郷原信郎氏×魚住昭氏「特捜神話の崩壊」②証拠の扱いに慣れてない特捜部

2010-10-14 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア

郷原信郎氏×魚住昭氏「主任検事逮捕!証拠改竄! 特捜神話の崩壊」①からの続き
証拠の扱い
に慣れてない特捜部
編集部 検察の闇ということでは、今回、前田(恒彦)検事の証拠改竄問題が浮上しました。魚住さんは『冤罪法廷』で、村木さんの裁判をずっと取材してこられたんですが、前田検事のデータの改竄問題をどう思われましたか。
魚住 各社が騒いだようには、僕は別に驚きませんでした。供述調書のでっちあげとか、都合のいい証拠だけ摘み食いして事件を作るとか、いろんなことをやってることは既に明らかになってますから、その延長線上に物証をいじることくらい、やっぱりあるかなあ、と。まあ、やってたんだとねえっていう感じですね(笑)。
郷原 これまで特捜がやってきた事件なら、決定的な物証ってなかったわけですよね。贈収賄にしても、ヤミ献金の事件にしても、密室で金を遣った取ったの話だから、お話を作ってしまえばお終いなんですよ。客観的に矛盾するブツっていうものが、もともとないんですよ。ところが今回は、まあ、やり損ないでこんなになっちゃたんだと思うんですけども、虚偽公文書作成っていう文書犯罪だけになっちゃったんですね、最後、村木さんの事件が。そうであれば、その文書に関する客観的な証拠っていうのは、ものすごく重要なんです。決定的な証拠なんです。ところが特捜っていうところは、もともとそういう客観的な証拠で立証するという流儀があまりないんですよ。扱い慣れてないんですよ。
魚住 うん。
郷原 だいたいほとんど軟球で野球してるんですよ。硬球で野球をしたことがあまりないんですよ(笑)。今回は、もろ硬球だったものだから、その扱い方がまるっきり硬球の野球にならなかったんです。
魚住 つまり、本来の刑事事件の捜査の仕方を知らないっていうことですね。
郷原 知らないんですよ。
魚住 前田検事の経歴を見ていて、今日、気付いたんだけど、彼は任官3年後からずっと特捜なんですね。大阪の特捜から入って、それで東京特捜に行って、また大阪に帰って。途中で、ほんのちょっとだけ別のところに行った時期がありますけどね。つまり彼はずっと特捜だっていうことは・・・。
郷原 職人ですね(笑)。
魚住 職人というか(笑)・・・。
郷原 一般事件をやってない。ちゃんとした事件を。
魚住 やってない。で、たぶん公判も知らないんです、あんまり知らないんです。
郷原 多分、そうですね。
魚住 要するに、基本的な行儀作法というのが分かってないんだと思うんですよ。
郷原 そういうことでしょうね。文書の犯罪っていうのが、どうやって裏付けを取って、どうやって事実を確定していくかっていうことが分かってない。
魚住 特捜の流儀でやっちゃったんですね。
郷原 そうです。お話を作ったんです、多分。うどんを捏ねたんです(笑)。
魚住 それがおかしいって言っては失礼だけど、いかにもありそうな話だけど、すごく滑稽にしか思えないっていう感じがありますね。
公安部検事と特捜部検事の違い
郷原 そうですね。彼の経験の中では、こんなこと初めてだったんでしょう。みんな、供述のレベルでは、なんとかかんとか、関係者の供述を総合するとということでなんとかなってきたんですよ。事実だってそんなに厳密に詰めなくたって、6月上旬「頃」(注・強調)に金の遣り取りがあったと、厳密に特定しなくたってすんだんですよ。そこがまったく違っていたということでしょうね。
魚住 今日、元検事の落合洋司さんていう弁護士さんと話していて、その落合さんが言うんですね。「虚偽公文書作成罪にとっては、フロッピーデータというのは最も大切な証拠なんだ」って。
郷原 そうです。
魚住 落合さんは特捜経験があんまりなくて、公安・・・。
