共同体構想も米国抜きでは語れない。アジア諸国もそれを望んでいるのではないか。

2009-10-27 | 政治
日経新聞 社説1 米国抜きで東アジア共同体は語れない(10/26)
 タイ中部の保養地、フアヒンで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)などとの一連の会議で「東アジア共同体」構想が主要議題となった。鳩山由紀夫首相が同構想への米国の関与の必要性を訴えたのは当然だ。日本が構想を推進していくためにも米国との連携は欠かせない。
 「日米同盟を外交の基軸に、開かれた共同体(実現)に向けて協力を進める」。鳩山首相は25日、第4回東アジア首脳会議(サミット)で、こう切り出した。自らが掲げる東アジア共同体構想への米国の関与を求めた発言といえる。
 同構想を「長期的な目標」とすることで合意した10日の北京での日中韓首脳会談の際、首相は「日本は今まで、ややもすると米国に依存し過ぎていた」などと述べ、米側から疑念を招いた。東アジアの安全保障の要である日米同盟が揺らいでは、日本のアジア外交も進展しない。
 首相は今回の会議で軌道修正した形で、共同体の参加国について「米国を排除するつもりはない」とも言明した。だが、岡田克也外相は米国は正式な加盟国と想定していない旨の発言をしている。
 共同体の枠組みを巡っては中国が10カ国が加盟するASEANと日中韓の13カ国に固執。日本はインド、オーストラリア、ニュージーランドを加えた16カ国を主張してきた。
 今回の東アジアサミットではラッド豪首相が「アジア太平洋共同体」構想を提案したが、枠組みの議論は持ち越された。当面は広域の自由貿易協定(FTA)として13カ国案と16カ国案を並行して研究、検討していくことで合意するにとどまった。
 共同体は長期的課題だ。サミット議長声明に盛り込まれたように北朝鮮核問題、通商、金融、環境など幅広い分野で地域協力を進める必要があり、日本の主導力が問われる。
 アジアの盟主をうかがう中国は日本より先にASEANとのFTAを結んだ。共産党政権の中国の主導で共同体づくりが進むとすれば、民主主義、自由、人権、市場などを重んじた仕組みができるのか。
 米国のオバマ政権は東南アジア重視の姿勢に転じている。7月にASEANの基本条約である東南アジア友好協力条約(TAC)に署名、11月にはシンガポールでオバマ大統領も出席する初の米国とASEANの首脳会議が開かれる予定だ。
 共同体の理念は東アジアの民主化や政策の透明性を加速するものであるべきだ。共同体構想も米国抜きでは語れない。多くのアジア諸国もそれを望んでいるのではないか。

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