〔鈴香容疑者〕豪憲君の事件と「なるちゃん」への返信

2006-06-09 | 日録
 親愛なるなるちゃん。お具合は如何ですか。梅雨に入りましたね。
少し冷えたりしますから、おだいじになさってくださいね。
 拙ブログをいつも読んでくださって、ありがとうございます。また、京都の正平協会議の記事にコメントありがとうございました。 神父でいらっしゃるなるちゃんには無礼を働くことになるかと思いますが、率直な気持を述べさせていただきたいと思います。お赦しください。
 所謂「神父さん」たちのお話に私は感動を覚えたことがないのです。神父さんたちのお話は総じて、イエスだの愛だのと、抽象的観念的な言葉が駆使され、手にも心にも触れてこないからです。
 実はさっき、友人から貰ったメールを読んでいました。先月殺害された米山豪憲君(7つ)の事件についてです。豪憲くんが可哀そうなことは論を俟ちませんが、メールを読んで涙してしまいましたのは、先に亡くなった彩香さんのところでした。
 母親の畠山容疑者は殆ど食事を作らず、カップラーメン類を食べさせることが多く、彩香さんはいつもお腹を空かせていた。ある時などは、カップラーメンに注ぐお湯をください、とご近所へお願いに行ったそうです(食事は作らないとのことで、ガスの契約は切られていた)。また外へ母子でラーメンを食べに行っても、母親は、わが子と話をしようとせず、ケータイや本に関心が向いてしまっていたとか。ろくにお風呂にも入れて貰えず、異臭が漂っていたこともあった。それでもコンビニなどで、おまけの(ただの)飴を貰うと「もう一つくれない?お母さんの分を」と。母親には恋人がいた。「玄関に男物の靴が脱いであったら家に入らないで」と云われていたので、そんなときは独り外で遊んだ。行くところもなく、寂しそうだった。
 「カップラーメンに入れるお湯をください」。幼い姿に私は悲泣し、そしてなぜともなくドストの以下の言葉を想起していました。イヴァンの台詞です。
“しかしぼくはそのとき『主よ』と叫びたくないよ。・・・したがって、神聖なる調和は平にご辞退申すのだ。・・・なぜって、そんな調和はね、あの臭い牢屋の中で小さなこぶしを固め、われとわが胸をたたきながら、あがなわれることのない涙を流して、『神ちゃま』と祈った哀れな女の子の、一滴の涙にすら価しないからだ。なぜ価しないか、それはこの涙が永久にあがなわれることなくして棄てられたからだ。この涙は必ずあがなわれなくちゃならない。でなければ、調和などというものがあるはずはない。”(『カラマーゾフの兄弟』)
 教会では「イエス」だの「キリストとともに」だの「ご聖体」「召命」「神父様」といった言葉が飛び交います。
 提案したい。一度それら用語を一切使わないで考えたり会話をしてご覧になったら
如何か、と。教会のなかでしか通用しない、つまりそういった特殊性、閉鎖性を一時よそへ置いてご覧になっては、と。それらの用語を自分に禁じてみたとき、如何に思索が不自由で、如何に自分が一般世間から遊離し、特殊なところにいるかわかる(教会の中でも、問題なんかの会合に行きますと「神父様」とは呼ばないです。例えば本田神父に対しても、「本田さん」と呼びます)。
 「カップラーメンに入れるお湯をください」。幼い子をここまで追い詰めたもの。母親の心をここまでデジタルにさせ、乾かせたものは何だったのか。泣かずにはいられなかった私です。教会という場で、これほどに心揺すぶられた経験を私はいまだ持たぬのです(教会関係の集まりでお話を聴いていますと、一向に心が動かず、尻が動く)。それで、あんな記事を書きました。
 では、本日はこの辺で。お読みいただいて、ありがとうございます。
--------------------------------------------------
鈴香容疑者、接見弁護士に殺害動機述べる
畠山鈴香容疑者の謝罪の言葉を代読する池条有朋弁護士(右)と有坂秀樹弁護士
 秋田県藤里町の町立小1年米山豪憲君(7)殺害事件で、死体遺棄容疑で逮捕された畠山鈴香容疑者(33)が「豪憲君と長女の姿がダブった」などと、接見した弁護士に動機を話したことが9日、分かった。4月に水死した長女彩香ちゃん=当時(9)=への思いから生じた衝動的な犯行をうかがわせるが、能代署捜査本部は供述に矛盾はないかなど調べを急いでいる。
 接見の内容は有坂秀樹弁護士らがこの日、能代市で会見し発表。捜査本部も同様の供述を得た。
 それによると、畠山容疑者は8日午前の接見で「彩香の部屋の窓から豪憲君が見え、彩香の思い出に何かもらってと声を掛けた。玄関で靴を脱いで上がってきた豪憲君を見るうちに彩香と姿がダブった」と、殺意が生じた経緯を初めて語った。
 玄関の靴箱にあった軍手を着け、彩香ちゃんの部屋に干してあった腰ひもを引き寄せ、背後から豪憲君の首に回し絞め続けたという。彩香ちゃんの死については「今でも不審に思っている」と漏らしたが、殺害の動機ではないという。
 有坂弁護士らは「当初はわれわれにもうそをついていたようで、告白する前は接見しても困ったような感じだった」と話している。
 畠山容疑者は接見後の取り調べで「豪憲君に手を合わせて拝みたい」などと殺害を自供。この日弁護士を通じ、豪憲君の遺族あてに「すぐにでも謝りたい。子供を亡くした気持ちは一番分かっているはずなのに同じ思いをさせてしまった」などとのコメントを出した。
 供述からは衝動的な犯行をうかがわせるが、その一方、ひもで首を絞める際に軍手を着けるなど確実な方法を取っていたほか、玄関にあった靴を遺体に履かせるなど、犯行時の冷静さもかいま見える。
 畠山容疑者が弁護士に語った話は供述とほぼ同じ内容。ある捜査幹部は「弁護士に言い訳をしたり、供述とずれる発言をするケースが多い。今回はあまりに同じことをよどみなく話している」と話し、供述の信用性に疑問を投げかけた。部屋の中に腰ひもがぶら下がっている不自然さを指摘する声も上がっている。
 捜査本部は矛盾や疑問点がないか、再度家宅捜索をして捜査。また、彩香ちゃんが行方不明になる直前、自宅玄関前にいるのを豪憲君が目撃していたとみられ、動機と関連するのか調べている。
[スポニチアネックス2006年06月10日 23:48]

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。