郷原 彼、公安なんですよ。私も公安のほうがむしろ長かったんですね。
魚住 公安検事が言うんだったら分かるけども・・・。
郷原 公安部の事件と特捜部の事件と、報告書の作り方も違うんですよ。公安部の着手報告って、必ず右側に裏付けの証拠っていうのがある。だって、ほとんど自白ないですから、公安部の事件て。むしろ証拠が中心なんですよ、裏付けの証拠が。
魚住 なるほど。
郷原 特捜部の着手報告は、そんなのないですから。関係者の供述を総合して、ストーリーを書いてるだけなんですよ(笑)。
魚住 (笑)。
郷原 もともとそういうふうにして、裏付け証拠で確認していくっていう作業は、特捜にはあまりないんですよ。主任のところで供述の擦り合わせをするだけなんです。
魚住 じゃ、われわれの知ってる検察庁の検事さんの組織文化・風土と、特捜の風土っていうのは非常に異なるということですね。
郷原 そうですね。おそらく個人レベルできちんとした捜査をする、きちんとした人間は、自分の調書を取るときに自分で一応ウラを確認していくんだと思うんですよ。昔はそうやってウラを取って、自分の調書のストーリーが客観的な事実に反しないように確かめてはいたわけですよ、個人レベルで。
魚住 ええ。
郷原 ところが、それが最近いい加減になってしまって、お話だけになって。それでももってきたんですよ。多分、前田検事のこれまでやってきた調べの中では、ほとんどそれですんでいるんですよ。
「最高検も汚染されている」
魚住 裁判所も証拠決定の理由の中でこんなこと言ってます。
 上村(勉)元係長を逮捕したのが去年の5月26日だった。その直後から国井(弘樹)検事は上村元係長に、元係長の自宅から押収されたフロッピーディスクの更新日時、6月1日未明になっているやつを示しながら、6月1日未明更新という日時と公的証明書の発行日付5月28日にズレがあるから、君はバックデートしたんだろうという追求したんだと。で、上村元係長はその追求を受けて、自分の記憶にはなかったけれども客観的に違うからバックデートは認めたと。それから数日して、村木元局長の指示を認める自白調書にも署名をしたと。
郷原 5月31日ですね。
魚住 その後、6月7日、それからさらにずっと10何通も自白調書は作られているんだけれども、その中で肝心のフロッピーディスクの更新日時については、一言も触れられていなかった。だから横田(信之)裁判長は、検察側は自分たちの描いたストーリーと矛盾するような事実を、要するに、隠そうとしたんだろうと思われるという判断をしていますよね。
郷原 そうですね。
魚住 国井検事や前田主任検事たちの発想、つまり、もうすでに上村元係長を逮捕した時点でストーリーができているんですね。
郷原 その前に関係者からは、6月8日くらいのところで村木さんから上村氏に指示があったというストーリーが出来上がっちゃってるんです。でも、まだ文書のフロッピーが見つかっていないんだから、それを確定させちゃだめなんです。
魚住 そうなんですね。
郷原 ところが先にもう作っちゃてるから・・・。
魚住 作っちゃってるからフロッピーのデータが出てきても・・・。本来ならその客観的証拠のほうを優先させなきゃいけないのに、その客観的証拠を・・・。
郷原 ストーリーに合わなくなっちゃったんです。
魚住 お話に合わせるために、弾いちゃったんですよね。
郷原 しかも弾くなら弾くで、最初から全部無視すればいいものを、さっき魚住さんが言われるように、国井検事が調べで使っているわけですよ。それも追求に使っているわけですよ。バックデートしたことを、最初、上村氏が喋っていなかったから、ちゃんとバックデートしてるじゃないかと。人間記憶なんて曖昧なものだね、だから多数決で決めようや、私に任せなさい、という話になっているわけですよ。
魚住 そうそう。
