ人を特定し摘発も可能。しかし、数年前から、匿名化ソフトを使わないとアクセスできない「ダークウェブ」と呼ばれる闇のネット空間が登場し、違法薬物や口座の売買、殺人請負などを堂々と扱うサイトがあふれる。サイト運営者も接続者も匿名で摘発は難しく、書き込みの実現性や危険性はより高まる。
  サイバーセキュリティー会社「スプラウト」(東京都)の高野聖玄社長は「ネットに書き込めば警察にすぐばれるとの認識がこの10年で浸透し、本気で犯罪をする人はダークウェブに潜るようになった。ダークウェブは混沌(こんとん)とし、抜本的な対策や規制策がない」と指摘する。【斎川瞳】
*闇サイト殺人事件
  磯谷利恵さんは男3人に拉致され、現金約6万2000円を奪われ、頭をハンマーで殴られたうえ首をロープで絞められるなどして殺害された。遺体は岐阜県瑞浪市の山林に遺棄された。強盗殺人罪などに問われた3人に対し、09年3月の名古屋地裁判決は2人を死刑、1人を無期懲役とした。神田司・元死刑囚は控訴を取り下げて死刑が確定し、15年6月に44歳で刑が執行された。自首した川岸健治受刑者(50)は2審判決も無期懲役で確定した。堀慶末(よしとも)被告(42)は1審の死刑が2審で無期懲役に減刑され、12年7月に最高裁が検察側の上告を棄却した。堀被告はその翌月、愛知県碧南市の夫婦強盗殺人事件(1998年6月)で逮捕され、1、2審で死刑判決を受け上告中。 最終更新:8/24(木) 10:18

 ◎上記事は[Yahoo!JAPAN ニュース]からの転載・引用です
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闇サイト殺人から10年 娘の死、母は語り続ける 
2017/8/24 朝刊
 名古屋市千種区で二〇〇七年八月、インターネットで知り合った男三人が会社員磯谷利恵(りえ)さん=当時(31)=を拉致、殺害した「闇サイト殺人事件」から、二十四日で十年を迎える。残された遺族らは、歳月を経ても消えない喪失感を抱えながら、事件を語り続ける。「死をむだにせず、社会を変える」ために。
 「良い天気ね。今日も頑張ってくるから」。利恵さんの母富美子(ふみこ)さん(66)は毎朝、自宅の窓から空に向かって、話しかける。空のどこからか見守ってくれている気がする。
 利恵さんが一歳の時に夫と死別し、一人で育て上げた。十年前の夜、自宅から約百メートルの路上で、最愛の娘が見知らぬ男たちに車で連れ去られた。金品を奪われた上、ハンマーで何度も頭を殴られ、ロープで首を絞められて殺害された。遺体は岐阜県の山中から見つかり、対面すると、冷たさにうちひしがれた。
 「被害者の痛みを分かってほしい」。事件後、三人の極刑を求める署名活動を始め、三十三万人以上の賛同を集めた。だが、裁判では一人が死刑、二人が無期懲役で確定した。被害者一人の殺人事件で死刑になるのはまれ、とされる司法の現状を変えようと、全国各地での講演活動は六十回以上に及ぶ。
 磯谷さんと当時交際していた大学講師の瀧真語さん(36)も、今でもセミの鳴き声を聞くと、警察署に駆けつけたときの記憶がよみがえる。「愛した人を突然奪われ、心の整理がつかなかった。残された者の苦しみを話すことで、人々の記憶に残り、社会が少しでも良くなってほしい」と話す。
 だが、二人には気掛かりなことがある。事件のきっかけとなった、インターネットの在り方だ。
 三人が知り合ったサイト「闇の職業安定所」は事件後閉鎖されたが、犯罪の温床となるサイトは今も形を変えて存在している。「手を替え品を替え、今もあると思うと恐ろしい。苦しんだ人がいることを知り、過去から学ばなければ」と、瀧さんはかみしめる。
 富美子さんは、ネット犯罪の取り締まり強化や新しい法律の必要性を訴える。「事件を若い人にも知ってほしい」との思いで、ネットでの討論会にも参加する。「『利恵のおかげで法律が、社会が、変わったよ』と報告できる日が来れば」
 (塚田真裕)
<闇サイト殺人事件>
 2007年8月24日、犯罪仲間を募るネットサイト「闇の職業安定所」で知り合った神田司元死刑囚、堀慶末(よしとも)被告、川岸健治受刑者の3人が名古屋市千種区の路上で磯谷利恵さんを拉致し、現金などを奪い殺害。遺体を岐阜県瑞浪市の山中に遺棄した。川岸受刑者の自首で3人が逮捕され、名古屋地裁は09年、神田元死刑囚、堀被告に死刑、川岸受刑者に無期懲役の判決を出した。神田元死刑囚は15年6月に死刑執行。堀被告は名古屋高裁判決で無期懲役に減刑され最高裁で確定したが、1998年に愛知県碧南市で夫婦を殺害し金品を奪ったとされる別の強盗殺人事件でその後に逮捕され、一、二審とも死刑判決を言い渡され、現在上告中。

 ◎上記事は[中日新聞]からの転載・引用です
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死刑か無期懲役か 刑事裁判は、遺族のためにあるのではない 後藤昌弘 2011/04/17
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闇サイト事件 神田司死刑囚の死刑執行2015.6.25上川陽子法相 / 「再審請求準備中で極めて遺憾」日弁連会長
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「碧南夫婦強殺事件」堀慶末被告 死刑とした名古屋高裁判決を不服として上告 2016年11月8日付 (闇サイト殺人事件で無期確定)
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