オバマ政権グリーン対策 経団連御手洗会長 日本商工会議所岡村会頭 経済同友会桜井代表幹事

2009-01-22 | 社会
オバマ政権 財政赤字と保護主義警戒
1月22日8時33分配信 フジサンケイ ビジネスアイ
 オバマ政権は総額8500億ドル(約76兆5300億円)にのぼる大胆な景気対策によって金融危機の克服に強い意志を示すと同時に、経済政策では前政権とは反対に規制を導入していくとみられている。日本の産業界からは世界的な景気低迷からの脱却につながる米国経済の再生を期待する声が相次いだが、保護主義に転じる可能性を懸念する声も少なくない。
 オバマ政権は大規模な経済対策の代償として、1兆ドル(約90兆円)を超える財政赤字を抱える見込みだが、これが日本経済へのリスクとなるとの見方が浮上している。野村証券の木内登英チーフエコノミストは1980年代の「レーガノミックスの苦い記憶」を例にあげる。大減税策などに伴う財政と貿易の「双子の赤字」のツケが日本に及んだ時代だ。ドル暴落が懸念される中、日本は長い間、金融緩和策を余儀なくされ、その後のバブル発生とその崩壊につながった。現在も長い金融緩和が続いており、木内氏は「バブル崩壊への対応が、新たなバブルを生み出す経路を繰り返してきた印象がある」と分析する。
 米財政赤字の拡大は米国債の「暗黙の引き受け期待」も高める。これは、為替介入で手にしたドルを米国債の購入に充ててきた日本の円売りドル買いを許す遠因ともなり得る。梅本徹バークレイズ銀行チーフFXストラテジストは、「3月末にかけて日経平均株価が7000円を割り、1ドル=80円を割り込むような円高状況で金融不安が高まれば、日本政府が為替介入に出る可能性は十分にある。ただ、米民主党はドル安を好む傾向があり、介入に踏み切れば政治的軋轢(あつれき)を生みかねない」と指摘する。
 ≪グリーン対策は評価≫
 とはいえ、日本の産業界からはオバマ政権の経済対策に対する期待の小江は大きい。21日、名古屋市内で会見した日本経団連の御手洗冨士夫会長は「オバマ氏の掲げる雇用の拡大は最も重要。金融安定や住宅問題など含め、思い切った施策を期待する」と、オバマ氏の経済政策を評価。その上で「世界が危機的状況から立ち直るきっかけは米国経済の再生」と新政権のスタートに期待を寄せた。
 なかでも期待を集めているのが、低炭素社会に向けた新産業創出を掲げる「グリーン・ニューディール」政策だ。日本商工会議所の岡村正会頭も「これが実行に移されれば、冷え込んだ消費者心理も改善する」と期待を寄せる。経済同友会の桜井正光代表幹事も「景気対策と温暖化防止の両立は非常に重要」と高く評価した。
 産業界からは「米国でも太陽光発電の大きな需要が生まれてくる」(シャープの町田勝彦会長兼CEO)と、事業拡大の好機ととらえる声が少なくない。米国で新設計画が進む原子力発電についても、三菱重工業の大宮英明社長は「原発もグリーン・ニューディールの範囲。(原発建設を)推進する産業政策に期待している」と述べるなど、貿易拡大への期待は高まる。
 ≪牽制する財界≫
 一方で、自国産業保護の観点から米国の通商政策が保護主義的となるのではないかとの懸念もくすぶる。「自国経済の再生に取り組む以上、どこかで保護主義的な動きが出るのは避けられない」(出光興産の天坊昭彦社長)と、今後の対外経済施策に懸念を示す声も少なくない。日本鉄鋼連盟の宗岡正二会長(新日本製鉄社長)も「自由貿易の秩序確立に向けた政策の実現を」と、保護主義の台頭を牽制(けんせい)した。
 特に、米ビッグスリーに対する公的資金投入など、政府の財政出動を含め競争環境の激化を懸念する自動車業界からは「一刻も早い米国の景気回復が必要だが、過度な保護主義に陥らないことを願う」(ホンダの福井威夫社長)と懸念を示した。 
最終更新:1月22日8時33分

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