郷原 そこまで追求に使っているのに、その追求に使ったフローピーが、全然その後出てこないっていうのは何故なのか。これは多分、取り調べをやった国井検事と前田検事の間で、話をしているはずですよ。これ、どうするのかと。これじゃ調書取れないと。そのフロッピーを示したら、一発でアウトですよ。
魚住 うん。
郷原 で、彼らはどういうストーリーにするのか、ストーリーの組み立てようがなかったんじゃないですかね、曖昧な形にしてぼかすしか。そこで私は不思議なんですけども、そんな曖昧なストーリーで、よく村木さん逮捕のゴーサインが出たなっていうことなんです。
魚住 そうですね。それこそ特捜の事件の作り方が、大阪地検、大阪高検、あるいは最終的にゴーサインを出した最高検、全部がそういう作り方に汚染されてたっていうことですね。
郷原 そうなるんですよ。しかし少なくとも文書犯罪で立件するのに、その文書がいつできたのか分からない。その文書に関する客観的なブツがどうなっているのか、これもよく分からない。それじゃ、ゴーサインは出ないでしょう。
魚住 出ないですね。それに起訴するときだって、全部、最高検までいっているはずですから。
郷原 ええ。
魚住 捜査報告書は出ているわけです。フロッピーの更新日時は6月1日未明であるっていうことは、少なくとも地検の上層部、それから高検、最高検は、認識し得たはずなんですね。
郷原 それをちゃんと着手報告書で書いていたかどうかです、そのフロッピーのことを。書いてなかったんじゃないかと思うんですね。
魚住 いやいや、起訴するとき。
郷原 あ、起訴するときはそうですよね、それは当然・・・。
魚住 普通の頭を持った上司だったら、このストーリーとこの日時は合わないということが判断できるはずですね。
郷原 いや、起訴の段階でも、そのフロッピーのことは表に出していなかったんじゃないですかね。
魚住 じゃ、その捜査報告書は上にいってない?
郷原 その捜査報告者は、起訴の段階では認識してないんですよ、前田検事は。その後にできているんですよ、捜査報告書は。
魚住 いやいや、起訴の段階は7月4日です。で、捜査報告書の作成日付は6月29日です。
郷原 そうか、時間的には起訴のほうが後なんですね。でも、できていることを認識してなかったんじゃないですか。
魚住 認識してなかった可能性もあるし、忘れていた可能性もあるし・・・。
郷原 いずれにしても、そこの点をまず彼らがどう考えたのか、前田検事と国井検事が。ストーリーをぼかすといっても、常識的に考えたら村木氏の指示はなかったんじゃないか、最終的には立証が不可能になるんじゃないかと、考えるべきですよね。
魚住 そうですね。
不可解な事件の背景
郷原 そこで、新聞に出てましたけども、村木さんを逮捕するときのやり方が、いかにも自信のないやり方をしているんです。
魚住 というのは?
郷原 新聞の休刊日の前の日に、休みの日にいきなり村木さんを呼んで・・・。
魚住 大阪地検ね。
郷原 それで、絶対に分からないようにしろと。で、調べてみて、村木氏が認めるようならこれでいけるけども、否認されたらそのまま帰すぐらいのつもりでいたのかも知れない。それをどこかのテレビ局に調べをやっているところを撮られたらしいんですね。
魚住 ああ。
郷原 最初から、これは筋がメチャメチャ悪いから慎重にやらないといけないという認識を持ってた可能性がありますよね。
魚住 そうでしょうか。でも、上村元係長の拘留満期がもう6月14日に来てますよね。だから、すでに再逮捕・・・。
郷原 してますね。
魚住 スケジュール的には、すごくスムーズに流れてるじゃないですか。
郷原 でも曖昧ですよね、文書作成した日時も。しかもまだ全然調べてないし、村木さんが認めるかどうかも分からない。取り敢えず、ここまで来たら一応調べるだけ調べてみてもいいけれども、認めさせられなかったらもう帰すしかない。それを伏せておけばいいわけですから。そういう条件で、取り調べを許可したっていう可能性もあるんじゃないですか。
魚住 ああ。
