2017/9/21 Thu 中日新聞
遠い共存 パレスチナ占領 半世紀 ③聖都の行方
退去強制し「ユダヤ化」
夜明け前、ムハンマド・シャマスニさん(45)ら8人家族の眠りを破ったのは警察官だった。今月5日、東エルサレム旧市街の北1㌔にあるシェイクジャラ地区。自宅からの強制退去を命じられた時、近くで誰かが「これが占領者の顔だ」と叫ぶのが耳に届いた。50年以上暮らした家には、すぐに新たな住人、ユダヤ人の若者が居座った。
聖都とされるエルサレムの帰属は、中東和平交渉の争点の1つ。イスラエル」が東西エルサレムを「不可分の首都」とみなすのに対し、パレスチナは東エルサレムを将来の独立国家の首都と位置付ける。しかし、和平交渉が停滞する中で、強制退去などを通じた住民の「ユダヤ化」が進む。
一家は1964年、当時この地を支配していたヨルダンの許可を得て住み始めた。50平方㍍の狭い家に両親と子どもの8人家族。67年の第3次中東戦争で東エルサレムはイスラエルに併合されたが、居住証明の取得料として毎月250シェケル(約7,700円)を当局に支払ってきた。
突然立ち退きを迫られたのは2009年。先祖が住んでいたと主張するユダヤ人が現れた。イスラエルの法律では、第1次中東戦争の48年以前に居住していた証明ができれば、土地を取り戻せる。入植推進団体が所有者を探して手続きを後押しし、所有権を勝ち取る仕組みだ。地区の14世帯が同様の命令を受けている。団体理事も兼ねるエルサレム市議は「単に大家が入居者との契約を終えるだけ」と事もなげに言う。
「エルサレムをユダヤ人だけの場所にしようとするたくらみだ」。ムハンマドさんが怒りに震える。イスラム教とユダヤ教の双方の聖地ハラム・アッシャリーフ(ユダヤ名・神殿の丘)を巡り、イスラエル治安当局が一方的に警備強化を打ち出して発生した7月下旬の衝突も、背景には「ユダヤ化」への反発がある。
さらに与党リクードは、エルサレム市の行政境界線を変更し、市外のユダヤ人入植地を市域に組み入れる一方、パレスチナ人地区を市外へ追いやる法案も検討している。実現されれば、人口構成はユダヤ人が約13万増え、パレスチナ人が約10万減る。
警察官に抵抗したとして逮捕されたムハンマドさんは、裁判所からシェイクジャラに15日間立ち入らないように命令を受け、保釈された。「どんなに弾圧されてもここを離れない。私はエルサレム人だから」
今は親類宅に身を寄せるが、自宅前で座り込みをする覚悟だ。(エルサレムで、奥田哲平)
◎上記事は[中日新聞]からの書き写し(=来栖)
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もちろん、その立場には変わりはありません。
でも、こういうあまりにも強引なやり方を聞きますと、ちょっと考えこんでしまいます。