産経ニュース 2017.1.10 21:38更新
【トヨタ米1兆円投資】トランプ次期政権にらんだ判断と支持相次ぐ 麻生太郎財務相「目の付け所悪くない」
トヨタ自動車が今後5年間で米国に100億ドル(約1兆1600億円)を投資すると発表したことについて、麻生太郎財務相は10日の記者会見で「目の付け所は悪くない」と評価。経団連の榊原定征会長も同日の会見で、「トランプ次期米政権の下で事業環境が好転すると判断しての投資表明」と語るなど、トヨタの方針を支持する意見が相次いだ。
麻生氏は「米国の投資で、トヨタはもうかると踏んだ」と分析。「どこで(投資を)やろうとしているかは知らないが、(大規模投資は)方向としては間違っていない」との認識を示した。
榊原氏は「トヨタの100億ドル投資は、もともとあった計画で、今回のトランプ氏のツイッター発言を受けて、新しい案を出したわけではない」と推測。米国経済は「既に良くなっている。トランプ氏が表明している減税、大規模なインフラ投資、規制緩和でさらに良くなる」とし、トヨタ以外の日本企業の対米投資も「増えていくだろう」と予測する。
工作機械大手のオークマの花木義麿社長も取材に対し、「米国での設備投資拡大期待は大きい。日本の工作機械各社にプラス」と商機に期待を寄せる。
米国投資への期待がある一方、榊原氏は「メキシコ進出企業の多くがNAFTA(北米自由貿易協定)の(域内)無関税などの枠組みを意識しており、その前提が変わるとなれば、多くの企業が進出や投資を躊躇(ちゅうちょ)する」と懸念を示した。
2017.1.10 21:31更新
【トランプ次期大統領】孫正義氏の手法を踏襲 数値で米経済への貢献示す トヨタ社長
トヨタ自動車が米国で大規模投資を表明したのは、米国での投資・雇用確保を最重要公約に掲げるトランプ次期米大統領の批判をかわす思惑からだ。今回の投資方針の打ち出し方は、昨年12月にトランプ氏に会い、4年で5・7兆円の投資を表明したソフトバンクグループの孫正義社長と同じ手法。孫氏の計画を称賛したトランプ氏がトヨタにも理解を示せば、“孫氏の兵法”が対応策として広がる可能性もある。
トヨタの豊田章男社長は9日の会見で、米国でのこれまでのトヨタの投資実績を強調した上で、今後の投資計画を打ち出した。トヨタの過去60年の年平均の米国投資額は3・7億ドルで、5年平均では18・5億ドル。
これに対し、今後5年の投資額はその5・4倍の巨額にのぼる。トヨタは今回、100億ドルに向けた具体的な計画を明らかにしていないが、既に決まっていた計画がほとんどという。そうした積み上げの計画数値をひとまとめにして巨額投資の姿勢を示し、米経済への貢献を表明することを優先したとみられる。
“先例”は孫氏。昨年12月に米への巨額投資を表明した孫氏をトランプ氏が「偉大な男」と持ち上げたからだ。ただ、その時と違うのは、トランプ氏が批判するメキシコ新工場建設をトヨタが予定通り進める点だ。
株式市場では、今回のトヨタの投資表明を前向きに評価する声も聞かれたが、トランプ氏の批判を封じられるかは予断を許さない。(今井裕治)
◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です
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◇ トランプ氏の「つぶやき」が世界企業に火をつける【産経抄2017/1/8】 トヨタ、メキシコ工場はトランプ政策みて判断 ホンダも当面継続
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