郷原 ところが、どっかのテレビ局にやられちゃったんで、もう後に引けなくなって逮捕という可能性も・・・。
魚住 でも、大阪地検に呼んでるんですよ。記者にバレないわけ、ないじゃないですか(笑)。
郷原 確かにそうですね(笑)。それだったらどこか大阪府内の某所でやりますねえ。
魚住 ホテルで調べてもいいんだし、いくらでもやり様がありますよね。
郷原 確かにちょっと不可解ですね、そこが。
魚住 だからこの事件は、今ある情報だけで判断しちゃいけないんじゃないかなっていう気もしているんですよ。もっともっと僕らが知らないことがあって、もしかしたらそれに蓋をするためにとにかく早めに、前田さんがマスコミに出てペラペラ喋っちゃうと困るから、とにかく早くあいつパクっておけと、あいつの口に蓋をしろと。
 それで後は最高検が他に累が及ばないように、うまく事件をこじんまりと纏めるからという、そういうことを狙ってるんじゃないかなという気がする。
データが改善されているのにゴーサインを出した不自然さ
郷原 当時の特捜部長と副部長の調べはどうなったんですかね。昨日は夜中までやっていて、今日もやってるという話でしょう。(前部長の大坪弘道、前副部長の佐賀元明の両容疑者は、この後、犯人隠避容疑で逮捕)
魚住 そうですね。
郷原 ベラベラ喋ってますよね。
魚住 俺は監督責任しかないとか。
郷原 それとか、最高検はやり過ぎだとか喋ってますよね、佐賀(元明)前副部長が。あれやられると、最高検はカンカンになって怒ってるんじゃないですかね。
魚住 そうでしょうね。新聞は完全に被疑者扱いじゃないですか、写真の撮り方とか、テレビの撮り方を見てると。世論はもうそういうふうな目で見てますからね。
郷原 しかも、問題なのは、逮捕・起訴のところもそうですけども、少なくとも彼らが認めている話の範囲内でも、今年の1月でしたか2月でしたか・・・。
魚住 2月だといわれています。
郷原 公判が始まる前に、過失か故意かはともかくとして、フロッピーのデータが改竄されてることを知ってるわけですよね。そこを知って、尚かつ問題がないという判断をした。しかも村木さん有罪という前提で、その後もずっと突っ走っていますね。
魚住 そうですね。
郷原 それはちょっと考えられないんですよね。
魚住 ええ。
郷原 改竄がどうのこうのは別として、6月1日が最終更新なのに6月8日が村木さんから上村氏への指示だとすると、ものすごくおかしなストーリーになるんですね。
魚住 そうですね。
郷原 最終的に検察が論告でやっているストーリーっていうのは、こうです。6月1日にフロッピーの文書データを作成し終えていたと。ところが印刷をしてなかったというんですね、まだ本当に作っていいかどうか分からなくて。
魚住 どうしようか決めかねていた、と。
郷原 最後、不正の指示があって、背中を押されるようにしてそれで印刷したっていうんですけども、それはどう考えてもおかしいですよね。普通は文書を作ったら、そこで印刷しますよ。
魚住 ええ。
郷原 だから、そういう無理なストーリーを前提にして起訴したのか、そして公判もそういうストーリーで立証することを前提にして始めたのか。なんかこう、ほとんど有罪の見込みがないのを無理して突っ張ったとしか考えられないですね。
魚住 ああ。
郷原 しかも、5月に裁判所は上村氏などの証拠請求を却下して、その後、今日の朝日新聞の夕刊に出てましたけども、最高検に報告しているみたいですね、その今の日付の関係を。
 そこで、フロッピーの改竄のことは報告してないっていうことを問題にしてるけども、フロッピーの改竄のことを報告するしないは別として、そのストーリーがものすごく不自然じゃないですか。そこをどう考えたんですかね。そんな不自然なストーリーのまま有罪の論告ができたっていうのが、私はちょっと不思議なんです。
最大のポイントは国井検事の証言
魚住 そもそも冒頭陳述は特捜部が作ったんでしょ、当然?
