孤立が生む凶悪事件絶えず 秋葉原の無差別殺傷事件…

2022-07-27 | 秋葉原無差別殺傷事件

孤立が生む凶悪事件絶えず 専門家「拡大自殺の防止必要」
 2022年7月27日 中日新聞
 秋葉原殺傷死刑執行 
 2008年の東京・秋葉原の無差別殺傷事件で、26日、死刑が執行された加藤智大死刑囚(39)は「自分の居場所」を失った末、凶行に及んだ。事件から14年。今も社会的な孤立などを背景に他人を巻き込む「拡大自殺」などの凶悪事件は絶えず、専門家らは対策の必要性を訴える。
 加藤死刑囚は地元の青森県の進学校を卒業後、岐阜県内の短大に進学し、派遣会社員などとして職を転々とした。自分の境遇や他人への嫉妬…。インターネット上の掲示板が唯一のはけ口だったが、なりすましなどの「荒らし」が頻発し、犯行を決意。一審公判では「家族はいないし、仕事は辞めてしまったし、職場の友人関係もこれで終わりだと思っていた。居場所がなくなったと考えた」と動機を語っていた。
 精神科医の片田珠美さんは「秋葉原事件は、世の中に強い不満や怒りを感じ、自殺願望を抱いた加藤死刑囚が他人を道連れに無理心中を図った、典型的な『拡大自殺』だ」と指摘する。
 昨年、東京の小田急線、京王線で乗客刺傷が相次ぎ、京王線事件の容疑者の男は「二人以上を殺して死刑になりたかった」と供述。大阪府内の心療内科クリニックが放火される事件では、容疑者の男を含む28人が死傷した。
 片田さんは「怒りと不満を募らせる人が増え、そうした人たちが大きな事件に触発されて模倣するからだ」と説明。「拡大自殺はもともと人生に絶望し、自殺願望を抱いた人が『一人で死んでたまるか』『一矢報いたい』と復讐願望を募らせるから起きる。単独の自殺を減らすことが、長い目で見れば拡大自殺の防止につながる」と話し、経済格差の縮小や社会で孤立を防ぐ態勢が必要だと指摘する。
 政府も昨年、内閣官房に「孤独・孤立対策担当室」を設置するなど孤立対策を急ぐ。貧困問題などに取り組むNPO「抱樸(ほうぼく)」(福岡県)の奥田知志(ともし)理事長は「人は他者との関りで相対的に自分を知る。孤立状態の人は、自分が社会的に困窮状態であること自体が分からなくなり、われを失ってしまう」と話し、貧困と孤立の支援を両輪で行う必要性を説く。コロナ禍で困窮や孤立はさらに深まったが、「誰もが同じ境遇になりえると共感できるチャンスでもある。この苦難の時代にみんなで受けた傷が支え合いのきっかけになってほしい」と期待する。
 東洋大の桐生幸正教授(犯罪心理学)は「ネット上などで出るくいを打つ、ネガティブな意見しか述べられないといった閉塞的な風土が国内に広がっている」と一連の事件の遠因を推察。交流サイト(SNS)でのつながりが増える一方で「潜在的な孤独が見えにくくなっている」と警鐘を鳴らす。

 ◎上記事は[中日新聞]からの書き写し

----------
〈来栖の独白 2022.07.27 Wed.〉
 この種の事件を見てきて、感じること。それは、容疑者(犯人)の背後にある親の陰である。加藤智大死刑囚の場合も、親が強い力で、子どもの頃の智大君を勉強に追い立てた。子供は、そこから逃れられない。生き直すことができない。


* 秋葉原通り魔事件 加藤智大事件 青森市の名門、県立青森高校(せいこう)を卒業して 
* 「秋葉原無差別殺傷事件」加藤智大被告 母親との関係〈母親に対する証人尋問 2010.7.8.要旨〉 


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。