郷原 そりゃそうです。おそらく最高検までいってるはずですよ。
魚住 いってますよね。それでも、そのストーリーの矛盾が問題にならなかった。
郷原 冒頭陳述の段階ではぼかしてるんですよ。6月上旬と・・・。
魚住 そうです、そうです。
郷原 それを論告で具体化しているストーリーがそういう・・・。
魚住 そうです、そうです。
郷原 ぼかしたストーリーになってます。
魚住 で、弁護側の冒頭陳述でその矛盾を突かれちゃってアワ食っちゃったと。その後の対応がよく分からないんです。公判部の女性検事が登場しますね。要するに、彼女がまず不審に思ったっていうことなんですかね。
郷原 そうみたいですね。それで、これはおかしいと言って・・・。
魚住 で、国井検事に聞いたっていう話になってますね。国井検事って仲間じゃないですか、前田検事と一心同体のはずじゃないですか。
郷原 それで国井検事が驚いて前田検事に聞いたって、電話で・・・。
魚住 聞いたっていうんでしょ。どうもそれがちょっと僕はよく分からない。
郷原 ええ。だって国井検事は分かっているはずですよ。だって自分で調べてるんだから。
魚住 そう。だって上村元係長を調べてるわけだから。そこもまずおかしいし、次に、国井検事が前田検事に電話で聞いたら、前田検事が「時限爆弾を仕掛けた」って言うんでしょ。
郷原 そうそうそう(笑)。
魚住 そんな大事なこと、電話で言うかって(笑)。それもおかしいよね。
郷原 やっぱり、国井・前田ラインでいったいどういう話をしたのか、ここなんですよ。
魚住 そう。
郷原 この二人の間の話は・・・、まず調べをしているときの話ですね、上村氏の取り調べのときに彼はどう報告してたのか、この矛盾について。これ当然報告しているはずなんです。で、二人の間でどうしようっていう話になったのか。
 それからその後、半年あまりたって公判が始まるときに女性検事が騒いだ。その時に、また国井・前田っていうところで話が行われたはずですよ。この話の内容はどういうことだったのか。これが今の事件の捜査の最大のポイントだと思うんですよ。
魚住 そうですよね。
郷原 前の特捜部長、副部長を夜遅くまで調べているっていうんですけど、国井検事のほうはどうなっているですかね。
魚住 そうですね。国井検事の供述内容が、すごく重大なポイントになるんだろうけれども、最高検は、まあ、外には本当のとこは出さないでしょうね。
捜査に第三者を入れるべきだ
郷原 そうなると、やっぱり最高検のチームでちゃんとした捜査なんかできるのっていう話ですよ。
魚住 できないですよね。泥棒の親分に手下の泥棒を調べさせてどうするのって(笑)。
郷原 そうですよ。ちょっと冗談みたいな話ですね。しかも決済の話があるわけじゃないですか。ストーリーの話があるわけじゃないですか。「おまえは最高検にどういう報告をしたのか」って最高検のチームが調べるなんて、こんな冗談みたいな話がありますか。もう考えられないですよ。
魚住 ヘンな話ですよね。本来は、最高検の捜査は捜査で別として、それとは別の形で第三者委員会みたいなものを作らなきゃダメですね。
郷原 私は捜査自体、検察の内部者だけでやったらダメだと思いますよ。外部から捜査経験のある弁護士を、それも検察とベタベタのヤメ検じゃなくて、一線を画しているヤメ検だっているわけですから、そういう人間をチームに入れて、そういう人間主体の捜査チームで調べないとダメですよ。
魚住 それは法的にできますか。
郷原 できますよ。任期付きで任官させればいいわけじゃないですか。法務大臣が辞令を出せばできますよ。だから法務大臣がしっかりしないといけないんですよ。法務大臣は鼎の軽重を問われますよ、こんなバカなことをやっていたら。
「最高検が適切に捜査されると思う」、まだそんなこと言ってるみたいですね、今日。ちょっと勘弁してくれよっていう話ですよね。あんたの仕事だろうと(笑)。
魚住 そうか、じゃヤメ検でなくてもいいじゃないですか。法曹資格がありさえすればいいわけでしょ。
郷原 いいんだけども、ただやっぱり調べの経験がないと、相手は海千山千ですから。だって前田、国井、この連中ですよ。弁護士で民事とかばっかりやってる人が調べられますか?
魚住 そりゃそうだけど、それこそ村木さんの主任弁護人だった弘中(惇一郎)さんとか、そういう人たちにやってもらったらどうですか。
郷原 私がやらしてもらってもいいです(笑)。
魚住 ハハハハ。でも、そうしないと本当のことは出ないですね。
郷原 ええ、第三者が入らないと絶対ダメです。 (了)
 
 ◎上記事は[現代ビジネス]からの転載・引用です
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